ヴァンピィ、色々すごい
すいません! 80話の
そう呼ばれたリリィのお友達は〜 のくだりですが、
正)そう呼ばれたヴァンピィのお友達は〜
に修正しました。
ご迷惑をおかけしました。
「ギャウ? ガウガウ!」
「ワフッ!」
「クゥウ?」
ーーーな、なんじゃここは……
ヴァンピィが眠ってしまいどうしようかと考えていたリリィ。
そこでパタさんが、取り敢えず着いてこいと言って連れてこられたところは……
『ここにいる魔物は皆、ヴァンピィの配下たちだ』
「なんじゃと!?」
ーーーは、配下とな……となるとここはあの子の秘密基地ということになるのかのぅ?
そんなことを考えていると、いつの間にかヴァンピィの配下たちがリリィに群がってきた。
「わわっ! これっよさんか!」
初めての“お客さん”に、魔物達は皆興味津々。
匂いをスンスン嗅いだり、ペロペロと頬を舐めたりとリリィは魔物達にもみくちゃにされた。
『うむ、歓迎されているようでなによりだ』
「そ、そんなこと言っとらんで何とかせんか!」
そんなリリィの助けを求める声も軽くスルーされ、なされるがままにされるのであった。
「やめんかぁああああぁぁぁ……」
▽
五分後、魔物達は満足したのか、リリィから離れた。
現れたリリィの顔はヨダレでベトベトになり、髪はボサボサ。
なかなかしっかりと遊ばれたようだ。
「うへぇ〜……」
『おい、大丈夫か?』
リリィは力無い呻きを上げている。心なしか頭の上に、キラキラと星が回って見える。
そんなリリィの、様子を見てパタさんはそう呼びかけてみた。
「……はっ! あいつらは!?」
意識を取り戻たリリィは、魔物達の存在を確認し、そしてようやく安心した。
『無事のようだな』
「無事ではないわ! 見捨てて置いて白々しい……」
そんな恨めしそうに言うリリィに、全く気にしないパタさん。
「我は魔王だというのに……ちくせう」
「んみゅ? お姉ちゃんどうしたの?」
先程の騒ぎのせいか、ヴァンピィが目を覚ました。
「はぁ、お主のとこの魔物達が少々やんちゃでの」
「まものたち? ……あっ! ここヴァンピィ達の秘密基地だ!」
しゅたたた!
「うぅ、ヴァンピィよ……我を置いていかないでくれぇ」
そんなリリィの嘆きも虚しく、ヴァンピィはお友達とのお遊びに夢中だ。
『色々と災難だな』
「誰のせいじゃ! 誰の!!」
もはやわざとらしくもある天然さに、リリィの怒りは沸点に達しそうだ。
「はぁぁぁあ……して、ヴァンピィが宝物を所持しているとはどういう事じゃ」
盛大にため息をはくリリィは、鷲野郎を相手にする方が馬鹿だと気づき、ようやく聞きたかったことを聞くことにした。
『この秘密基地の近くには、もともと我が宝物を守護していた場所……ダンジョンがある』
「ほぅ」
いきなりの発言に内心驚いたが、いちいち反応していてはこれからの話しに着いてこれない。
そう、リリィは思った。
『ある日、私がいつもの様に暇を持て余し、“魔物の一人モノマネ大会”をしている時ーー』
ーーーツッコまん……絶対にツッコまんぞ
『……ヴァンピィが突然現れた』
それはそれは、楽しそうな笑顔を浮かべて。
『その時は驚いたと同時に、羞恥心が私を襲った』
「……」
『しかし、それ以上に恐ろしかった』
パタさんはその時を思い起こすかのように、目を閉じた。
ーーーーーー
ーーーー
ーー
ー
『……何者だ、貴様』
鷲の姿をした神獣は目の前にいる、小さな吸血鬼の少女にそう問う。
「ヴァンピィだよ!」
少女……ヴァンピィは、ニカッと笑顔でそう答えた。
『ヴァンピィか……まさかお前一人でここへ来たのではなかろう?』
「ううん、一人できたの!」
『なんだと』
この少女が、ダンジョン内の魔物達を倒し続けここへ来たというのか……
『信じられん』
「ほ、ホントだもん! ……あっ、でもこっそりここにきたから、パパとママにはナイショね」
神獣はまたも驚く。
なんとこの少女、お遊び感覚でここへ来たようだ。
『ますます信じられん』
しかし、ここへ到達したという事実は変わらない。
『すまんな、私はお前を殺さなければならないのだ』
宝物を狙うものは誰であろうと徹底的に排除する。
それが神獣の使命であり、生きる意味でもある。
「むぅ、ヴァンピィはそんなのやだ」
少女は、悲しそうにそんなことを言った。
『しかし私はやらなければならん。それが嫌なら今すぐ立ち去れ』
流石に子供を殺めるのは気が引けるようで、逃げるよう促す。
しかし、
「それもやなの」
今度はあっけらかんとして、また言った。
『なら殺すしかないな』
「だめなの」
『では去れ』
「やなの」
『ならころーー』
「だからいやなの」
『……』
困った。
明らかにこちらが正しいはずなのに、こうも我を通されると何も言えない。
『ではお前はどうしたいのだ』
「友達になって欲しいの!」
にぱっ! と予想外の返答をされた。
『なに? 宝物を狙っているのではないのか?』
「ほうもつ?」
ますます困った。
本人は宝物を狙っていないどころか、その存在すら知らないという。
これでは、本当に殺して良いものなのかと思ってしまう。
「ヴァンピィね、君のとこ着く前にも友達いっぱいつくったの!」
『はあ?』
それが本当なのだとしたら、このダンジョンの魔物の殆どが少女の味方になったと言える。
「みんな! こっちだよ〜!」
少女はそう後ろを向いて何かを呼んだ。
┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨……
『むっ』
地面が少し揺れ、土煙がたつ。
それが収まり、神獣の視界が晴れ、目の当たりにした光景は……
『なっ……』
「じゃーん!」
おびただしい数の魔物の群れだった。
しかも、種族同士が異なるのに、争いはなく統率が取れている。
「ヴァンピィのお友達なの!」
これには神獣も呆気にとられる。
そして、
『くくく……はぁあはははははは!!』
思わず笑いがこぼれる。
『面白い、気に入ったぞ吸血鬼の子よ!』
こいつなら託してもいいかも知れない。
神獣はそう思う。
「お友達になってくれる!?」
少女は目を輝かせている。
『うむ、是非なろう……それと、お前にこれを託す』
「んみゅ?」
ぽかんとしている少女に、鷲はその額を少女の額と合わせる。
すると、少女の身体から淡い光が発せられ、消えていく。
『今、お前に宝物を託した』
「ほうもつ……なぁにそれ?」
『なぁに、直にわかるさ』
神獣は不思議そうな顔でこちらを見上げる少女に、優しくそう言った。
「そうなの? ……えと、君のことなんて呼べばいいの?」
『私の名は無い。好きに呼ぶがいい』
そう促すと、少女は少し考え、
「パタさん! パタさんってこれから呼ぶの!」
『そうか……まぁいいだろう』
「それから、ヴァンピィの名前はヴァンピィなの!」
少女は改めてそう名乗った。
『そうか、ではよろしくな、ヴァンピィ』
「うん!」
『ということがあって、今に至る』
「いや、ヴァンピィ行動力恐ろしすぎじゃよ!!」
この後、勝手にダンジョンに行ったことをさりげなくチクられたヴァンピィは、めちゃんこ怒られたのであった。
▽
「ばいばいなのー!」
二人を乗せたパタさんは、城へ向かう。
「今日も楽しかったの!」
「我はヘトヘトじゃよ」
確かに、今日はリリィにとって災難な日であった。
ーーーしかし、ヴァンピィも成長してきたのう
心配する気持ち半分、嬉しい気持ち半分。しかしいつかは独り立ちする。
リリィはヴァンピィの成長をこのまま見守ろう。決して口出しはしない。そう決めたのであった。
「あっ、パタさん! 今度ダンジョン行ってみようよ!」
「いい加減にせんか馬鹿者ぉお!」
前言撤回、暫くは自宅謹慎の刑が課せられるのであった。
いつも読んでいただきありがとうございます!




