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39

 マヤは風呂の中に手を付けて温度を確かめた。


「大分お湯が冷めたわね。もう入れるわ」


「どーぞ、どーぞ!お入りください」


 俺はニコニコと笑顔でマヤを見つめている。


「おめー、そこにいるつもりか?出ていけよ」


「だって、外はもう真っ暗。モンスターがウヨウヨしてるよ。そんな所に俺を追い出すつもり?」


「うーん、仕方ねーな。だったらアタシ、水着を着たまま入るわ」


 そう言うと、マヤはゆっくりと湯船に身体を沈めた。


 そして、気持ちよさそうに両手で顔を洗った。


「あーあ、気持ちいいお湯だわ!生き返った気分ね!」


「実際、一度、生き返ってるしね」


「ところでカエル男。おめー、この異世界で学校のやつに出会ったか?」


「同級生の女の子が北の森にいるよ」


「それじゃあ明日の朝、すぐに出発しよう。合流するんだ!」


「イヤだよ!せっかく鉱物を掘りにここまで来たのに。手ぶらじゃ帰れねぇし」


「何だと!?」


「行きたきゃ一人で行けばいい。塔を建てたから場所はすぐにわかるよ」


「なんかお前、だんだんと調子に乗ってないか?アタシは先輩だぞ。自分で言うのもなんだが、学校からも一目置かれたスクールカーストの頂点なんだぞ」


「前の世界のヒエラルキーなんか持ち出しても、異世界では通用しないぞ」


「ったく!カエル男のくせに生意気だぞ!」


 そうマヤは文句を言ったが、はにかんだように唇をゆがめるだけだった。


 やがて、俯き加減に視線をそらしながらマヤが言った。


「―――それはともかく、オッサンから助けてくれたし……一応、礼を言っとく。あと、家とお風呂……作ってくれて……ありがとう……」


「どーいたしまして」


「………………」


「………………」


「―――カエル男。あんたも身体、泥だらけだね」


「マヤをおんぶして、土壁を登ったからね」


「………………」


「………………」


「あんたも、お風呂に入る?」


「…………いいのかい?」


「ただし下着は脱ぐなよ!あと、背中合わせにね。アタシの方は見るなよ!」


「わかってるよ」


 俺はけっして焦らずにマントとズボンを脱ぎ、パンツ1枚になって湯船に入った。


 マヤのいう通り背中を向けたまま、ゆっくりと泥と汗を流した。


 マヤは次第に羞恥心が強まり、体がほてているようだった。


 マヤは恥ずかしそうに照れ笑いをしながら、冗談めかして言った。


「お風呂に入ってもいいけれどアタシは先輩なんだからね、こっちを向いたらダメだからね」


「いえいえ、俺とて錬金術師の端くれ。滅多なことはしないけど、そっちを向いたらどうします?」


「―――こっちを向いてもいいけれど、傍に寄ったらダメだからね」


「いえいえ、俺とて錬金術師の端くれ。滅多なことはしないけど、傍に寄ったらどうします?」


「傍に寄ってもいいけれど、身体に触れたらダメだからね」


「いえいえ、俺とて錬金術師の端くれ。滅多なことはしないけど、身体に触れたらどうします?」


「身体に触れてもいいけれど、胸を揉んだらダメだからね」


「いえいえ、俺とて錬金術師の端くれ。滅多なことはしないけど、胸を揉んだらどうします?」


「胸を揉んでもいいけれど、あそこに指を入れたらダメだからね」


「いえいえ、俺とて錬金術師の端くれ。滅多なことはしないけど、おへそに指を入れたらどうします?」


「おへそに指を入れてもいいけれど………」


「ええぃ!もうめんどくせー!」


 俺はガバッ!とマヤに覆いかぶさっていった。


 マヤは抵抗しなかった。




(計画通り!)


 超悪人面でほくそ笑む俺。




 さっきから、マヤの頭上にはハートマークがいっぱい浮かんでいたのだ。


 このハートマークは錬金術師だけが見ることができるステータスシンボルである。


 ハートマークは要するに相手に好意を抱き、そいつが発情していることを示す。


 相手にハートマークを出させるためには、一定の条件がある。


 まず、部屋の中に二人きりになること。


 次に、相手に十分な食料を持たせること。


 そして、家には扉をいっぱいあること。


 この3点だ。


 食料と扉の数はこの異世界での村の豊かさを表す指標だ。


 村が豊かになると村人は子孫繁栄の欲求が高まり、身近な相手に対して欲情するようになるのだ。


 俺は2枚目のタブレット、ルビー・タブレットを手に入れた時、この情報を知った。


 ようやく試すことが出来て、俺は大満足であった。


 このチート技を使えば、ハーレム作りも夢じゃない!



 


 翌朝、俺の隣でまだ眠っているマヤのステータスを確認してみた。


 すると、JOBの欄にはきっちり「俺の嫁」と記載されていた。

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