想いの念(4)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の新たな物語。
どこかに勝機は無いか? 黄泉と対峙し、そう思う青龍だったが、彼は1人で戦ってるわけではなかった。
膨大なエネルギーが突然、お守りを握りしめる彼の右手とドラコスラッシャーを優しく包み込む。
何事かと、青龍達がそれの出どころを辿っていくと、そこには、青龍に向けて懸命に念を放つ子供達と菊代がいた。神楽の力が残り少ないことから、青龍に希望を託したのである。
「ほう。まだ生き残っておったか。クローンよ。そうまでして、この死に損ない共を守りたいか」
黄泉の威圧感を前に、菊代達は臆せず頷き、
「そうだ! おいら達は母ちゃんを守るんだ!」
「母さんをやみんなをいじめる黄泉は、地獄に落ちちゃえ!」
「そのために、僅かに残った力をあなたに貸します」
菊代と子供達の想いと力を受け取った青龍は、感謝した。
「ふっ。無駄なあがきを。ならば、刃向かう子供から始末してくれよう」
黄泉がそう言って近付こうとすると、3人は死の恐怖から念を全解放した。
その念は死んでいった民らの残留思念をも引き寄せ、菊代らの体を通して、それらを青龍へと伝達する。これにはさすがの黄泉も想定外だったらしく、冷静さを失った。
彼女の様子を見た菊代は、残留思念や念の作用で本来の年齢に若返りながら、
「今です、龍さん! 私達の全てを彼女に!」
と、叫んだ。
その想いに応えようと青龍は、菊代らの念をまとったドラコスラッシャーで、自身に背を向けた黄泉の腰を真一文字に切り裂き、真っ二つにした。
「……見事。よもやこうなるとはな。だが、神楽よ。これでお前は、また孤独になった。1人寂しく虚しい人生を送るがよい。さらばだ……ははははは………………」
そう吐き捨てて、黄泉は絶命した。
青龍と神楽は最初、黄泉の最期の言葉の意味がわからなかったが、子供達は勝利を喜ぶだろうと彼女らの方を振り向いた時に、それを理解した。
命を削って念を放出し、さらには村人らの思念の繋ぎ役となったことで、念のバックファイアを起こした菊代達は、影しか残らなくなっていたのだ。
姉を討つという悲願は果たせたものの、何も残らないという結果に、虚しさを感じる2人の足下から、次々とクローンや神楽の両親達の魂が天へ昇っていき、成仏していく。
その光景はとても幻想的だったが、神楽にとっては悲しいものであり、彼女は旅立つ菊代らの面影の幻を見ながら泣き崩れた…………
戦いはおわりました。
が、戦いとは得てして、あらゆるものを失い、虚しい結末が待っているものです。




