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異世界転生した鼠小僧は義賊になる  作者: とんし
動乱編
122/122

#122 その後の歴史

その後の世界では激動の時代を迎えることとなった。シルファリッド王国では国王が死去し、ノエール第一王子が王位を継承。ラピーシア王女はノエール王の補佐に回り、外交で活躍することとなる。


バルバリス王国では成人した王族しか入れない遺跡に入り、プリマ王女の身体に王族の証を刻んだことでウィンバース宰相に対して宣戦布告。国民と元騎士団を味方に付けつつ、シルファリッド王国とエルフたちの支援を受けて、ウィンバース宰相を討伐。王位奪還を成功させた。


バルバリス王国の女王となったプリマ女王は国民の反対に対してエルフと獣人の良さを国民に伝えて、長年かけてようやく説得に成功し、和平協定を結ぶと獣人たちに対しては支援を行った。


結果、獣人たちは武器を得て、ビャク王国に対して宣戦布告。既にヨモギ宰相を失っていたビャク王国はソーサリーファクトを装備した獣人たちに手も足も出ることなく、敗北。ビャク王国は獣人の国となったがサヤたちが王になることは無く、自分たちの村で平和に暮らす道を選択するのだった。


その激動の時代の中で冷蔵庫のソーサリーファクト、温泉のソーサリーファクトが急速に広がり全世界で大ヒットとなった。結果、料理と温泉に入れる宿屋が人気となり、ビオラは巨万の富を手に入れた。


これにて次郎吉が生きた時代の歴史は幕を閉じる。


鼠小僧がどうなったのか知る者はほとんどいない。一説によると再び泥棒を再開し、ハゲッツチーフと戦い続けた果てに捕まり再び騒動を恐れたソリスが秘密裏に鼠小僧を処刑した。また別の説では獣人の村で平和に過ごして寿命を全うした。はたまた怪盗キャリコの隣に謎の男がいた話もある。挙句の果てに酒屋で酒を飲みすぎて死んだ説まである。


鼠小僧がいなくなったことで鼠小僧を真似した模造犯がいっぱい出たことでよくわからくなったのだ。更に鼠小僧に味方したエルフなら記憶喪失を治せる魔法があるのでは?という憶測や自ら記憶喪失になった鼠小僧なら記憶喪失を治すソーサリーファクトを用意している可能性が指摘された。これは魔道技師なら最悪の事態を想定し、何かしらのリカバリー手段を用意するのが普通だからだ。


いずれにしても鼠小僧がどうなったかは本人たちしかわからない。ただ一つだけ確かなことがある。この世界では鼠小僧は最強の犯罪者として名を残し、エルフからは人間の友と記録され、獣人とシルファリッド王国の国民からは英雄として名を遺した。


(この世界での死も悪く無かったな)


次郎吉は今回も満足した死を迎え、そして彼をよく知る人たちは彼を称えて各地に像や墓を建てたのだった。



そして死を迎えた次郎吉は再び真っ白な空間に気付いたら立っていた。


「またかよ」


「随分嫌そうな顔をしますね? 折角温情を与えられたというのに」


「出たな。妖怪、金髪鳥人間」


「天罰」


金髪鳥人間と呼ばれた天使が雷を落とすが次郎吉は躱した。


「残念だったな。そんな見え見えの攻撃当たってやらねーぞ?」


「異世界で変に実力を付けましたね。それに異世界のほうがややこしい経歴を残すとか……あなた私を困らせるためにわざとやっているでしょう?」


「そんなことはねーぞ。結局人間転生しても人生のほとんどは変わらないってことなんじゃないのか?」


「それはあなたの場合なだけの話です。転生して悔い改める人もいるんですよ」


流石にこれに関しては天使のほうが経験者なので次郎吉も反論することは無い。


「そうかよ……それで? 結局俺っちをどうする結論になったんだよ」


「もう一回異世界転生」


「ふざけれているよな? お前? 結論出すために異世界に送っといてそれはねーだろ」


「冗談です。結論から言うとあなたは地獄送り、記憶喪失で現れたあなたのもう一つの人格は天国送りとなります」


記憶喪失で現れた人格は犯罪をしていないので、これは妥当な判断と言えた。


「そっか。ならさっさと地獄なり送ってくれ」


「あなたはそれで納得しているんですか?」


「もちろん。俺っちは根っからの犯罪者だ。色々な結果が変な風になり、英雄視されただけ。その結果で犯罪者の俺っちを否定されたら根っからの犯罪者の俺っちはどうすればいいと思うんだよ?」


「確かに意味が分からなくもなりますね。では、もうあなたと合うことはありません。地獄にて己の数々の悪行を反省してください」


そういうと次郎吉の立っていた床に穴が開き、次郎吉はどこかに落下していくのだった。それを見届けると神である老人が現れた。


「これで良かったのですか? 神様」


「うむ。満足する結果を得たわい」


「差し支えなければその結果、教えて貰ってもいいですか?」


「英雄はなるべくして英雄となる。闇が立ち込めている世界ならなおの事世界は英雄を欲する。そして一人の英雄は世界の行く末、運命を良くも悪くも変化させる。鼠小僧にはその力があった。世界を運営する者として実に有意義な者を見せて貰ったわい」


次郎吉が神に見せた人生で他の世界がどうなるかはわからない。しかしお金に目がくらんだ腐った権力者が蔓延る世界にはいつか鼠小僧のような泥棒が現れるかも知れない。

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