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自称悪役聖女は今度こそ生き延びます!  作者: りおん
2章 マルクとシェリアの出会い編(むしろエドガーとの出会い)
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俺を見てくれ

シェリアとマルクの喧嘩の日の、マルクsideです

相も変わらず、聖女様は王宮の場所をよく知っているらしい

聖女様専用の訓練場は未だ解放されていなかったはずだが、何食わぬ顔で入っていく



訓練場の真ん中まで歩くと、聖女様はこちらを振り返った



「マルク、あなた聖女の力がどんなものか何も知らないでしょう?だから見せてあげる。

二度と私と関わりたくないと思えるように、痛めつけてあげるわ」




(知らないのは聖女様だろう?)




力の使えない聖女など相手にもならない

勝利を確信した俺は思わず口角が上がってしまった



「確かにどんなものかは知らないが、まだ使えないことぐらいは知ってんだぞ?

強がって痛い目見ても知らないからな!」



殺すつもりはないので、急所は外す

技や駆け引きなどは必要ないだろう。速さと威力があればそれだけで事足りるはずだ



マルクが剣を振り上げると同時、聖女様から光が溢れた


しかし高速で動くマルクは、それが何なのか理解するより先に、聖女様に向かって剣を振り下ろしている



ガキンッという音ともに体が止まる



急激に止まったことへの衝撃もなく、剣は押しても引いても動かない

何より、それを行なっているのが聖女様の左手だという事実はマルクを混乱させるのに十分すぎた



「なっ、なぜ力が使える!!!いや!それ以前に剣を素手で掴むなど!!というか聖女の力がそんな個人的なものであるはずが!!!!」


呆気にとられたマルクは、自分の動揺を言葉に出していることも気づかない




そんなマルクに不意に聖女様が微笑み




そして



剣をへし折った





「...........はっ?」




半分になった剣を見つめ、つい茫然自失となってしまった俺は

さっき剣を折った手が額に近づいてきていることに、眼前に迫るまで気づくことができなかった



(死ぬ)



それが確信へと変わるや否や、気が狂ったように叫ぶ





「少し、眠りなさい」




その言葉が耳に届く前に、俺の意識は途切れた




-----




その日、俺は夢を見た



「兄さん!」


ライドの背中を必死に追いかけている自分を、どこか他人事のように見ている俺



いくら叫んでも兄は振り返らない

俺の声など聞こえていないかのようにどんどん離れていく


周りの期待などまるでないかのように、約束された地位でさえも、いらないかのように



「兄さん!!」



(あぁ、俺は)



"兄のために力を誇示しなければ"

そんなのは言い訳でしかなかったことに気づく


兄は周りの期待など、微塵も気にしていなかったというのに





夢の中の俺は、遥か先を行く兄を見て今にも泣きそうになっている



(俺は、兄に振り向いて欲しかったんだ)



自分が強くなれば兄も俺を見てくれるんじゃないか

その一心であったことに、今更気付く






(あぁ、だから)



力はあるのに地位などいらないと言い、俺のことを見もしない聖女様


そこに兄の姿を重ねていたのだと理解した





(ただの、八つ当たりだったのか)



マルクは少し寂しい気分になりつつも、再び深い眠りに落ちていった

そういえば、前回でマルクはクリスタルローズが黄色に見えていましたね


マルクとシェリアの出会い編(むしろエドガーとの出会い)のマルクsideは終わり、次回はエドガーsideです

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