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彗星に願いをこめて  作者: 姫
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またまた香蓮の悪だくみ

龍弥と付き合う…か。

家に帰ってから、真央の頭の中はそのことでいっぱいだ。

スマホをいじり、龍弥のLINEを開く。

最近は昔のようにたわいもない内容を送りあうようになっていたが、

最後にやり取りをしたのは3日前で、そこからはLINEをしていない。

なんか送ろうかな…

途中まで文章を入力したところで手を止めた。

わたしからじゃなくて、龍弥からきてほしい…

そんなことを考えていたら、家のドアをドンドンと叩く音が聞こえてきた。

香蓮だ、さっき別れたばかりなのに何だろう?

と思いつつも、用がなくてもくるのが香蓮なので、さほど気にしていない。

トントンと階段の上がる音がした後、ドアがガチャリと開いて、予想通り香蓮が入ってきた。

「真央、遊びに来たよ」

「さっきまで遊んでたじゃん。暇なの?」

「まあね」

香蓮は自分の部屋のごとくくつろぎ始めたが、これもいつものことなので気にしない。

「ねえねえ、今日買った服着て見せてよ」

「えー、もうしまっちゃったから嫌だよ」

といいながらも、内心はちょっと着てみたいと思っている。

やっぱり新しい服を買うと着てみたくなるものだ。

「着たいって顔に書いてあるし」

どうやら香蓮にはバレバレだったらしい。

「てへ」

にこやかに笑ってから、真央は閉まった服を取り出す。

その場で着替え、部屋の中にいるだけなのに気分が上がってきた。

「いいじゃん!やっぱり姫奈さんのチョイス完璧だね」

「そうかも」

真央は鏡を見て軽くポーズを取ったりしている。

なんだかんだいって嬉しいのだ。

「あとはいつ木谷とデートするかだね。来週あたり?」

「あ、いや…ちょっと待って」

そんな急には気持ちが追い付かない。

それに真央はどうせなら誘ってもらいたかった。

「なんかさ、わたしから誘うのもどうかと思わない…?」

「確かに。せっかくなら男子から誘ってもらいたいよね。でもあいつ積極的なのか消極的なのかよくわかんないからなぁ」

そう、香蓮のいうとおり龍弥はよくわからないところがある。

急に積極的になったと思ったら、極端に消極的になったりするときもある。

「こんだけ真央は準備万端なのにね」

「そうさせたのは香蓮でしょ」

「わたしじゃないよ、姫奈さんだよ」

うーん…きっかけを作ったのは香蓮だ。

けど、もうこうなってしまってはどっちでもいい。

むしろ、ここまできたならデートをして付き合いたい。

「どうすれば龍弥は誘ってくれるかな?」

「わたしから言ってみようか?真央とデートしろって」

「ダメダメ、そんなこと言ったら意固地になって誘わなくなるし、それに…やっぱり強制されずに向こうから誘われたい…」

そんなことを言う真央が香蓮は微笑ましかった。

すっかり恋する乙女、こういう恋バナが真央とできるなんて思いもしなかった。

真央が女の子になってよかった!

よし、こうなったら真央に内緒で別のプランを立てよう。

「香蓮、なに笑ってるの?」

「ううん、なんでもない。恋する真央がかわいいなって思ったの」

「そうやってからかって!」

香蓮が笑うと、真央も笑いだしていた。

結局、この日はあーでもない、こーでもない、という話だけで終わり、

香蓮は家に帰ってから真っ先に行動に移った。


お風呂から上がり、部屋で頭を拭いていたらスマホの着信音が鳴りだした。

亜樹かな?

亜樹は健吾の彼女で、付き合ってもうすぐ1年が経つ。

ところが、スマホの画面を確認すると表示されていたのは亜樹ではなかった。

うわー、なんか面倒くさそうなやつからだ…

とりあえず通話を押すと、香蓮のテンション高めな声が聞こえてくる。

「もしもーし」

この感じからしてなにかの悪だくみに違いない。

なんとなく想像がつく。

「はいよ…」

「渡辺にお願いしたいことがあるの。木谷にさ、真央をデートに誘うように説得してくれない?」

いつものこととはいえ、相変わらず唐突なので返答に困ってしまう。

一度ため息をついてから、逆に質問した。

「あのさ、お前はなんでいつも理由を話さないでいうわけ?」

「ん?渡辺なら言わなくてもわかると思ったからあ」

「俺はエスパーでもなければ、お前の彼氏でもないんだからわかるはずないだろ」

「面倒くさいからそんなことどうでもいい。説得してくれるの?」

「だから!理由を言え!!」

怒り気味に言い、香蓮が「もー」と言いながら理由を説明しだした。

「もー」と言いたいのはこっちだ、まったく。

「真央が誘わるのを待ってるからだよ!わたしから木谷に言うと真央がデートしたがってるのバレるじゃん?だから渡辺が言ったほうが自然でしょ?」

「ちょっと待て、それは竹下が本当に言ったのか?」

「うん、そのために今日デート服まで買ったんだから」

両想いなのは知っているけど、竹下が自分からデートをしたいなんて言うタイプかな?

「お前、竹下を煽っただろ?」

「人聞きの悪いこと言わないで!ちょっとだけだよ」

やっぱり煽ったんじゃないか…

けど、まあ本人がその気になったのはいいことだ。

そもそも健吾も2人を付き合わせようと修学旅行のときに裏でいろいろ動いていたので、

今さら手を引くわけにもいかない。

「で、どうすりゃいいんだ?龍弥は意固地だからヘタに言うとへそ曲げるぞ」

「ちゃんと考えてある」

香蓮は事細かに説明し、健吾もなるほどと納得した。

「よし、あとは引き受けた。任せとけ!」

「よろしくー」

電話を切り、健吾は龍弥にどういうかを頭の中で整理していた。

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