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彗星に願いをこめて  作者: 姫
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え!?

「香蓮、巴菜、帰ろう」

「うん」

いつものように3人で帰る。

途中まではいつもと同じパターンだ。

しかし、それは駅までだった。

巴菜はいつも学校の最寄り駅で別れるが、香蓮ともここで別れることが多くなった。

佑太と会うからだ。

そして真央もバイトだったりするので、家まで一緒に帰ることが少なくなっていたが、

それはそれで仕方ないことだと理解していた。

このように、2学期になってからは少しだけ変化が起こり始めたが、

基本的に今までとさほど変わらない日々だった。

「じゃあまたあとでね」

真央は体操着をもって教室を出ていく。

「なんかさ、もう着替えるのとかトイレ一緒でもいいのにね」

「うん、なんかかわいそうだよね」

真央はいまだに着替えとトイレは職員用のを使っていた。

真央本人としては、別にどこでもいいけど、

毎回1階まで行くのだけは面倒くさいと思っていた。

その日のホールルームは、文化祭の話ではなくて修学旅行の話だった。

クラス委員長の杏華が中心になって話を進める。

根津は文化祭の実行委員会もやってるし大変そうだな…

ちょっと他人事のような感じで真央は話を聞いていた。

「では班決めを行います。男女2人ずつ、4人の班です」

「どうする?あみだくじでもする?」

真央、香蓮、巴菜、凛の4人を2つに分ける相談をしていたら、

巴菜が「真央と香蓮はセットでしょ」と言ってきた。

「わたしもそれでいいと思う。別に真央や香蓮と一緒が嫌とかじゃなくて、やっぱり2人で1人みたいな感じじゃん?」

「ちょっと凛、2人で1人ってひどくない?」

「だってそうじゃん、似た者同士」

そういって凛が笑うと、巴菜も笑っていた。

とりあえず真央と香蓮、巴菜と凛という組み合わせになり、あとは男子2人だ。

別に誰でもよかったが、伊藤とかは嫌だ。

一番害がなくて安心なのはアイツしかいない。

「龍弥、同じ班になろう」

「あ、ああ…」

相変わらずたどたどしい、もう慣れたけど。

健吾で龍弥と比較的に仲のいい。

真央も男の頃はそれなりに仲が良かったが、龍弥ほどではない。

ほかの人たちも班が決まり、次は部屋決めだった。

「6人部屋を3つに分けます」

「6人かぁ、わたしでしょ、真央でしょ、巴菜でしょ、凛でしょ、あと2人だ」

香蓮がそんなことを言い出したら、担任の黒岩が咳ばらいをしてから真央を呼んできた。

「なんですか?」

「その…あれだ、こないだ職員会議で竹下の部屋は女の先生と同じ部屋に決まったんだ」

「えっ…」

「それとお風呂も少し遅い先生と同じ時間になる。申し訳ないが我慢してくれ」

「なにそれ…」

真央は放心状態になり、教室内もざわつき始めていた。

一人だけ別なんて…そんなの嫌だ…

「なんでですか…わたしが男だったからですか?」

「平たく言えばそういうことになる。竹下の気持ちもわからなくないが、こればかりは我慢してくれ」

「嫌だ…そんなの嫌だ!!」

思わず叫び、真央の目には涙が溢れていた。

「竹下…わかってくれよ」

黒岩は気まずそうに言ってくるが、真央は折れなかった。

「わかんない、そんなのわかんないよ!」

再び叫ぶと、真央は思わず教室を飛び出してしまった。

「真央!」

香蓮が立ち上がって真央を追いかけていく。

そして出る直前に黒岩を睨み、「ひどい」と一言文句を言って出ていった。

その黒岩のところに、今度は巴菜が詰めかける。

「先生、ひどすぎるよ!なんで真央だけ差別するんですか?」

「差別しているわけじゃない、しかたないだろう」

そこに凜も詰めかける。

「何がしかたないんですか?今の真央見れば女だってわかるじゃん!」

そこに今度は杏華まで加わってきた。

「先生、わたしもそんなの反対です。竹下さんがかわいそうです!」

「ね、根津…お前こないだまで竹下を女子扱いするの反対してたじゃないか」

「いつの話をしてるんですか!今はもうわたしの大事な女友達です!!」

さらに、ほかの女子たちまでかわいそうだと言い出し、黒岩は困り果てていた。

「俺を責めるなよ…職員会議で決まったことなんだから…」

「じゃあ先生は反対したんですか?」

「いや、俺は…」

「反対しなかったんですか?最低!先生、マジ最低!!」

女子たちにここまで言われたあと、今度はまさかの男子からの追い打ちをかけられる。

その先陣をきったのは、龍弥だった。

「先生、俺もさすがにひどいと思いますよ。俺、男のあいつと親友だったからわかるけど、真央はもう見た目だけじゃなくて中身も女なんですよ」

それに続いたのは、まさかの伊藤だった。

「俺も反対だな。最初の頃は軽い感じで下ネタとか言ってふざけてたけど、今の竹下には下ネタなんて絶対に言えないもん。あいつマジで女だからさ」

ほかの男子たちも2人に続き、黒岩はクラス全員を敵に回してしまった。

唯一黙っていた源治が立ち上がる。

基本的に無口でおとなしい源治がこういう行動にでるのが信じられなくて、

一瞬クラス内が静まり返った。

「先生、僕は部屋とかどうでもいいです。けど、竹下は今、文化祭の実行委員です。もし今回の件で文化祭に支障をきたしたら先生の責任ですからね」

西川まで言うのか…誰か助けてくれよ…

黒岩は泣きたい気分だった。

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