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扉の隙間から白い手  作者: 金切 白花
扉の隙間から白い手
8/24

 或る女性受刑者の手紙①

 13○7  ○○  知人  ○類


 手紙には囚人番号、所属、差出人との関係、今の類が記載されており、各用紙には検閲済みを表す印鑑が押されている。

 以下本文。



 ~前略~



 人殺し。人で無し。 


 そのように(わたくし)のことを書いた新聞もありました。

 返す言葉もございません、まさにその通りなのですから。


 服役して3年目となります。

 囲われた世界におりますと、月日が経つのが早くも遅くも感じます。

 ここでは、自分自身の醜い本性が現れることはなかなかございません。

 

 それは社会という大きなストレスから隔離していただいているからでしょうか。

 だとすれば、それはありがたいことでございます。


 私が犯した罪は、償っても償えるものではございません。

 謝っても謝っても。

 私ができる限りのことを全て行えたとしても。

 

 決して赦されないでしょう。

 何より、私が私自身を赦すことはできません。


 罪を償うために。

 償い続けるために。

 私はのうのうと生きております。

 

 私のような罪人が生きるのは恥であります。

 なぜ、皆さまは私を死刑にしてくださらなかったのでしょうか?




 思えば。

 私は以前より、自分の欠けた部分を認識しておりました。

 

 欠けているなら欠けているなりにそれを補おうとしました。

 そして慎ましく、世間様の目に触れず静かに生きていこうと思っておりました。

 ささやかな幸福を手に入れようと努力しました。


 なのに、なんてことでしょう。

 「彼」が色彩を失った私の人生に突如現れたのであります。




 次の用紙へ続く。


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