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マヤは風呂の中に手を付けて温度を確かめた。
「大分お湯が冷めたわね。もう入れるわ」
「どーぞ、どーぞ!お入りください」
俺はニコニコと笑顔でマヤを見つめている。
「おめー、そこにいるつもりか?出ていけよ」
「だって、外はもう真っ暗。モンスターがウヨウヨしてるよ。そんな所に俺を追い出すつもり?」
「うーん、仕方ねーな。だったらアタシ、水着を着たまま入るわ」
そう言うと、マヤはゆっくりと湯船に身体を沈めた。
そして、気持ちよさそうに両手で顔を洗った。
「あーあ、気持ちいいお湯だわ!生き返った気分ね!」
「実際、一度、生き返ってるしね」
「ところでカエル男。おめー、この異世界で学校のやつに出会ったか?」
「同級生の女の子が北の森にいるよ」
「それじゃあ明日の朝、すぐに出発しよう。合流するんだ!」
「イヤだよ!せっかく鉱物を掘りにここまで来たのに。手ぶらじゃ帰れねぇし」
「何だと!?」
「行きたきゃ一人で行けばいい。塔を建てたから場所はすぐにわかるよ」
「なんかお前、だんだんと調子に乗ってないか?アタシは先輩だぞ。自分で言うのもなんだが、学校からも一目置かれたスクールカーストの頂点なんだぞ」
「前の世界のヒエラルキーなんか持ち出しても、異世界では通用しないぞ」
「ったく!カエル男のくせに生意気だぞ!」
そうマヤは文句を言ったが、はにかんだように唇をゆがめるだけだった。
やがて、俯き加減に視線をそらしながらマヤが言った。
「―――それはともかく、オッサンから助けてくれたし……一応、礼を言っとく。あと、家とお風呂……作ってくれて……ありがとう……」
「どーいたしまして」
「………………」
「………………」
「―――カエル男。あんたも身体、泥だらけだね」
「マヤをおんぶして、土壁を登ったからね」
「………………」
「………………」
「あんたも、お風呂に入る?」
「…………いいのかい?」
「ただし下着は脱ぐなよ!あと、背中合わせにね。アタシの方は見るなよ!」
「わかってるよ」
俺はけっして焦らずにマントとズボンを脱ぎ、パンツ1枚になって湯船に入った。
マヤのいう通り背中を向けたまま、ゆっくりと泥と汗を流した。
マヤは次第に羞恥心が強まり、体がほてているようだった。
マヤは恥ずかしそうに照れ笑いをしながら、冗談めかして言った。
「お風呂に入ってもいいけれどアタシは先輩なんだからね、こっちを向いたらダメだからね」
「いえいえ、俺とて錬金術師の端くれ。滅多なことはしないけど、そっちを向いたらどうします?」
「―――こっちを向いてもいいけれど、傍に寄ったらダメだからね」
「いえいえ、俺とて錬金術師の端くれ。滅多なことはしないけど、傍に寄ったらどうします?」
「傍に寄ってもいいけれど、身体に触れたらダメだからね」
「いえいえ、俺とて錬金術師の端くれ。滅多なことはしないけど、身体に触れたらどうします?」
「身体に触れてもいいけれど、胸を揉んだらダメだからね」
「いえいえ、俺とて錬金術師の端くれ。滅多なことはしないけど、胸を揉んだらどうします?」
「胸を揉んでもいいけれど、あそこに指を入れたらダメだからね」
「いえいえ、俺とて錬金術師の端くれ。滅多なことはしないけど、おへそに指を入れたらどうします?」
「おへそに指を入れてもいいけれど………」
「ええぃ!もうめんどくせー!」
俺はガバッ!とマヤに覆いかぶさっていった。
マヤは抵抗しなかった。
(計画通り!)
超悪人面でほくそ笑む俺。
さっきから、マヤの頭上にはハートマークがいっぱい浮かんでいたのだ。
このハートマークは錬金術師だけが見ることができるステータスシンボルである。
ハートマークは要するに相手に好意を抱き、そいつが発情していることを示す。
相手にハートマークを出させるためには、一定の条件がある。
まず、部屋の中に二人きりになること。
次に、相手に十分な食料を持たせること。
そして、家には扉をいっぱいあること。
この3点だ。
食料と扉の数はこの異世界での村の豊かさを表す指標だ。
村が豊かになると村人は子孫繁栄の欲求が高まり、身近な相手に対して欲情するようになるのだ。
俺は2枚目のタブレット、ルビー・タブレットを手に入れた時、この情報を知った。
ようやく試すことが出来て、俺は大満足であった。
このチート技を使えば、ハーレム作りも夢じゃない!
翌朝、俺の隣でまだ眠っているマヤのステータスを確認してみた。
すると、JOBの欄にはきっちり「俺の嫁」と記載されていた。




