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彗星に願いをこめて  作者: 姫
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文化祭前日

学校中が明日から始まる文化祭の準備で賑わっている。

2年3組も今はカフェの準備で大忙しだ。

真央たちは教室内に飾り付けなどをしてカフェっぽく仕上げていた。

「もうちょい上のほうがいいかな?」

香蓮が精いっぱい背伸びするが届かない。

「無理、巴菜やって」

「わたしだって届かないよ。誰か男子…あ、木谷!」

巴菜に呼ばれて龍弥がやってくる。

「な、なに…」

龍弥がたどたどしいのは真央にだけではない、女子全員にだ。

それを知っているので、真央はクスクス笑っていた。

「これさ、上のところに付けてくれる?」

「あ、ああ…」

龍弥は背伸びして飾りをつけてくれた。

「さすが、無駄に背が高いだけあるね」

真央がからかうと「無駄は余計だ」とボソッとだが返してきた。

「ねえ龍弥、このまま装飾班のほう手伝ってよ」

「お、俺はレイアウトのほうをやらないといけないんだよ」

「いいじゃん、うちらだと高いところ届かなくて、結局また呼んだりするんだから」

「だったらほかのやつに…」

「実行委員としての命令」

「俺も実行委員だ!」

そんな会話をしながらも、龍弥は手伝う羽目になってしまった。

巴菜が小声で香蓮に話しかける。

「なんかあの2人、最近仲いいよね。ひょっとしてさ」

「んー…難しいところだね。もともと親友同士だったから、その関係に戻っただけかもしれないし、しばらくは様子見だね」

こないだの創の件があったので、香蓮たちから本人に聞くようなことはしない。

しばらくは真央から言ってくるまでは、たとえ相手が誰であっても見守るつもりだ。


料理を仕切っているのは、まさかの源治だった。

本人は当然のように拒否したが、あの料理の知識を生かさないのはもったいない。

結局は押し切られてしまったのだ。

「ジャガイモ切ったの誰?まだ皮が残ってるよ」

「悪かったな」

「なんだ、伊藤か。なんで不器用な伊藤が料理班なんだよ」

「て、てめー…」

「文句言う前にやることやったら?それと人参切ったの誰?大きさがバラバラ」

西川はかなり厳しかったが、意外と合っているポジションかもしれない。

もう一人の実行委員の杏華は、ドリンクを担当していて、

こっちも着実に準備が進み、全員がいい雰囲気の中、文化祭に向けて一つになっていた。

「龍弥にやらせてるから暇だね」

「ねー」

呑気に真央と香蓮は見ている。

「暇だね、じゃない!手伝え」

「だって届かないもん。代わりに応援するよ、頑張れ龍弥!」

「いらねーよ!」

龍弥はちょっと怒り気味になると普通に会話できるらしい。

そこで源治の大きな声が聞こえてくる。

「ホットケーキミックスが全然足りないよ!誰か買いに行けない?」

それを聞いた龍弥が言ってくる。

「お前ら2人、買ってこいよ」

「えー、わたしたち龍弥に指示しないといけないから」

「そんな指示いらねー、買ってこい!」

まあ確かに暇だし、ほかの人たちはみんな忙しそうだ。

ここは買いに行くしかないかな。

真央が源治のところに行く。

「いいよ、買ってくる」

「竹下か…ホットケーキミックスってわかる?」

あきらかにバカにした口調だ。

結構ムッとする。

「当たり前じゃん!バカにしすぎ」

そう返事をしてから、香蓮に「行こう」と声をかけて近くもスーパーへと向かいだした。

「あいつ絶対に真央のことバカにしてたよね」

「ね、いくらなんでもホットケーキミックスくらいはわかるから」

ただ、実際に売り場に行くと種類が多くて、どれを買っていいかわからなかった。

「こんなにあるの?」

「値段も結構違うんだね…」

そのうちの1つを香蓮が手に取った。

「本格的なパンケーキが作れる」

「こっちはおいしいふっくらしたパンケーキが作れるって書いてあるよ」

2人ともどれがいいのか迷いだしてしまった。

ホットケーキミックス自体はわかるが、自分で買ったことがないから、

どの種類がいいのかまではわからないのだ。

「西川に電話して聞く?」

香蓮の質問に真央が即答した。

「嫌!絶対にバカにされるもん」

「だよねー…あ、そうだ!」

香蓮はスマホを取り出し、巴菜にLINEを送り始めた。

(どのホットケーキミックス買えばいいの?西川にバレないようにこっそり教えて)

「さすが香蓮!頭いい」

「まあね」

3分ほどしてから返事がくる。

「一番多く入っているやつをとにかく大量に、だってさ」

「一番多いやつ…これだ!けど何袋だろう…?」

「あ、待って。巴菜からまたきた。えーと…10個が理想、なければあるだけ。だって」

数を数えると8個しかなかったが、とりあえずこれを全部買うことにした。

「結構重いね」

「一袋600gでしょ、全部で5キロもあるからね」

二人で手分けしても2.5キロ、言うほど重くない気もするが、

小柄な女子の香蓮や真央たちにとっては重かった。

「失敗した…龍弥も連れてくればよかったかな」

この発言を聞いて香蓮は心の中で微笑んでいた。

やっぱりそうかも!

最近の真央は、よく龍弥の名前を口に出すし話しかける。

男女の場合、友情が恋に発展することもあるから、これからの関係が楽しみだな。

「香蓮、なにニヤニヤしてるの?」

「べ、別に!昨日の面白かったことを思い出したの」

危ない、顔に出ちゃってたか…

香蓮は悟られないように気を付けながら、真央と学校に戻った。


「重い…ほら、買ってきたよ」

源治の前に袋を置くと、「やっぱりわからなかったじゃないか」と言ってきた。

「は?ちゃんと買ってきたじゃん!」

「三上に聞いてだろ」

真央と香蓮が慌てて巴菜を見る。

「ごめん」とジェスチャーしていた。

「どうせ2人のことだから、三上に聞くだろうなと思ってね。三上もコソコソ調べてるから面倒くさいと思って、僕が指示したんだ。そもそも種類や数も聞かないで買いに行くのがバカすぎる」

くそー、ムカつく!

いつか絶対に見返してやる!!

怒りながら巴菜のところに戻って愚痴り始めた。

「巴菜、なんでバレちゃったの!」

「しかたないじゃん。ふらっと近づいた瞬間に言ってきたんだもん。一番大きいやつだよって。あいつ鋭すぎだよ」

確かに源治の洞察力は並外れたものがある。

たまにあの洞察力が役に立つんだけどな…

気が付くと龍弥はレイアウトのほうに戻っていた。

「あれ、龍弥あっちに戻ったの?」

「うん、高いところの飾りつけは終わったからね」

「そっか…うちらも残りを終わらせちゃおう!」

準備が終わったのは夜の8時だった。

「みんな、遅くまでご苦労さん。明日は7時集合だっけ?」

黒岩が杏華に確認する。

「はい、そうです」

「早いけど、お前たちみんなで頑張って成功させるんだぞ。以上だ」

いつになく黒岩は担任ぶっていて、真央たちはちょっと不愉快だったが、

黒岩のことなど気にせず帰ることにした。

「人どれくらいくるかな?」

「いっぱい来たらいいよね!」

ここまでみんなで頑張ったんだ、絶対に成功させようと気合を入れた真央だった。

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