クラスA
FクラスとAクラスの明確な違い・・・。それは、実力だ。そりゃあそうだ。Aクラスの人間が、Fクラスの生徒に劣るわけがない。そして、もうひとつ違うのが授業だ。
「これから、生徒同士で戦わせる。殺しはなし。相手に傷を追わせることが出来たら勝ちだ」
授業は、実技系が多かった。Fクラスでは、基礎的なことをノートにとるだけだったが、このクラスではそれを実践で試している。だから、Aクラスは強いんだろう。
「こう見ると、たしかにそこそこレベルが高い」
高ランク帯と言うだけあって、流石に立ち回りなどが優れていた。みんな、いい動きをしていると思う。
「次は、大和。それと・・・」
そうして、俺の名前が呼ばれた。相手は、いかにも軽薄そうな男だった。
「はっ。最弱かよ。ポストラズ。瞬殺されるなよ?」
「それはこっちのセリフだ」
流石に、Aクラスの最弱と言うだけあって・・・やはりまだ舐められている。それじゃあ、この戦いはお手並み拝見といこうか。
「Aクラスの実力・・・見せてくれよ?」
そうして、そいつは俺に向かって突進してきた。スピードは、そこそこある。他の奴よりもまぁまぁ速いんじゃないだろうか。Aクラスの最弱近くなら、目で追うことは出来ないだろう。
「はっ。こんな程度か」
「っ!!テメェ・・・!!」
俺が煽ると、そいつはすぐに怒りを露にした。なるほど。スピードも速く、怒りが沸騰するのも速いのか・・・。
「ちょこまかよけやがって・・・!!」
「あ?お前、Aクラスなんだろ?だったら、やってみろよ。散々俺を嘲笑っておいて、俺に傷さえ与えられないのか?だって俺は・・・最弱。なんだぞ?」
「お前・・・!!まじで、知らねぇからな?」
すると、そいつは更に攻撃の威力を上げてきた。
「まぁ、割とやるじゃねぇか」
俺だから視認はできるが、これでもまだ十分な実力は得られていない。
「Aクラスもこんなもんか?」
俺が神であるから・・・弱く見えるだけかもしれないが、それでも実力は十分になかった。
「それじゃあ、舐められた仕返しするぜ?・・・覚悟しろよ?」
そうして俺は、一瞬にしてそいつの後ろに回り込んだ。
「は、はやっ・・・!?」
「俺が速いんじゃない。お前が遅い」
俺はそう言って、そして・・・。
「わかったか?これが、最弱を侮ってはいけない理由だよ」
Aクラスのほとんどの生徒が感心したような反応を示した。・・・一部、分かっていたかのような反応をしている者もいた。おそらく、それほどな強者なんだろう。強者は、弱者を侮らない。・・・それで言ったら、俺はまだ真の強者とは言えないんだろうが。
そうして、時刻は正午を回った。現在は、休憩時間。いつも通り屋上でのんびりしていると・・・。また、ガチャリ。と、屋上の扉が空いた。そこには、
「お前は・・・ラズ」
唯一のEAクラスの生徒。学園内最強のラズが現れた。
「ようよう。Aクラスはどうだい?しっかりやれているかね?」
「そりゃ、もうギリギリよ。やっぱ、上位帯はみんな実力高いんだな」
「そんなこともないとおもうが・・・」
「それはお前が唯一の存在だからだろ?学園内最強のお前からしたら、Aクラスの人間でさえも弱く見えてしまうもんだろ」
「ワシが言いたいのはそういうことじゃない。お前さんだから、やっていけるんだろうなと思ったんじゃ」
「俺だから?ないない。だって、俺はお前のお陰で昇級することが出来たポストラズだぞ?」
「ワシは、信じないがな。・・・なぁ、疑問に思うことなんだが」
「なんだよ」
そこで、ラズは俺が答えにくい質問をしてきた。
「どうして、お前はそこまで実力を隠したがる?」
「どうしてって・・・そりゃ、まず実力がないからな。隠すも何もないんだ。実力がないなら、隠したって意味ないだろ?だから、俺はありのままの自分をさらけ出しているんだ。それの何がおかしい?」
「っ・・・」
次の瞬間、俺はその話を聞いて、驚いてしまった。
「ワシがこの学園に入学する前、とある書物を読んだんじゃ。そこには、とある内容が書かれていた」
「ほう。それはなんだ?」
「その書物には『昔、人類が王を決める争いに、突如として途徹もない実力を持つ人間が現れた。其奴は圧倒的なる実力を行使し、全世界を統治する王に君臨した。その圧倒的な実力から、其奴は”神”と呼ばれるようになった』と。書いてあってな」
「ほう・・・。それがどうした?」
「なんというか。お前さんは、不確定要素が多すぎるじゃないか?」
「そこまでだろ」
「いや、そうなんじゃ。変に実力を隠したり、先日のデスゲームでも一人で他の生徒を蹴散らした。普通、Fクラスの人間にそんなことが出来るか?無名の、Fクラスの生徒が・・・」
「・・・つまり、お前は何が言いたい?」
そして、次の瞬間。
「なぁ・・・。お前は、神なのか?」
と。そいつはそんな疑問をぶつけてくるのだった。




