10不死
九百年が経った。
研究は行き詰っていた。
形あるものはいつか壊れる。
脳を壊されたら、自我が失われる。
俺は不死の肉体になる事を諦めた。
俺が不老化の技術を完成させた頃、世間は別の方法で不老化の研究を行っていた。
癌細胞制御で細胞の寿命を無くし、光合成でエネルギーを得るというものだ。
不老化を望む者が順次、緑色の人間になっていった。
不老化を望まぬ者は大勢いた。
対立は徐々に大きくなり、片や魔族、片や原人と憎しみを募らせていた。
そんな中、俺は世間に見つかってしまった。
いつまでも年金を貰う若者は不自然だからだろう。
俺は魔族や原人の刺客から逃れる為に旅に出た。
俺好みの物語は世の中から無くなっていた。
刺客との戦いで死ぬリスクは大きかった。
だから、不死の為に肉体を捨てる決意をした。
かつて俺は不死の為に自分の精神をデータ化する事を却下した。
これはコピー出来るようなものが自分自身であると、確信出来ないからだ。
ならば唯一無二で、壊れないものを俺自身とすれば良い。
E=mc^2。
アデニン、グアニン、シトシン、チミンも関係ないただの数式をレトロネットワークに送信する。
発光能力で体の全てのエネルギーを使って宇宙に自分の情報を拡散する。
俺は宇宙そのものとなった。
もはや神だ。
人類の行く末を楽しみにするとしよう。




