プロローグ
少女は森の中を走っていた。その姿は、体中に様々な傷がついており、着ている服にも細かな破れた跡がついている状態だった。その少女は、まるで何かから逃げるように走っていた。素足のままで森の中を走っており、なれないのか木の根っこに足が取られ、何度も転んだ後もいることが見ることが出来る。
「この先に逃げたぞ、追え!」
その少女を追うように何人もの男が、後を追いかける。少女は、後から追いかけてくる男たちに気が付いたのか、その体を木々の中に隠してやり過ごそうとする。功を奏したのか男たちから少女の姿が見えなくなった。
「何処に行った!」
「まだ、このあたりにいるはずだ!急いで探せ!」
しばらくの間少女が隠れた周りを男たちが探したが、見つけることが出来ずに他の場所へと探しに行った。
しばらくその場所で少女が隠れ続け、周りに完全に追手がいなくなったと確信してから少女が隠れていた木々から姿を現した。雲に隠されていた月が隙間からあたりを照らして少女の姿がより詳しく見ることが出来るようになった。その少女はとても美しかった。また、耳の先が普通の人間よりもとがっており俗にいうエルフという種族という事が想像することが出来る。少女は自分が逃げた方を見ると赤い光で照らされていることに気づいた。森が燃やされているからだ。その燃やされていた場所はもともと少女が住む村があった場所。そのことに少女が顔を暗くした。
「お母さんが逃がしてくれたけどこの先どうしたら・・・」
そんな風に悲観的な言葉しか出てこない状態であった少女だが、周りから追手が近くに来ていることに気づいていなかった。
「こっちにいたぞ!」
「捕まえれば一攫千金だぞ!」
「追いかけろ」
少女は、自身が見つかったことにすぐに気づき、森の中にまた足を向けて逃げ始めた。
「はあ、 はあ、 いったいいつまで追いかけてくるの、この先にはあまり逃げ道がないのに」
少女がそう言ったように、逃げる先は崖が近くなっているようであった。しかし、捕まるわけにはいかない少女はそのまま進むしかなかった。
しばらく進むと、崖の上になった状態でそこから先にはもう進むことが出来ない状態であった。
今すぐ、道を戻ってほかの道を探さないと思い、道をどうするか少女が考えている時であった。少女が来た道から数多くの追手が着ていること気づいたのであった。
そのため、少女は追手が来ている方を、力ずくで突破するか、一か八かにかけて崖から飛び降りるという状態になったのである。
「やるしかない」
少女はそうつぶやくと、崖の方へと足を進めていった。一か八か崖に飛び込むことを選択したのだ。
そうして、少女が覚悟を決めて崖へ飛び込もうと足を進めると同時に追手が崖に追いついた。
「こっちにいたぞ!今すぐ捕らえろ!」
そんなことを言った男の周りの人間が動き出すと同時に、少女も崖へと走り出す。
「あいつ、崖に飛び込むつもりだ。今すぐに捕らえろ!」
追手の中で一番位が高い男がそんなことを言うが、その言葉が言い終わる時にはもう少女は、崖に飛び込む瞬間であった。飛び込む瞬間少女は追手に対して宣言するのであった。
「この蛮行、許されるわけがない!いつか、いつか!お前達のその面にほえ面をかかせてやる!」
そのようなことを言いながら少女は崖へと落ちていった。
追手たちも一応崖の方を見るが、助からないだろうと考えそれ以上の捜索はされなかった。
そんな、歴史にものならこのような事がこの物語の始まりだったのです。
このような事が起きてから幾星霜の時が流れた。
今この場所では、とても大きな祭りが開催されていた。
その祭りは建国祭であるようだった。町中の垂れ幕には建国1000年を称える賛辞がとても多く書かれていた。そんな街の中を多くの馬車が大通りを通っていた。どうやらパレードのようであった。そんなパレードの中で、この国建国から一度も代替わりすることなく、民たちの先頭に立ち導いていく王である彼女は心の中でこんなことを思っていた。
『どうしてこんなことになっているのかしら。』
王としてはどうなのだろうかと思うようなことだが、彼女の心境としては本当にこんなことになぜなったのかという事しかないのである。
『でも、みんなが私を王として認めているのだから、まだ頑張らないと』
そんなことを考えていると馬車が目的の場所についたのかその動きが止まった。
その場所は、馬車が通った大通りの先にある大きな広場であった。その場所には、多くの人々が集まっていた。また、様様な種族が集まっていた。それぞれが喧嘩をすることなく、この建国祭を楽しんでもいた。しかし、馬車が着いた他ことが分かるとそのけん騒も少しずつ小さくなりやがて先ほどまでの盛り上がりが嘘のような状態になった。そのような状態になってから、彼女は馬車から出てきた。その姿は、あの時崖から落ちた少女がそのままに大きくなり、さらに美しさが増した姿であった。考えることもないがその時の少女である。あの時から幾星霜の時が流れているにもかかわらず、その美しさはさらに磨きがかかっており、その肉体女性すら魅了するほどの豊満な体つきであった。もう少女という言葉は似合わなくなり、絶世の美女と表現することが出来ないほどであった。
その美女が、民衆の間に合った道を進んでいく。進んでいくにつれて、民衆がまた騒がしくなっていく。
「王だ」
「王が来られたぞ!」
その歓声は瞬く間に広がっていき、彼女が広場の真ん中に再び静まるのであった。
そうして静まった後、彼女がしゃべり始めた。
「皆のども!まずこの場所に集まってくれて感謝を述べさせもらう!そしてこの国が1000年も続いたのは、そなた達が私を信仰し王であってくれと願っていたからである!そのことにも感謝しよう!長ったらしい言葉なしにしてここに宣言しよう。ここにてエルフブランナバーン国1000年祭の開催を宣言する!」
そのように宣言すると民衆たちからも歓喜の声が大きく上がる。言葉にすれば「わああああああ」と表すことが出来るようなものである。
そうして、彼女が中央から立ち去った後も歓声はいつまでも続いて、民衆は祭りの始まりを楽しんだのであった。
そんな広場から離れるために再び、馬車に乗り彼女は自分の居住する場所である城へと戻っていくのである。そんな馬車の中で再び彼女は考えるのである。
『どうして私はこの国の王になって、しまったのだろうか』
そんなことを考える彼女は、こんなことになった始まりを思い出していくのである。
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