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異世界転生した鼠小僧は義賊になる  作者: とんし
動乱編
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#86 新たな村人と協力交渉

正式に次郎吉の弟子となったカナリはソーサリーファクトの基本を学ぶところから始まる。これは次郎吉が子供の頃に通った道と同じだ。次郎吉はその後、簡単なソーサリーファクトで尚且つ生活に役立つ代物として灯りのソーサリーファクトをカナリに作らせる予定を組む。


現代の家のように各部屋や通路に灯りがあるのが理想的だがそんな余裕はない。だからいくら作っても現状困らず作る上で非常に簡単なソーサリーファクトとして優秀だと次郎吉は判断した。


一方カナリを教えつつ、マナ結晶の採掘も行い残った時間で次郎吉はフェルに約束した透明のマントのソーサリーファクトと銭湯のソーサリーファクト作製に移る。


大忙しの次郎吉たちだが、サヤたちも宴後に他の獣人の村との交渉を本格化していく。といっても彼らのほうからサヤたちに接触する獣人が多くいた。


彼らのほとんどは村を無くし、行き場を失った獣人たちだった。村があることは知っていたが村に住んでも人間に襲われるなら村に住みたくはない。命が惜しい者からしたら当然の選択だと言える。


そんな彼らが人間の魔法や火矢を無効化する謎の力を目撃し、村を無傷で守り抜き、人間の部隊を全滅されたサヤの村の戦果をその目で見たら、一緒に住みたいと思うのは必然と言えた。


そしてこの話は人伝(ひとづて)に広まっていき、結果的に野良の獣人がかなり集まる結果となった。こうなると元々村を持っている獣人たちもサヤの村の存在を無視できなくなって来た。


小さな村はサヤの村の力を頼りにしたくなるし、大きな村は自分たちの村と同等まで大きくなる可能性が高いサヤの村の存在を脅威に感じていた。


獣人たちの現状を見ると権力や地位に固執する場合ではないはずだが、大きな村の村長や代表まで行くとその自分たちの地位を捨てることが出来ないものだ。結果的には話し合いも有意義な物にはならない。


「一応人間との戦いにおいて協力する約束を取ることには成功しましたけど」


「協力関係と聞くと聞こえはいいが一方的に利用されるだけの可能性のほうが高い気がするな」


「どういうことだよ?」


「例えばの話だが、人間に村が襲われた。協力関係を結んだんだからこちらは部隊を出さないといけない。そしたら何故か人間と戦っていたのは駆け付けた方だけとかな」


襲われたのは村の守備を優先したとかいくらでも言い訳が出来てしまう。因みに協力要請をされたほうもいくらでも形だけの協力することが出来てしまうのが問題となる。


「ジロキチさんが相手の村の人ならどうしますか?」


「俺っちなら駆け付けるだけ駆け付けて獣人たちの勝ちが確定してから戦闘参加して、協力した報酬を要求。この勝利は自分たちの助けがあってこそだと他の村に宣伝する感じか?」


「うわー……最低だな」


「だが、実際にしそうではあるな。自分たちの被害は最小限に美味しい汁は飲めるだけ飲むのが政治だ」


次郎吉とガルザは大人故にかなりシビアだ。ここで実際に交渉したサヤが不安そうに聞いた来た。


「まずかったでしょうか? 相手に人にだいぶ押されてしまったんですが」


「その状態で不利な条件を結んでいないんだから十分合格点さ」


サヤはまだ幼く、代表者としての経験も外交の経験もほぼないと言っていい。その状況下で高圧的な相手に対して飲めないなものは飲めないとちゃんと拒否できたところは評価しないといけないだろう。もちろんサヤがこれが出来たことは次郎吉が一枚嚙んでいる。


次郎吉からすると相手の動きは非常に読みやすい状況だ。自分たちの戦力を教えて恐喝のようなことはしてくることは簡単に想像できる。次郎吉はそれに対して自分を使うように指示した。


実際に相手の戦力の脅しに対してサヤはこちらには優れた人間の技術者がいると返したことで相手は詰んだ。必死に人間と協力するサヤを非難してきたがそれで救われる獣人の命と村があったと言われたら相手は何も言えない。ここで獣人の命を軽んじた発言するとアウトになるからね。


相手からすると今は妥協して人間の技術を盗める物は盗んだほうがお得。サヤの村で不祥事が起きる度に人間のせいだと責められるから引く判断をしたんだろう。これらを踏まえて次郎吉は言う。


「実際相手がどんなことを考えているか俺っちたちにはわからない。だからこそ俺っちたちに今求められるのは援軍を期待しないことだ。援軍に期待した結果、村が全滅しましたじゃあ笑えないからな」


「そうだな。幸い前の戦いで人間の武器と防具が結構手に入った。新しい連中も血気盛んな奴が多い。今は新しい仲間との信頼関係構築と訓練優先だな」


「俺っち的にはまた採掘に付き合って欲しいが」


「罠の再設置が済めば俺たちが手伝えるぜ? ジロキチさん」


こうして次郎吉たちの村は発展していくこととなる。新しい家が建ち、村にはソーサリーファクトの灯りが増えて来る。それを知った他の村の獣人たちが移住を希望するものが増えて更に村が発展していくのだった。

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