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エピソード

「われわれが宇宙にしたがうだけでなく、宇宙のほうもわれわれにしたがうのだ」


                  ジョン・ホイーラー





「やっぱり、家でゴロゴロと引きこもるのがサイコーだぜ!」


 俺は真昼間から豆腐小屋のベッドの上に寝転び、スマホのゲームをしながら日がな一日を過ごしていた。




 俺たちが地上に戻ってから1か月がたった。


 地下から脱出した俺と井戸のそばで待っていた美衣奈母子は熱気球に拾い上げてもらい、そのまま全員で始まりの家まで戻った。


 翌日から、全員で新しい街づくりが始まった。


 まず、岩田 菜々、萌々姉妹に「Enforce」の術式をかけてもらった小田 桃歌は、「Little Maid」の術式を使って数千人単位でメイド・ゴーレムを練成した。


 菅原 瑠奈は練成した魔法のオノやツルハシをメイド・ゴーレムに渡し、周囲の整地作業に勤しんだ。


 長沼 美衣奈はメイド・ゴーレムを従えて、農園を作って農作物の栽培に精を出している。


 井稲 真耶は牧場を担当し、家畜やペットを殖やして毛皮や肉を作っている。


 大塚 美乃里と西 香菜子は二人で協力して、新しい建築物を増設するための術式を次々と開発していった。


 たちまち、始まりの村ははじまりの街へと急速に発展していった。


 ドゥ・レイモン・ジュリエットは俺たちの知ってる錬金術とは異なったエンチャント系統の魔法を開発し、既存のアイテムに特殊効果をつけたり、新元素や素材を生み出す研究に没頭している。


 増田 彩香先生は特に出来ることがないのでみんなの子供を預かって、保育園を営んでいる。


 岩田 菜々と萌々姉妹はトロッコ列車を開発し、マグマ溜まりと大穴までの鉄道を敷いて駅を建設した。


 マグマ溜まり駅では、耐火製鎧に身を包んだメイド・ゴーレムが鉄桶ですくったマグマをトロッコ列車に乗せ、始まりの街まで運んでくれるので燃料には事欠かない。


 大穴駅ではメイド・ゴーレムが大穴に溜まったコーヒーの中を泳いで、鉄や石炭や貴重な魔石を掘り起こしてはこれまたトロッコ列車で始まりの町まで運んでくれる。


 始まりの街に到着した魔石は宝物庫に貯蔵され、メイド・ゴーレム達は魔石を使って黙々と宝箱(パカ)を引き続け、どんどん新しいタブレットが集まって来た。



 俺はというと唯一の男性ということで一応リーダーと警備主任に任命された。


 ハーレムを作るのだ!と言う俺の野望は達成したのだが、どうも単なる戦闘員兼雑用係のような気がする。


 だが、街の周囲は松明だらけで夜でも真昼のように明るいし、武器を持ったメイド・ゴーレム達がわんさかうろついているので俺の出る幕がない。


 モンスター達は絶滅危惧種に指定され、暗い洞窟の中にモンスター園を作って大切に保護することにした。


 そうそう、森の中に柵で囲われた女ゾンビーがいたそうだが、メイドー・ゴーレムに退治されてしまった。


 すっかり忘れていたのだが、和泉 康平の彼女だった高見 真央だろう。


 どこにも彼女がリスボーンしないので、ゾンビーになった転生人は死んでも復活できないようだ。


 アーメン!


 俺は特にすることもないので、昼は家で一人でゴロゴロと時間をつぶし、夜になると気まぐれで誰かの家に行って子作りに精を出した。


(だって、それぐらいしか娯楽がないんだもん!)



 こうして俺は、異世界に来る前と変わらない引きこもりの生活をずっと続けるのだった。


 人間、異世界に転移したぐらいでそうそう性分が変わるわけねぇだろうが!

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