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42

 俺たちは呼吸するために顔だけを水のチューブの外に出し、ゆっくりと大穴の底に向かって降りて行った。


「何かが所々、空中に浮いているわ?なーに、あれ?」


「あれは鉄鉱石や石炭の鉱脈だな。この大穴は錬金術師が一括破壊術式を使って、岩石だけを一度に破壊したんだ。だから、岩石以外の鉄や石炭はそのまま残っているんだ」


「鉱脈がそのまま空中に浮いているなんて、不思議な光景ね……」



 その時、ギャーッ!という脳天まで響く甲高い声がした。


「おいおい!頭の上の方で、なんか巨大な鳥が旋回しているぞ!」


「ほ、ほんと!もしかしてアタシら、狙われてる?」


「俺たち目立っているからなあ。恰好のエサだな」


「キャーッ!キャーッ!来たよ!来たよ!どーすんのよ!?」


 巨大な鳥の群れが俺たちに向かって猛スピードで滑降してきた。


「あ、あれは鳥じゃないわ!」


「ああ!コウモリのような翼を持つ二足の竜、ワイバーンってやつだ」


「小型のドラゴンじゃないのさ!」


「全部で5匹か……」


 俺はおもむろに5本の矢を取り出すと、弓を引き絞った。


AIM(エイム) !」


 こちらに向かってくる5匹のワイバーンにマークし、一度に5本の矢を放った。


 矢は自動的に軌道を修正しながら5匹のワイバーンに見事命中した。


 矢尻に仕込んだ火薬が爆発し、ワイーバーン達は断末魔の奇声を上げながら大穴の底へと墜落していった。


「フーッ!助かったわ!やるじゃないの、カエル男さん。あんた、弓の達人だったのね」


AIM(エイム)って術式を使ったまでさ。一度マーキングしたら、目標がどんなに逃げても必ず命中するのだ」


「そうだ!そう言えば、アタシもあんたの弓で殺されたんだったわね。あの時は……」


 なんかまた責められそうな雰囲気になったので、俺は慌てて話題を変えた。



「面白いもの見せてやるよ!」


 俺はまた矢をつがえると、頭上を旋回しているワイバーンの生き残りの1匹に狙いを定めた。


AIM(エイム) !」


 それから今度は、まったく逆の方向、大穴の底目がけて矢を放った。


「一度AIM(エイム)で狙いをつけたら、敵に当たるまでずっと有効なんだ。どんなに離れていても、最後の狙いを付けた目標に向かって飛んでゆく」


 俺が放った矢はグイーンと急カーブを描き、上空のワイバーンに向かって上昇していった。


 頭上で小さく爆発音がし、やがて、ワイバーンの死骸が前方を落下していった。


 マヤは目をパチクリさせて、暗闇に消えてゆくワイバーンの死骸を見続けた。




 地上が遠ざかるにつれ、周囲はどんどん暗くなっていった。


 そして、遂に四方八方暗闇に包まれ、目の前のマヤの姿さえ見えなくなった。



「一体、いつになったら底に着くの?アタシ、怖いわ!もしも、底に着いたら溶岩溜まりだったらどうするのよ」


「溶岩は水に触れたら固まって岩になるから大丈夫だ。第一、下にマグマがあるならもっと明るいはずだ」


 頭上を見上げると1000ブロック四方もある穴の入り口が、小さな正方形の穴にしか見えなくなっていた。


 深さも1000ブロックだと予想していたが、大外れだった。


 途方もない深さだ。



(どうやって、地上に帰ろう?)


 帰りのことを考えると暗たんとした気持ちになった。


(まあ、なるよになるさ!作者も考えていない先のことを心配してもどうにもならないさ!)



「ねえ!灯りをだしてよ!」


 不安にたまりかねて、マヤが懇願した。


 もしかして、地底に何か敵性生物がいた場合を考えて、今まで灯りを付けるのは我慢していた。


「さすがに暗すぎるな。よし!松明を出そう。」



 インベントリーから松明を取り出した瞬間、俺たちはとうとう終点に到着した。


 大穴の底は水だった。


「地底湖だ!?」

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