12
俺は一つ一つ指折り数えながら、和泉にされたことを思い出していた。
「カエル男」のあだ名をつけられた。
クラスの仲間はずれにされた。
「汚い」「臭い」「近寄るな」「ばい菌」など連日の罵詈雑言。
教室の机の上に「うざい」、「死ね」などの落書き。
机の中にカエルの死骸入れられた。
使い走りをさせられた。
顔に落書きされた。
口を粘着テープで塞がれた。
トイレでバケツの水かけられた。
虫の死骸を食べさせられた。
弁当に小便かけら、食わされた。
人前でズボンを脱がされた。
学校裏サイトに裸の写真を載せられた。
ネットに個人情報がばらまかれた。
無理やり髪を切られた。
自殺の練習させられた。
担任も一緒に笑ってた。
思い出しながら、怒りで頭がクラクラして、涙があふれてきた。
よく、生きてたな、俺!
頑張ったな、俺!
偉いぞ、俺!
「おい!安藤君!何をしているんだ!?早く助けてくれよ!」
「やなこった!」
「な、な、な、何だと!?こ、こ、この人でなし!!」
「俺、人じゃないし、カエル男だし………」
「痛いよ……!痛いよ…………!助けてくれよお…………」
次第に和泉の声はか細くなり、消えていった。
HPがなくなり、遂に和泉は死んだのだった。
和泉の身体は丸石の中で、消滅した。
俺はじっと、墓石のように積み上げた石を見つめた。
数分後、再び丸石の中から声がした。
「ウギャアアア!痛いよお!!」
和泉が再び、リスボーンしたのだ。
「今度は早かったな」
「安藤君!僕が悪かった!助けて下さい!お願いします!」
「俺も学校で何度も何度もお前に助けてくれと頼んだよな。でも、お前は助けてくれなかった………」
「死んじまえ!カエル男!!お前みたいな底辺のクズと僕と一緒にするな!ウスノロのぼんくらの負け犬!!引き籠もりの低能のニート!! 屑 の下衆の落伍者!!」
「何を言われたって平気だよ。カエルの面に小便だ」
「チックショー !!このハゲー!!」
「何回、この世界では復活できるのかな?それとも永遠に無限にリスボーンできるのかな?今度、俺が来た時に生き返った回数を教えてくれよ」
「え、永遠だと!?激痛で死んでは生き返るを、僕は永遠に繰り返すのか!?そんなのいやだあ!!許してくれよお、安藤様!!」
「俺はもう安藤じゃない!俺の名前はカエル男!!史上最低最凶の錬金術師、暗黒カエル男だ!!」
俺はそう言って、その場を後にした。
和泉の泣き叫ぶ声が次第に小さくなっていった。
さて、せっかく異世界に転移したのに、前の世界のしがらみに縛られ、12話も使ったのにちっとも話が進まなかった。
やっぱり、先の展開を何も考えずに行動してたらダメだね。
反省!反省!
急いで(やっぱり、先の展開を何も考えずに)拠点に戻ろう。
俺は無事に丘の麓に作った拠点にたどり着いた。
道に迷わなくてよかった。
俺は方向音痴だからゲームでもリアルでも何度も道に迷って死にかけるたことがあるのだ。
俺は拠点の扉を勢いよく開けた。
「キャーッ!!」
森中に響き渡る少女の金切り声。
拠点の暗がりの中に、パンティとブラジャーだけのセミロングの少女が立っていた。
「み、見ないでよ!」
恥ずかしそうに少女は地面にうずくまった。
俺は慌てて扉を閉めた。




