勇者さん、戻る
「ぎゃあああああっ」
悲鳴を上げて、ゼファー(三人目)は気を失った。
「教会に向かう途中、変な男に殴られて……有り金と杖は奪われるし」
勇者ゼファーの所在を司祭に問うと
「え、もう旅にでたよ」
「マジで?」
で、現在に至ると説明。
クロードは顔を顰めると
(ああ、そういえば……こんな顔でしたね)
間抜け過ぎて、すっかり忘れていた。
「旅には、先立つものが必要だろ。このダンジョンに挑戦して金を稼ごうと思ったが」
勇者様が見つかったので必要ない、と青年は言う。
「これからは、魔法使いロイがお供しやす」
「……ねぇ、そろそろ離してあげたら?」
アリアに言われ
「……え?」
ロイが周りを確認すると、冒険者たちからはゴミを見るように冷めた視線。
「リアル……幼女趣味?」
「そういや、自分でロリとか」
「いやいや、自分の名前はロイであってロリコンでは……」
しかし、他人からみれば気を失ったロリ(ただし、男)に抱きつく不審人物。
「すいません、この人……変なんです」
クロードに通報され
「話を聞かせてもらおうか」
警備の人にロイは拘束された。
「違うって、あの男がオレをハメやがった……つーか、思い出したぞ」
「大人しくしろ!」
引きずられて行くロイを見送り
「さようならー」
腹黒い笑みを向ける、クロード。
アリアは横目を向けると
「あなた、あの人の知り合い?」
「知っては、居るけど知りません」
そう言って、クロードはすっとぼける。
「……ううっ、ここは?」
ゼファーが目をさますと
「よかった、勇者さん気がつきましたか?」
クロードが声を掛ける。
ダンジョンに並ぶ人の列を見て、ゼファーはクロードの後ろに隠れた。
「な、なんで……こんなに人が多い所に」
元の人格に、戻っている。
「代わるつもりない、とか言ってたくせに……あっさり、戻ったわね」
法則って「男に抱きつかれること?」かしら、とアリアは続ける。
「どちらかと言うと……気を失うほどのショックでしょうか」
クロードの見解に
「じゃあ、あの三番目が出て来たらクロードさんが、抱きつけばいいってことよね」
アリアは言った。
「すいませんが……私、ホモじゃないですから」
(ゼファーに、ホモって言われたの根に持ってたのね……)
「次に方、ダンジョンの中へどうぞー」
係員に呼ばれ
「さあ、楽しいお宝探しの始まりよ」
「勇者さん、キリキリ歩いてください」
「お、押さないでください」
三人はダンジョンの中へ入った。




