敗者復活戦
・・・聞き飽きた。言い飽きた。何度も何度も言っているはず。だから、強者はめんどくさい。人の話はしっかり聞くが、考えを曲げようとはしない。・・・だって、強者には確定的な自信があるから。
「何度も言ってるだろ。あれはたまたまだ。それに、ほとんどお前のお陰だろ。お前が生徒を上手く騙してくれたお陰で、あのゲームに勝つことができたんだろ。何故、それを自分の利益にしようとしない?何故、俺の実力ばかり疑う?」
「それは、ワシには核心的な自信があるからのぅ。ワシの本能が、こいつは只者ではないと語っているんじゃ。正体を隠せば隠すほど、ますます怪しく見えるぞ?」
「仮に、俺が神だったとしてどうするんだよ」
「どうもしないかもな・・・。それこそ、大きな騒動が起きない限り」
「だったら、気にしないでいいことだろ。俺は何度でも言うぞ。・・・事実だからな。俺は、実力が低いAクラスの人間だからな」
そう言うと、少しラズは黙ってしまった。色々、こいつの中でも考えがあるんだろう。だが、俺は意見を変えない。・・・だって、俺は最弱でもあり、神でもあるからな。
「そっか。じゃあ、本当に最弱なんだな?」
「あぁそうだ。そうやって何度も言っている」
「最後に、言わしてくれ。ワシは、意見を変えないからな。お前を強者だと信じ続ける。だから・・・いつか必ず、ワシと並ぶ実力を発揮してくれよ」
「勝手にしろ」
ラズはそれだけ言い残して、屋上から去っていった。まぁ、実力はまだラズと学園長にしかバレていないだろう。しかし、神ということがバレたところで何か変わるのだろうか。この世界は実力主義の世界。俺が神であるが故、俺に敵う奴なんか誰一人としていない。もし、学園の生徒達が俺に対抗してきても・・・。神である俺なら、対処することが出来てしまうだろう。だったら確かに、実力を隠す必要もないのかもしれないがな。
「・・・まぁ、俺が異能力者を見つけるまでは、実力は隠し続けるけどな」
バレてしまったら、色々面倒になるのは確実だし・・・。
次の日、それは唐突に行われた。
「敗者復活戦を行う」
最初は、それを聞いても意味が全く理解できなかった。しかし、よく説明を聞いてみると、
「退学になった生徒がいるだろう。そいつ等に、もう一度チャンスをやることにした。仕組みはこうだ。退学になった生徒と、Aクラス以上の生徒が戦う。そして、退学になった生徒がもし在学生に勝つことが出来たら、退学者が再入学し、在学生が退学となる。お前達なら、別にどうってことない仕組みだろう?だって、お前達は強者の器に入りかけている存在だからな。この学園を退学した奴なんかに負けないよな?」
実際そうだ。まず、退学した生徒のほとんどがFクラスの生徒。中には、そこそこランクが高い生徒もいるが、所詮そいつ等も退学した生徒。在学生が負けるわけがない。だからこその、敗者復活戦なんだろう。
「決行は明日。せいぜい、弱者に負けないように」
そう言って、教師の話は終わった。敗者復活戦か・・・。でも、退学者だから、そこまで人数は多くないんだろう。
そんなこんなで、次の日になっていた。片や、在学生は余裕そうな表情を見せていて、片や、退学した生徒はこれほどにないくらいに必死な目をしている。そりゃそうだ。またあの学園に戻れるチャンスが到来したのだから。
「今回は、一人ずつ戦わせたりしない。チーム戦だ。退学者VS在学者。どちらかの陣営が全滅すれば、ゲームは終了となる。殺しは、在学生は行っても構わない。が、退学者は絶対に行わないように」
教師がそれを言うと、退学者の方から、
「それはおかしいだろ!!なんで、そっちは殺しが良くて、こっちはダメなんだ!!」
と、物申す生徒が現れた。まぁ、理不尽と言えば理不尽ではある。・・・だが、忘れてはならない。
「何を馬鹿なことを。お前達は、この学園を退学になった弱者。それが、強者を殺していいとでも思っているのか?この世界は、実力主義の世界。弱者は強者に従い、何に対しても強者が上の立場でないとならない。なら、おかしな話ではないだろう。強者が弱者を殺しても罪には問われない。何故なら、結論上、強者であるから。弱者が強者を殺したら罪に問われる。何故なら・・・強者に対して反抗をしたから」
何故なら、この世界は実力主義の世界だからな。
「それを踏まえてのルールだ。物申したいって言うなら、お前が強者になってから言え。弱者であれば、その意見は聞かない」
「チッ。カスが。しらねぇ」
うるさいなぁ。別に、強くなればいい話じゃないか。
「気を取り直して、ルールは理解したか?」
その問いに、全員の生徒が頷く。
「それでは、ゲームを始める。散らばれ」
すると、退学者は色々な場所に散らばり始めた。
「先程言った通り、好きにやって良い。殺すのも、勝手にすればいい」
殺し・・・か。別に、人を殺したい衝動に襲われているわけではないが・・・。
「やってやるよ」
その時、俺に火が点いたのであった。




