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異世界転生した鼠小僧は義賊になる  作者: とんし
動乱編
88/93

#88 バルバリス王国国王の死去

次郎吉がバルバリス王国を中心に泥棒を再開する。すると当然シルファリッド王国の貴族たちは鼠小僧がバルバリス王国にいると分かるので、当然油断することになる。なので次郎吉はその油断を突いてシルファリッド王国の貴族たちに嫌がらせの泥棒をした。


この嫌がらせはビオラの指示で次郎吉を狙っており、かつ悪い商売をしている貴族を標的に狙っている。どれだけの事があっても悪い金持ちを狙うところだけは次郎吉の泥棒としての主義で変えることはなかった。


逆にそこまで悪さをしていないが権力などに取りつかれている貴族を怪盗キャリコが狙っているという形だ。当然ソリスも黙っているわけには行かないが現状後手に回っている。


その結果にソリスの新しいコミッショナーは苛立ちを部下にぶつけるが部下は気付いている。コミッショナーの指示がぶれており、ソリスの配置が滅茶苦茶になっているのだ。怪盗キャリコを狙って配置したかと思えば鼠小僧のために配置を変えるのだからソリスとしては溜まったものではない。


「最初の配置はなんのためにしたんだよ……」


「馬鹿。聞こえるとクビになるぞ。お前」


「分かっている! 分かっているけどよ……あいつの指示ミスなのに俺たちが指示通り動かないのが悪いとか言われたら、ミスを指摘したくもなるだろ?」


「まぁ、そうだよな」


ソリスの中で確実にコミッショナーへの不満が溜まっていく。新しいコミッショナーからすると犠牲になった貴族たちから激しいバッシングを受けた結果であり、新しいコミッショナーであるが故に信頼できる部下がいないのが辛すぎた。


信頼できる部下がいれば自分の指示が正当性の評価など聞いた上で決断できるのだが、現状だとコミッショナーの脳内イメージで指示出ししてそれが現実では上手くい行かない状況だ。自分の脳内で上手くいっているんだから現実で成功しないのは実際に動いている人間が悪いという判断となる。


もちろん激しいバッシングを部下にぶつけるのは上に立つ者がするべきことではないし、現実を計算に入れて脳内で作戦立案をするものだ。それが出来ていないということは彼にはコミッショナーを背負る力が無かったということだろう。


しかし国としても簡単にコミッショナーを変えることは出来ない。上の人間を次々変えていると国民から疑心の目を受けられてしまうからだ。それを分かった上でギルター宰相も新しいコミッショナーに自分の派閥の人間を推薦したわけだけどね。


そんな情勢下で世界情勢を大きく変える大ニュースが世界を震撼させることとなる。


『バルバリス王国の国王、死去』


遂にバルバリス王国の国王が死去したのだ。そしてこのニュースが入る前にラピーシア・シルファリッド王女は自分と同じ年で友達の関係であるバルバリス王国の次期第一王女候補から手紙を受け取っていた。


『お爺様がもうすぐお命がつきようとしております。わたしくの命を狙われる可能性が高いらしいので、わたしくをシルファリッド王国に亡命させてくださりませんか? プリマ・バルバリス』


バルバリス王国の王族たちも馬鹿ではなく、ウィンバース宰相の怪しい動きを察知していた。バルバリス王国の王族の構成は国王の下に王子が一つおり、プリマ・バルバリスはその王子と妻との間に生まれた一人っ子である。


つまり国王が死去した場合、自動的に次期国王はプリマ・バルバリスの父親となる。ウィンバース宰相の狙いが国の乗ったりなら誰か王族を残して国を自分の思うがままに動かさなければならない。王族を殺せば彼は当然国家反逆罪で死刑となり、上に立つことは出来ない。ウィンバース宰相が国王になるためにはまず国の法律を変えるしかないのだ。


しかし国の法律を変えるためには王族の承認が必要となる。ならば彼はどうするべきか。自分の思い通りにならない存在を合法的に消して自分の思い通りに動く存在を狙う。つまりまだ幼いプリマ・バルバリスが狙われる可能性が一番高いことに彼女の父親たちや王族の側近たちは気が付いたのだ。


ウィンバース宰相の動きを止められるならそれが一番いいがそれが出来ないのならプリマ・バルバリスを国外に逃がすしかない。王族がそれを判断したということはウィンバース宰相の力を今の王族では止められないぐらいになっているという証拠だ。


ラピーシア王女はこのことをすぐに国王に相談したが結果は手を出すことは出来ないだった。彼女たちが友達だったとしてもバルバリス王国とシルファリッド王国との仲は現状良くはない。戦争してきた歴史があるのだ。仲良くなるというのは相当難しい。


しかも亡命出来たとしてもウィンバース宰相が彼女を逃がすはずがない。シルファリッド王国に対して様々な要求を突き付けてくるだろう。それが飲めないと反発すれば戦争の引き金になる。シルファリッド王国の立場からすればここは傍観したいというのが本音だ。他国の王女の人生と戦争で失われる自国民の命、王ならどちらを選ぶかは決まっていた。


しかしラピーシア王女はプリマ次期王女をこのまま見逃すことは出来なかった。それだけ彼女たちの仲は良かったのだ。


「なんとか彼女を救い出す方法は無いものでしょうか?」


「流石に打つ手がありません。あなた様の行動一つで戦争の引き金となる事態です」


「それは分かってますけど……」


「打てる手なら一応ありはしますよ」


ラピーシア王女の相談に乗っていたルルは打つ手なしと答えたところ一緒にいたゲオリオが案があるとい言うとラピーシア王女は久々に笑顔を見せた。


「本当ですか!? ゲオリオ!?」


「おい……言っておくが『アルバ』は今回使えないぞ」


「そんなことは分かっている。『アルバ』は我が国を蝕んでいる害虫を駆除する組織だからな。バルバリス王国は対象外だ」


対象外といってもシルファリッド王国の悪徳貴族とバルバリス王国の悪徳貴族が繋がっていたなら狙う可能性はあるが基本的には自国優先の組織である。


「ならどうするつもりだ? またあの鼠小僧を使うとか言い出すのではないだろうな?」


「流石。よくわかっているじゃないか」


「あのな……あいつが今、どんな状況にあると思っているんだ? シルファリッド王国から指名手配させ、ビャク王国はあいつの危険性を認識したそうじゃないか。その上、お前はバルバリス王国にまで目を付けさせるつもりか?」


「随分優しいことを言っているな。ルル。まさかジロキチに惚れ」


ルルは抜刀するとゲオリオの顔目掛けて剣を投げた。ゲオリオはなんなく躱すが躱していないと顔面に直撃していた。


「殺すぞ。お前」


「殺そうとした攻撃だったぞ。まぁ、この仕事を受けるかどうかを決めるのはジロキチだ。あいつは一流の悪人です。仕事を依頼するならそれなりの覚悟をしてください。あいつはこれから商売が軌道に乗りつつある状況です。泥棒で金もある。交渉するのは相当大変ですよ」


「分かりました。それでもわたしくはジロキチさんに賭けたいと思います。だって彼女はわたしくの友人を一人既に救っているのですから」


こうしてまたとんでもない依頼が次郎吉のところに舞い込むことになるのだった。

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