68-なにこれ、超美少女・・・だれ?
セリーヌの体が消えた。
いや、消えたように見えた。
一瞬にして加速し、ヒューゴの背後を捉える。
セリーヌが俺に教えてくれた身体能力を上げる魔法だ。
しかも俺よりも高いレベルで加速してるよ。
「なっ・・・」
ヒューゴは背後をとられたことに気付いたのだが、一瞬遅かった。
「へへん」
得意げな顔と共に矢を放つ。
っていうか、リルナトメアイトだっけ?使ってないじゃん。
矢はヒューゴを貫通し、そのまま壁に突き立つ。
「驚きました」
いや、むしろこっちが驚くわ。
だって、貫かれたはずのお腹が無傷なんだもん。
「自分自身も虚像になれる・・・ってことかしら?」
「ご名答」
「イケメンってどうしていやらしい魔法ばっかり使うのかしら」
「美女には特別ですよ」
「ん?もう一回言って?」
「美女には特別なんです」
「違うわよ!超美少女には特別って言うのよ!」
褒めてもダメなのかよ。
もうヒューゴがかわいそうだよ。
「ふふ、おもしろい方だ」
違います。変な人の間違いです。
ヒューゴは変わらずに、手の中に投剣を一本ずつ生み出しセリーヌにむかって投げる。
「うおっ」
セリーヌが避けたひとつが俺のすぐ横で消滅した。
飛んで来た風が俺の鼻をくすぐる。
「なーるほっどー」
セリーヌはにやりと笑い、矢を二本構えた。
投げつけられるナイフに向かって矢を放つ。
二本の内、一本はナイフを叩き落し、もう一本はそのまますり抜けて直接ヒューゴの元へ飛んでいった。
一方でナイフはセリーヌにむかって飛んで来ている。
お互い、自分たちの攻撃を華麗にかわした。
そして間髪入れず、セリーヌは矢を再びヒューゴが用意した投剣の数よりも二本多く構えた。
ヒューゴは躊躇わずに剣を投げつける。
「ぶぅわっくしょにゃーーー!!!!!」
うはっ、くしゃみでた。
「くっ、どうして・・・」
なにこれ、勝負ついたの?
くしゃみで全然わかんなかったし。
鼻をずずずーっと吸ってから目を開けると、地面に這いつくばって苦しそうにしているヒューゴの姿があった。
体中に矢が刺さってて、見るからに痛そう。
なにが起きたの?
「もっとうまく隠さないとダメよん」
「・・・・・・」
「あんたの魔法は一度にひとつの対象にしか魔法を掛けられないんだから」
這いつくばるヒューゴの背中から、一本だけ突き抜けた矢が見えている。
ちょうど胸のあたりに刺さったやつだ。
「よく・・・核のことをご存知でしたね・・・」
「魔物ハンターの私を見くびらないでよね」
もうちょっと俺にもわかるように話をしてほしんだけど。
「ねぇミフリス。核ってなに?」
「それよりもロロ様、他人の戦闘中にくしゃみなどの集中力を乱す行為はいけません」
はい、ごめんなさい。
あえて空気を読まないこと―――それは笑いの原則である。
昔の偉い人が言っていましたね。
このことを「AKY」と呼ぶようになってから何十年経ったのか・・・。
えぇ、造語ですがなにか?




