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「いやいや。現にこの俺は、あらゆる物質を正多面体(プラトン立体)に転化することができ、組み合わせて別の物質に錬成することができるんだぜ」


「そんなホラ話はどうでもいい!早く、僕を助け上げろよ、カエル男!」


 和泉はまるっきり、異世界にいることを信じていないようだ。


 俺はため息をつきながら、持っていた石の剣を穴の中に投げ落とした。


 穴から差し込むスポットライトのような日の光を浴びている和泉が、慌てて石の剣を拾い上げた。


「よしよし!やっと剣を渡したか。僕の言うことを聞く気になったな」


「―――そこ、弓を持ったゴブリンとかがいっぱいいるみたいだから、その剣で自分の身を守るんだぞ」


「ソンビの次はゴブリンだと!そんなものいるわけ……」


 和泉が言い終える前に、弓矢が飛んできて彼の背中に突き刺さった。


「痛ッ!!何なんだよおぅ!?」


 暗がりの中、無数の赤い瞳が輝き、和泉を取り囲んでいた。


「うわあああああああ!!」


 和泉の叫び声を聞きながら、俺は地面に突き刺していた貴重な松明を回収した。


「和泉!止まるんじゃねぇぞ!」


 俺は無責任で心のこもっていない励ましの言葉を和泉にかけた。


 そうして、俺は森の出口にある川辺に向かって走って行った。




 川辺は白い砂浜で覆われている。

 しばらく、砂浜を探しているとお目当ての靴跡を見つけた。

 靴跡は突然、砂浜の中央に現れ、そこからふらふらと歩き回って森へと続いていた。


 これは和泉の足跡に違いない。

 真央に聞いた通り、ここが和泉の初期スポーン地点だ。

 この世界で和泉が死んだら、ここに復活するのだ。


 和泉を野放しにしておいたら、また俺に危害を加えようとするだろう。

 俺は和泉の初期スポーン地点に縦横高さ3ブロックの石を積み上げてみた。


 そうして、しばらく砂浜の砂を集めながら、和泉がリスポーンしてくるのをじっと待った。


 なかなか、和泉は現れない。

 死んでからリスポーンするまでに、大分時間がかかるのだろうか?

 それとも、和泉のヤツ、穴倉の底でまだ逃げ回って生き延びているのだろうか?

 穴を広げて明るくしてやったり、和泉に剣を渡したのは、別に読者の好感度を上げたくてやったわけじゃない。

 他人にどう思われようとカエル男は気にはしないのだ。

 すぐに和泉がゴブリンに殺されないように、時間稼ぎのためにしただけだ。



 太陽が真上に上り、二日目の正午になった。


 もうあきらめて拠点に戻ろうとした時だ。

 突然、積み上げた石の内部から和泉の声をした。


「うわああああ!!な、なんだ、これは!?」


 和泉が穴倉の底でゴブリンに殺されて、また、この初期スポーン地点に復活したのだ。

 見事、和泉は俺が積んだ石の中にはまり込んでしまった。

 バキッ!バキッ!と全身の骨が砕ける衝撃音がする。

 和泉の身体は石ブロックに挟まれて、ダメージを受けているのだ。


「痛ッ!!痛ッ!!僕の身体はどうなっているんだ!」


「和泉!お前は一度死んで、石の中で復活したのさ」


「そ、その声は、カエル男!?貴様、そこにいるのか!命令だ!何とかしろ!俺を助けろ!」


「カエル男…………?」


「あ、安藤さん!助けてくれよお!痛くて痛くて耐えられないよお!!僕が君に何をした!?」


「何をしたかだと!?」

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