続 エピソード
前回のお話から千年が経った。
俺は老衰で死んではリスボーンをするを二十回以上繰り返した。
残念ながらこの世界で生まれた俺の子供達は死んでもリスボーンはできなかった。
しかし、現在俺たちの世界には俺の子孫が百万人以上生活をしている。
この世界もすでに隅々まで探索しつくされた。
この異世界は、地球の十分の一程度の小さな惑星だと言うことも判明した。
そして俺たちが死んだ時に転移する狭間の世界は、この惑星の衛星だと言うことも分かった。
この異世界と狭間の世界は地球と月のような関係にあったのだ。
この異世界を探索した結果、錬金術を生み出し、文明を発展させ、リスポーンシステムを構築し、やがて滅亡した先住民の遺跡も幾つか発見した。
残念ながら遺跡の中で発見したタブレットは、既に俺たちが習得したタブレットばかりだった。
俺たちは自分たちで新しい錬金術を発展させていった。
千年も経てば猿でもシェイクスピアを書けるようになる。
俺の錬金術は凄まじい進歩を遂げていた。
俺の嫁達もそれぞれ偉くなり、世界中に分散してゴーレムや自分の子孫たちを従えて王国を築いていた。
一応俺はこれらの王国を統合した「カエル男王国」の永世王ということになっている。
「カエル男王国」というネーミングだけはみんなに大不評だったが、俺は断固として譲らなかった。
俺はあちらこちらの王国をうろつきながら、それぞれの王国の発展を見守ってきた。
嫁達と俺とは寿命も違うし、事故で死ぬこともあり、年齢もかなり差が出てきて来た。
俺が爺さんになった時に嫁が十七歳の乙女だったり、逆に俺が十六歳でリスボーンした時に嫁がよぼよぼのババアになっていることもあった。
何度も転生を繰り返しているうちに、お互い年齢の差などなんとも思わなくなっていた。
俺たちは良好なパートナー生活を送っていたと思う。
だが、やがて、嫁達の中に老衰で死んでも、リスボーンしてこない者が現れた。
狭間の世界でリスポーンを選択せずに、自ら終了を選択したのだ。
何故、彼女たちはよみがえりを拒否し、消滅するとこを選んだのか。
それは、リスポーンシステムを構築した先住民たちが、結局滅亡したことからも理由はわかった。
千年という年月は、一人の人間が生きてゆくには長過ぎるのだ。
彼女らは生き続けることに疲れ果ててしまったのだ。
いくら俺の嫁と言ってもそれぞれの人生だ。
俺は彼女たちの選択を黙って受け止めるしかなかった。




