村の秘密(5)
闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。
これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の新たな物語。
大牙と黄泉が接触していることなど、夢にも思っていない龍は、神楽に連れられ宇宙船内部の一室に通されていた。
室内の機械の構造などに、龍が不思議に思っていると、神楽は先程の話の続きを語り始めた。
1人になった神楽は姉の封印を監視するため、念の大半を血液に混ぜて循環させることで不老不死になっていたのだが、それでは姉に勝てないとすぐに悟った。
そこで彼女はこの部屋で、自分の卵子を基にクローンを生み出すことにした。そのクローンこそが今の村人である。
クローン達には黄泉の危険性を遺伝子段階で植え付けており、黄泉が復活した際には、神楽を守りつつ、先陣きって黄泉を討伐するよう教育も施されている。
しかし、所詮はクローン。最初の内は質が良いのができるが、生み出すごとに劣化していく。その証拠に、一番最近生み出したクローンである菊代は本来14歳なのだが、成長スピードが早く、あのような姿になってしまっている。彼女のような存在を生み出して黄泉と戦わせ、自分は安全なところに逃れる。それが彼女の言う罪であった。
菊代の真相を聞いた龍は、彼女が自分と同い年ということに驚愕し、それだけしか生きれない彼女の人生に同情した。
神楽はそんな感傷に浸る龍を連れて、通信室に移動し、彼に依頼を出した経緯を話した。
2週間前の地震による落石で黄泉が目覚めたことを知った彼女は、計画通り村人に迎撃させていたのだが、予想以上の被害の大きさに、自分達だけでは対処できないと悟り、死獣神に依頼した。
それだけではなく、彼女は念押しで彼らのテレビやパソコンなどを用いたサブリミナル効果を行い、依頼を是が非でも受けるように仕向け、報酬も直接口座に転送していたのだ。
「……そうまでして守りたかったんですね。この村を」
彼女の執念ともいえる決意を知った龍がそう言うと、神楽は頷いてから、罪悪感から下を向いた。
「私、最低ですね。自分は500年も戦わずに、クローンを戦わせるように仕向けて、その上、あなた達まで利用して……本当に申し訳ありません」
神楽はそう言うと、頭を下げた。許されることではないとわかってはいるが、これが彼女ができる精一杯の誠意であった。
しかし、プロの殺し屋である龍にそこまでする必要はない。
「神楽さん。そんなに自分を責めないで下さい。本当に最低な人なら、罪悪感なんて欠片も抱いてはいません。それでも最低だと思うのなら、同じ過ちを繰り返さなければいいだけの話です。それに、別にサブリミナル効果を使わなくても、僕はここにいたと思います。殺し屋が依頼を断るのは、自ら食い扶持を潰すようなものですからね」
龍の優しく穏やかな口調で諭された神楽は、罪を許された気がして心が軽くなった。
神楽は龍に礼を言うと、姉と真っ向から立ち向かうことを決め、生命維持に回していた念を解放すると言い、その手伝いを龍に申し出た。
前の話が誤解されかねない場面だっただけに、一応書いておきますが、念を解放するのに18禁的なお手伝いは一切ありません。




