闇のグルメ(3)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の新たな物語。
一方その頃、朱雀は両手を鎖で縛られるという窮地を迎えていた。
例の通信のあと彼女は、食人族が放った薬品の霧を吸い込んでしまったことで昏倒し、捕らわれてしまっていたのである。
その結果、目を覚ますとこの状態で、ブレードトンファーも足では届かない位置に突き刺さっていることに気付いた朱雀は、何とか鎖を引きちぎろうと必死にもがいたが、どうすることもできずに途方に暮れていた。
すると、彼女の目の前のテーブルでステーキらしきものを食べている男が、食事中にうるさいと注意してきた。
男の風貌からしてこいつが族長か。それを見抜いた朱雀がそれを言い当てると、男は自分が族長だと認めた。
「いかにも。私の名は顎門。皆からはボスと呼ばれ、慕われている」
紳士的にそう答える彼の態度を見て、雲雀は意外に感じた。食人族というぐらいだから、野蛮人だという偏見を持っていたからである。
「あっそ。まぁそれはえぇわ。そんなことより聞かせてくれるか? 何でうちらを狙ったんか」
雲雀が単刀直入にそう尋ねると、顎門は悪びれもせず、理由を語った。
彼らにとっては人間は食料であり、昼間のことはいわゆる狩りである。
ただ、闇雲に狩りをしても食事にありつけない。そこで顎門は、余暇を楽しもうと油断しきっている旅行者を狙うよう民達を指導した。
やがて指導が上手くいき、余裕が出始めると、顎門は己の欲望を満たすことに固執するようになった。
それは、人肉に強いこだわりを持つ彼が追い求める最高に上質の肉を食すこと。
自称グルメの彼は、醜悪で貧相な容姿を持つ者や老人の肉を好まず、新鮮で最上の物を調理せず、生で味わうことを生き甲斐にしている。
そこで獲物として選ばれたのが彼女だった。
顎門は食人族という蛮族ながら、グルメとしてのポリシーを持っています。
とはいえ、食人。ダメゼッタイ。




