闇のグルメ(5)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の新たな物語。
が、この男は最大のミスを犯した。それは、朱雀を食材と見なしてナメたことである。
彼女は食人族の一瞬のスキを突いて倒立し、足に仕込んだナイフで自分を連行する部下達の首を斬ったあと、手の力だけで宙を舞いつつ自力で鎖をほどき、ブレードトンファーを取り返した。
あっという間に起きた逆転劇に、顎門はあからさまに狼狽える。
「何!?」
「顎門っちゅうたな。うちからも1つ言わせてもらう。うちもあんたと同じ捕食者や。オス殺して、ディープキスで食らい尽くさな心が満たされへん最狂のグルメや。せやから思い知らせたるわ。食われんのはあんたの方やってな!」
「バカな! もう動けるというのか!? な、何をしている! 早く奴を捕らえろ! 何なら殺してもいい! 私がすぐかぶりつけばいい話だ!」
明らかに冷静さを失って指示を出す顎門を見て、朱雀は呆れ果てた。
「あんたなぁ、かぶりつくなんてマナー違反もえぇとこやろ。グルメ自称するんやったら、マナーぐらい心得とけ」
「黙れっ! おい、どうした!? 早く援軍を……」
顎門はそう言ったが、部下はできないと答えた。他の食人族達を、青龍とペガサスと黒い闇のような者に全滅させられたという情報が入ってきたからである。
(黒い闇やて? もしかしたらそいつが、白虎の技使っとった得体の知れん者か。まぁ、そんなことより……)
顎門の部下の話を聞いた朱雀は、そう考えていたが、それどころではないと頭を激しく振り、
「今は仕事や!」
と、言って、食人族共に火薬針を撃ち込んで頭を破裂させてから、テーブルを駆け抜け、顎門の首にブレードトンをクロスして突きつけた。
「くっ。おのれぇ、この家畜がぁ!」
「やーっと本性現しよったな。けど、残念やったなぁ。油断大敵。あんたの負けや」
「ふざけるな!」
「ほんまは口臭キツい男はNGやねんけど、この際しゃあない。腐りかけの劣悪品で我慢しといたるわ!」
トドメの暴言を吐いた朱雀は、躊躇せず顎門の首を切断し、返り血のシャワーを大量に浴びながら、彼の生首にディープキスした。
結局、闇のグルメの称号にふさわしかったのは、朱雀ということですね。




