森は危険だと経験したのに……
次の日、休日だったので俺は試験に向け、魔術の練習をしていた。
ーーーえーと……確か、イメージが大切だったよな
俺はリリィの王国を出て、結構離れた人気のない森に来ていた。
ーーー先ずは……うーんどうしようか
ーーー《焔の竜巻なんてどうでしょう》
ーーー掘り返すなよ!!
俺は魔術の実習の事を掘り返され、猛烈に恥ずかしくなった。
ーーー《では、担任がやった 初級魔術の火弾はどうでしょう》
ーーーそう、それだよ! 俺がやりたいのは基本だよ!
ーーー《流石のマスターも基本は大切になさるのですね。感心しました》
ーーー当たり前だろ。なにをやるにも基本が大事。じゃないと応用は完璧には出来ないからな
俺は馬鹿だが、基本は大切にするのだ。
ーーー《では早速、やってみて下さい》
ーーーおう
俺はイメージをする。
ーーー自分の魔力を手に集中させて……
すると、手がだんだん熱くなってきた。
ーーーそして魔力を外に出す感じで……
俺の手から熱が消え、その手から透明なモヤが見える。
ーーーそれを炎に変えて……
透明だったモヤが熱を持ち、メラメラと直径一メートル程の日の塊ができた。
ーーーそれを放つ
「火弾!」
するとその炎は勢いよく俺の手から放たれ……
ドゴォォォォォォォオ!!
思ったよりもかなりの威力だったようで、軽くクレーターができていた。
「………」
ーーーうん、やばいね。これは
ーーー《それより魔物が来ていますよ》
ーーーはぁ……
探知で確認したところ、俺の放った魔術に反応して五十体以上の魔物がやって来る。
ーーー多いんだけど
ーーー《マスターの自業自得です》
ーーーいや、先生がやった時はあんな威力じゃなかっただろ!?
ーーー《いえ、マスターの魔力が高過ぎただけです》
ーーーそれを早く言ってくれよ……
現れた魔物は、熊、蛇、狼など森中の魔物が集まって来ていた。
ーーーめちゃくちゃ怖いんだけど
ーーー《では、先程放った魔術を使ったら良いのでは?》
ーーーあんなのバカスカ放ったらこの森の生態系崩すわ!!
ーーー《ではどうします?》
ーーー簡単だよ
「睡眠!」
俺は睡眠を放つ。しかもそれはいつもとは違い、俺が魔物全体を魔力で覆うイメージをしたため、いちいち何回も放たなくても一度で全ての魔物にかけることが出来る筈なのだ。
案の定、魔物に睡眠が効き眠っていくーー
筈だった
ーーーう、嘘だろ
ーーー《いいえ、現実です》
魔物達は皆ピンピンしている。
そして俺の理解が追いつくのを待ってくれるはずも無く、魔物達が襲い掛かってくる。
「マジかよぉぉぉぉぉぉぉお!!」
蛇の魔物が素早い動きで俺の逃げ道を塞ぎ、狼の魔物達は物凄い連携で俺を翻弄し、熊の魔物がその隙をついて俺に強烈な一撃を叩き込んでくる。
ーーーくそっ、コイツらめちゃくちゃ連携が取れてんじゃねぇか!! 野生だろ!? 何でそんな知能がたけぇんだよ!?
ーーー《野生だからといって、全てがマスターの様に馬鹿ではありませんよ》
ーーーはいはい! いつもの息をするように出てくる俺への毒! ごちそうさまです!!
若干ヤケになりながらも、俺は魔物からの攻撃を、技能も使わず全てよけていた。
ーーーやっぱりダンジョンの道中みたいなそれなりの魔物だと、技能を使わなくても余裕で見切れんな
ーーー《マスターはそう仰っていますが、ダンジョンではどんな魔物も十から十五人編成の冒険者のパーティで挑んでも、最悪全滅も有り得るほどの強力な魔物ですよ》
ーーーそうだったのか。………いや待てよ? それをお前は俺に何度も戦わせてたよな?
ーーー《………》
ーーーおい! ……まぁ、そのお陰で俺が強くなれたんだから何も言えないけど
そう思いながら俺は魔術を使わずに魔物達をぶん殴る。
ーーーまぁ、流石に魔術無しではトドメはさせないか
かなりのダメージが入った様だが、致命傷には至らなかった。
ーーー《マスター、提案なのですが》
ーーーん?
ーーー《この機会に基礎魔法である火弾の威力のコントロールができるようになったら良いのでは?》
ーーーなるほど! イイな! ……でもまた失敗したら?
ーーー《それはそれでまた大量の魔物がマスターに襲いかかるだけです》
ーーーよし! しっかりやろう!!
そして俺は再び火弾に挑戦する。
ーーー先ずは、手に集中させる魔力を調節して……
イメージしながら俺は魔物達の攻撃を躱していく。
ーーーそれを外に出してみる
今の俺は自分でも驚くほど集中できていた。
ーーーそして火の玉に変えて……
すると今度は、バスケットボール程の大きさの火の玉ができた。
ーーーこんな感じか?
そして火の玉を放つ。
「火弾」
ドゴォン!
放たれた火の玉は勢いよく発射され、熊の魔物に命中した。それを食らった魔物の身体は砕け散った。
ーーー《さっきよりはマシになりましたね》
ーーーうん
ーーー《マスターは気づきましたか?》
ーーー何が?
ーーー《マスターは最初、炎をイメージしていましたが、先程行った時は火をイメージしたのです》
ーーー火をイメージ……ああ、それで威力が抑えられたのか
ーーー《はい、イメージが大切だというのはこの事です》
ーーーそうか、じゃあ後は何がダメだったんだ?
ーーー《魔力の調節です》
ーーー魔力の調節? 今のは結構抑えてたぞ
ーーー《それでもまだ抑える必要があるのです》
ーーー大体後半分くらい?
ーーー《試して見ては?》
ーーー分かった
そして今度は魔力を更に抑えて放った。
「火弾」
ドォン!
魔物に命中した。先程はオーバーキルだったが、今度は魔物の身体を破壊することなく殺すことが出来た。
ーーーよし
ーーー《流石です》
感覚を掴んだ俺はドンドン魔物を倒していった。
▽
「お、終わったぁぁぁ………」
なんとか全部させることが出来た俺は疲れきって、その場にパタリと倒れた。ふと空を見上げると、もう暗くなっていた。
ーーー《お疲れ様です》
ーーーおつかれー。でも、試験ではもっと威力を落とさないといけないんだよな?
ーーー《はい》
ーーーそれは逆に疲れるな
そんなことを思っていると
«生物の討伐を確認、レベルアップします。レベルアップ、レベルアップ、レベルアップ、レベルアップ、レベルアップ»
どうやらレベルが上がったようだ。
«……レベルが上がりました。レベルが180から250まで上がりました。レベル210達成ボーナスで技能、【貫通】を手に入れました。………レベル240達成ボーナスで技能、【高速治癒】を手に入れました。最終的な性能を表示します»
津田朱音 Lv250 男
ATC 82357 (65885up)
DFS 80375 (64300up)
SPD 92536 (74028up)
技能
思考加速 超反射 鑑定 神速 鬼力 圧倒的強者 貫通 高速治癒
魔術
睡眠〔極大〕 探知〔半径百メートル以内〕 毒〔大〕 身体強化〔極大〕 隠密〔大〕 火弾[調節]
副産物
経験値倍増
ーーーおっ! やった。覚えた
俺は火弾が表示されていることを確認した。
ーーーああ、それと新しい技能もあったな
新たな技能も手に入れたので、鑑定で確認した。
貫通………相手の防御、妨害、能力などの、自分の攻撃を妨げるものを無視する
高速治癒………部分欠損を除く傷は一瞬で治る
ーーーまたとんでもねぇのが出たな……
ーーー《ええ、貫通は先程のような魔術を無効化する魔物にも魔術を使うことが出来ますし、高速治癒は圧倒的強者と相性抜群ですからね》
ーーーそうだな、特に貫通は今後も必要だしな。それよりも……
俺の腹がグゥーと鳴った。
「腹減ったー」
この日は結構動いたので俺の腹はペコペコだった。
ーーー今日の飯何かなー
そう思いながら、俺は魔王城へと戻った。
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