表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

44/60

剣を握る

 ゼンが立ち去ってから間もなくして、

「二人とも待たせたな」

と、ウィンクルムがハートたちのもとに戻ってきた。

「あっ、どうでしたか?」

 ハートがゼンのことはひとまず置いて、ウィンクルムに首尾を訊ねた。

「うん、依頼はしっかり受理されたぞ──明日から掲示されて、募集期間は一週間だ。来週またここに来て応募者を選考する」

「人……集まるでしょうか?」とリルフィリアが案じる。

「ギルドの事務員は大丈夫と言っていた」ウィンクルムが答える。

「報酬を君たちの校長の言う範囲で提示したのだが、それが相場よりなかなか高額らしくて、きっと食いつくだろうとのことだ」

「へえ……」ハートは、ギルドの依頼に対する報酬の相場はわからなかったが、どうやら校長はなかなか良い額の報酬を設定してくれたらしい。

「ともかく、今日はもうこれでおしまいだ──ハート、これから剣を教えようか?」

 ウィンクルムがハートのほうを見て言った。

「あっ、はい!」

 ハートが勢いよく返事をする。

 そうして一行はギルドを後にした。

      



 その後、剣術の指導のためにハートとウィンクルムは城壁まで戻ることになった。

「剣はゲーンズ隊長に言って借りることにしよう──リルフィリアはこれからどうする?」

 その帰り道でウィンクルムが訊ねる。

「私は一度、家に戻ります。お父さんとお母さんに、旅のことを説明しないと……」

「そうだな──私も説明に同席しようか?」とウィンクルムがリルフィリアを気遣う。

 しかしリルフィリアは首を振った。

「いえ、自分の口でしっかり伝えるので……」

「そうか……?」ウィンクルムが少し心配そうな顔をした。

「──ハートはクラフトさんのところに戻らないの?」

と今度はリルフィリアがハートに訊ねてきた。

「うーん、夕方なったら戻ろうかな。俺も説明しないといけないし、旅に出るまでは夜はお店を手伝わないと……だいぶ手伝いすっぽかしたしなぁ」

 ハートはそう答えた。そして、ウィンクルムのほうを見る。

「──なので、剣の訓練は日中でいいですか?」

「ああ、構わない」ウィンクルムが頷いた。

「私は旅の準備が整うまでは先の宿に世話になるから、時間を決めて剣の訓練に来るといい」

「わかりました──でも、リルフィリアはどうする?先生に言われた『自分を守る手段』ってやつ」

「うーん」リルフィリアは少し考えるように間を置いて、

「私は魔法術にしようと思う。先生たちにお願いして、もっといろんな魔法術を身につける」

と静かだが心に決めた様子でそう告げた。

「魔法術か……」

 才能のあるリルフィリアなら妥当な選択であるし、剣を一から身に付けようとしている自分より、すぐにものにするだろう。

「……じゃあ、しばらく別行動になるかな?」とハート。

「そうだね」リルフィリアが頷く。

 ハートは少し寂しい気がしたが、魔法学校の教師たちに教えを仰ぐなら、それに集中しなくてはならないだろう。

「でも、時々会いに行くから、そのときはハートが剣を持ってるところ見せてね」

「えっ」

 突然リルフィリアにそう言われて、ハートがどきっとする。

 ハートを見て微笑む彼女の目はどこか悪戯っぽく見えた。

「これは気合いを入れていかないとな、ハート」

 ウィンクルムもそれに乗っかって、ハートに発破をかける。

「──はい!」

 ハートは力強く答えた。



 


 そしてリルフィリアは帰り道の途中で、今から魔法学校に行くと言ってハートたちと別れた。

 ハートとウィンクルムは城壁まで戻り、兵舎にいたゲーンズに剣術の訓練について話した。

 ゲーンズは、使っていない予備の兵士の剣と、打ち込みや模擬戦用に使える木刀をウィンクルムとハートに貸してくれた。

またそれに加えて、兵士たちが剣術を訓練する際に使う、開けた場所を案内してくれた。


「では始めよう」

 ゲーンズに教えてもらった訓練場に来た二人は、そこで互いに向かい合った。

「よろしくお願いします」

 背筋を伸ばすハートにウィンクルムが説明を始める。

「剣術にはいくつか流派があるが、ハートには私と同じ流派──騎士団でも普及している流派の剣術を教えよう」

 そうしてウィンクルムはハートに剣を渡し、それを握らせた。

 先日の剣の召喚術を除けば、初めて剣を握るハートにとって、それはずっしりと重く感じられた。

「まずは基本の構えからだ──両手で柄を握れ。こうして……」

 ウィンクルムが手取り足取り一からハートに剣の扱い方を教えていく。

「そのまま真上に振り上げて──真下に切り下ろす。まずはこれを練習しよう」

「はい」

 ウィンクルムの教え方は丁寧で優しかった。

 ハートはウィンクルムの指導に従って、剣の振り方を一つ一つ覚えていった。



昨日、1話の更新に対して200超のPVを頂きました!ありがとうございます。

一気読みしてくれる人がいるのは嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ