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人見知り勇者は、多重人格である  作者: 森野月夜
始まりの旅
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6/12

勇者さん、戻らない

「あ、頭痛い……」


「おや、戻りませんね」


首を傾げるクロードと


「あと、二十回どう?」


ジト目のアリア。


「ご、五十回も叩く気か!?」


ゼファーは頭を抱えながらも


「つーか、お前ら誰だよ。あ、ひょっとして従者か! そうか、ついに勇者か!!」


無駄にテンションが高い。


「さっそく、次の町で可愛い女の子に片っ端から声を掛けようぜ」


クロードはため息をつくと


「勇者さん、それは無理です。我々は魔王ヤルダバオトを倒すために北へ向かっています。遊んでる暇なんてありませんよ」


「話が壮大になってきたな……」


顔を顰めるゼファー。


アリアは腕を組むと

「それより、お宝探し手伝いなさい。換金予定のレアアイテムは、あなた達の物になっちゃったし」


十五、六歳の少女にしては、発育の悪いアリアの胸を見て


「胸なしが。従者の分際で、勇者に口出ししようとは片腹痛い」


ゼファーは、鼻で笑う。


アリアはこめかみに青筋を浮かべ


「クロードさん、杖を貸して……後の二十回は私が叩くわ」


「お、お手柔らかに……」


数分後ーー


「こ、この暴力女……」


「どうして戻らないのかしら?」


首を傾げるアリア。


「何か、法則があるのかもしれませんね」

勇者さん、自分の体のことについて何か知りませんか、とクロードが尋ねる。


「俺の他に、二人いるみたいだが……そんなこと、もうどうでもいいだろ」


三人目のゼファーは真剣な表情で


「俺は、もう誰とも代わってやるつもりはない」


クロードとアリアの前で宣言。


そして、踵を返すと


「お前らが従者とはいえ、俺が気に入らないなら必要ない。俺は、これからハーレムを作るのだ」


ハハハハ、と腰に手を当ててゼファーは笑う。


「前半は、かなり深刻なことを言ってましたが……」


生暖かい目を向けるクロード。


「言ってることが、アホなのよね……」


呆れた顔で、アリアが言った。














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