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走って走って走りまくりました

遅くなりすいません。忙しくなるので毎週更新となります。ご迷惑をお掛けします。

  「ふぅ……」



  ーーー何とか王国から出ることが出来たな……

 


  尾行の動きを封じた俺は、魔法が切れる前に王国から逃げることが出来た。

  幸いにも、意外と門が近かった。


  「さて、これからどうすっかなぁ」



  ーーーどっか近くの町でもないかな〜



  「取り敢えず歩こう」



  今は少しでも王国から離れた方がいい。

  とにかく次の目標は町か村にでも行ってみることにした。



 ーーーにしても、よく俺が王国から逃げようとすぐ決断できたな



  俺は人より優柔不断だ。

  そんな俺が、すぐに決断出来たことに自分でも驚いている。



  「ま、それが正解だったからいっか」



  とりあえず歩くことにした。



  ▽


  それから約二時間程歩いた頃、



  「よう兄ちゃん、こんな所に一人でブラついてたら危ねぇぞ~……ケッケッケ」



  盗賊だ。



 ーーーちっ出やがったか



  目の前にいる男達は四人。

  ここで俺は、街にいた店のおじさんから聞いたことを思い出した。



 ーーー敵はもっといる……はず



  「探知サーチ



  すると、木の影や、岩の影等に約十五人潜んでいた。

 


 ーーーあちゃ〜、どうやって逃げんだこれ


  すると四人の中の盗賊の一人が



  「おい、今すぐ金目のものを置いてどっか行きな。そしたら別に追いかけたりしねぇ。見逃してやる」



  流石にそれは出来るわけない。


 

 ーーー俺だって今は結構あるかもだけど、これからどう稼ぐか決まってないんだよ



  「ふぅ〜……よしっ」

  「あぁ?なんだ?」


 

 ーーーこうなったら腹を括るしかないな



  「おい、さっさとおいて……」

  「睡眠スリープ!」

  「あへぇ〜」



  間抜けな声を上げ、盗賊の一人が眠ってその場に倒れた。



  「おいてめぇ! 何しやがっーー」

  「睡眠スリープ!」

  「あへぇ〜」



  そして、すかさずもう一人に睡眠スリープ



  「ちぃ、魔術か……おい、お前ら! さっさと来い!」



  もう一人が言うと、残りの十五人全員が姿を現した。



  「やっちまえ!!」

  「睡眠スリープ!」



  一人が眠る。



  「睡眠スリープ!」


 

  また一人。



  「うぉぉぉぉ! 睡眠スリープ睡眠スリープ睡眠スリープ睡眠スリープぅ!」



  俺の作戦、それは



 ーーー滅茶苦茶 睡眠スリープを掛けまくってその隙ににげる!!



  「待ちやがれぇ!」

  「ひぃー!」



  盗賊達が物凄い形相で俺を追いかけてくる。



  ーーーやべぇ!まじ怖ぇ! 捕まったら死ぬ! 死ぬ!



  とにかく走って走って走りまくった。


 

  ▽


  「はぁ、はぁ、はぁ……」



  ーーーな、なんとか逃げ切ったぁ!



  走り続けて俺は何とか、盗賊から逃げ出すことが出来た。

 


  ーーーそれにしても逃げてばっかだな、俺……



  二度も自分がして来なかった大胆なことをして、大分テンションが下がっていた。



  「しっかし、逃げてこれたのはいいけど一体どこなんだ?ここは」



  逃げるのに必死過ぎて何も考えてなかったので、何処かの森に迷い込んでしまったようだ。



  「はぁ、ついてねーな俺」



  そんなことを言いながら歩き出そうとした時、



  「グルルル……」



  ーーーん? なんだ?



  気配がする方向へ振り向くと、



  「ひぎぃ!」



  ーーーなんか情けない声出しちまったな……イヤイヤイヤ! それどころじゃねーだろ!



  振り向いた先には、こちらを睨みつけている狼のような動物がいた。

  しかし、ただの狼ではない

 

  鋭く尖った歯が剥き出しで、薄らと血がついている。

  通常の狼とは異なり、かなりな大きな身体。推定全長約三メートルくらいだろうか。


  そして、何より特徴的なのは目だ。


  赤い。ドス黒いものが混じったような赤。



 ーーーっ! これが魔物……



  そう言えばここは森だ。森は魔物の住処と聞いていた。

  しかし、今気づいても遅い。遅すぎたのだ。



  ーーークソっ、なんで気が付かなかったんだよ!



  「グルァァァ!」

  「ぐっ!」



  魔物は咆哮を上げ、俺に襲いかかってきた。



  「おわっ!」



  間一髪、俺は横にとび何とか躱すことが出来た。



  「クソっ! さっき逃げてきたばっかでこれかよ!!」



 俺は愚痴りなら、体勢を整える。



  「睡眠スリープ!」


 

 そして、お得意の睡眠スリープを放つ。



  しかし魔物は、気にもせず再び襲いかかってきた。



  「ぐぁ!」



  何とかこちらも躱すことが出来たが、魔物の爪が俺の腹に掠った。



 ーーー掠っただけでもこれかよ……! しかも魔法がきかねぇ



  激痛に耐え立ち上がった俺は、



  「クソっ、こうなったら身体強化エンチャント!」



  初めて使う魔法だ。

  それを唱えると、身体軽くなり力も上がったような感じがした。



  「おぉぉぉりぁぁああ!!」



  再び俺は走る。とにかく走ることに徹する。

 


  何故なら魔物が追って来るから。

  追いつかれたら死ぬから。



  ーーーせっかく逃げたのにここで死んでたまるかっての!!



  生きる為に俺は走った。



  「おぉぉぉぉおお!!」

  「グルァァ!!」



  侵入者を始末しようと魔物も全力でで追ってくる。



  「おぉぉぉおお!!」

  「グルァァ!!」



  魔物が追う、俺が逃げる、魔物が追う、俺が逃げる……


  こうして死にものぐるいで走り続けていたとき……



  ―――俺の視界が真っ白に埋め尽くされた―――

 

読んでいただきありがとうございます!

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