お昼寝の時間
最近気温が下がって、むしろ寒い!
ーーーん〜
俺は歩きながら悩んでいた。
ーーー《またくだらないことを考えているのですか?》
ーーーくだらないとは失礼な!
くだらくはない。これから来る俺の時代(予定)の第一歩なのだから。
ーーー《はぁ、では何を悩んでいるのです?》
クレルは呆れながらそう聞いてくる。
ーーーふっふーん、それはぁ……
ーーー《いちいち溜めなくて良いですから》
ーーーあっ! じゃあ教えねー!
ーーー《別に知りたいとは思いませんが》
クレルは初めから俺の計画には興味がなかったのだ!
ーーーねぇ、聞いてよー!
ーーー《なんか腹が立ったので聞きたくありません》
俺はてっきり、クレルが興味津々だったと思っていたので、そう返されたので困った。
ーーーぐすっ、もういいよ……
俺がそう、わざとらしく拗ねてみると、
ーーー《はぁ、仕方ないですね。聞いてあげましょう》
そう言ってくれた。
ついでに、俺の拗ね方が可愛かったのかと思っていると、
ーーー《あと、あまり拗ねないでください。キモすぎます》
はい、違うってことは分かってました。
ーーーでもさ、そんな言わんでもええねん……
と、傷ついた俺に、
ーーー《あー、はいはい、そういうのは良いですから》
クレルは冷たく返す。
ーーーひどっ! って、いつも通りかぁ
ーーー《早くしてください》
流石に話を進めないとクレルが怒りそうなので、説明する。
ーーー俺ってその内有名になるじゃん?
ーーー《一体どこからその自信が湧いてくるのです?》
俺が言ったら、クレルが馬鹿にした。
ーーーだ、だって俺結構前強いし……
ーーー《はぁ、それで『今回の事件を解決して有名になったらどんな二つ名にしようかなぁ』とかどうでもいいことを考えていたいたのですね》
俺はクレルの言ったことに驚いた。
ーーーな、なんでわかったの?
ーーー《私がマスター如きの考え、読めないとでも思いますか?》
ーーーい、いえ……
ーーー《それに二つ名などと……厨二病ですか?》
ーーーだ、だってカッコイイじゃん二つ名とか! 二つ名あったら別に厨二病でもいいし!!
とにかく俺は、二つ名にずっと憧れていた。
ーーー《そこまで仰っているのなら、何か良い案でもあるのです?》
その質問を待っていた。
ーーーある!
俺は自信たっぷりに答えた。
ーーー《では、言ってみてください》
ーーー焔の魔人!
ーーー《え、ダサッ》
素のリアクションで答えられた。
ーーーはぁ!? カッコイイだろ!
ーーー《ないですね。なんですか焔って、まだ“あの実習”のことを引きずっているのですか?》
ーーーぐぬぬ、かっこいいと思ったのにぃ
ーーー《で、もう終わりましたか?》
ーーーまだあるに決まってるだろ
そして俺はアイディアを言っていく。
ーーー永久の吹雪!
ーーー《どこにその要素があると……》
ーーーサクラダファミリア!
ーーー《言いたいだけでは?》
ーーーハラペーニョ!
ーーー《意味不明です》
ーーーエビチリ!
ーーー《ネタ切れですか……》
結局、俺の考えた二つ名はダメ出しを食らってぼつになった。
ーーーそ、そんなこと言ってるクレルはいい考えあんのかよ
ーーー《何故私がそんなことを考えなければならないのです》
クレルが疲れたようにいった。
ーーー頼む! クレルのその万能な知識を貸して欲しい!
俺がそう頼み込むと、
ーーー《し、仕方ありませんね》
渋々了承してくれた。
ーーー《では、“ヒュプノス”はどうでしょう》
ーーーひゅぷのす?
ーーー《はい、ギリシャ語で“眠り”を意味する言葉であり、ギリシャ神話では、眠りを司る神の名で知られています》
ーーーそれと俺になにが関係してんの?
眠りと言われてもイマイチピンとこない。
ーーー《あるではありませんか。授業中に居眠りなど》
ーーーあ、そーゆーこと!?
ーーー《まあ後はついでに、マスターは序盤に睡眠をバカスカ使って、一番愛着がありそうでしたから》
ーーーうん、それが大事なところ! ついでとか言わないでよ!
最近のクレルは、俺のツッコミを待っているかんじがする。
ーーーじゃあ俺は相手を眠らせて、とどめを刺すスタイルでいくか!
ーーー《ええ、暗殺者っぽくて痛い感じが良いですね》
ーーー痛い言うなし! 痛くねーし
やはりそうなのでは、と思ってしまう。
ーーー《それよりもいいのです? 私達のやり取りは時間的にそれほど長くはないにしても、襲撃を止めなくて》
俺とクレルの会話は、長いように見えて、それほど時間が経っていない。
例えるなら、普通の対話が三分であれば、俺とクレルのやり取りは一分で終わる感じだ。
なので、クレルがそう言ってくるのは尤もである。
しかし俺は、
ーーーそれは問題無い
と、余裕である。
ーーー《というと?》
ーーー俺の二つ名がヒュプノスって決まったじゃん?
ーーー《決まったのですか……》
ーーー決まったのです
どうやらクレルは、採用されるとは思ってなかったらしい。
……だって俺のネーミングセンスが壊滅的だったんだもん。
ーーーだから俺は“眠の神”であるヒュプノスみたいな感じに、睡眠を得意技として使うことにしたのだ!
ーーー《で、マスターはそのお得意の睡眠でこの学院全体を無差別に眠らせるという訳ですね》
ーーーそこは察するなよ!
クレルの読みには頭が上がりません。
ーーーまあでも学院長以外だし、しかもその方が他の生徒にもバレないで解決出来るしね
ーーー《マスターにしてはいいですね》
ーーーだろ?
クレルが認めれば大体は上手くいく。
認めなくても上手くいかせるけど。
「よし、じゃあいくぜ」
俺はそう言って、バッと構える(勿論意味など無い)。
ーーー《ださ》
ーーーうるさい
短いやり取りをして、
「探知」
先ずはこの広い学院の敷地を確認する。
ーーーひろっ
だいたい、半径一キロメートルの円にすっぽりと収まる広さだ。
それがわかればあとは簡単、チョー簡単。
「睡眠」
学院の敷地を、魔力のドームで覆い、睡眠を発動させる。
するとどうでしょう。
面白いくらいに人がバタバタと眠っていく。
襲撃者、生徒に教師……皆等しく眠りに着いた。
広範囲睡眠魔術、
「お昼寝の時間」
ーーー学院長は別な
ーーー《ええ、さっさと報告して後は任せておきましょう》
ーーーあーい
この日、“ベルゼ帝国”の者による襲撃は呆気なく幕を閉じた。
すいません、盛り上げといてこの結果……戦闘の表現が難しくてまだ書けないのです!
いやマジどうしよう……頑張ります。それしか言えない。