勇者さんと、ダンジョン3
「君、水晶持ってないでしょ。一緒に、ダンジョンの最深部まで行きましょう」
最深部の転送装置を使えば地上に戻れるわ、とアリアは言う。
「お、お構いなく……」
壁際に隠れたまま、ゼファーは出てこない。
(やっぱり、簡単には信用してくれないわよね……)
アリアがため息を付くと
「誰か、そこに居るんですか?」
まばゆい光が、周囲を照らした。
「誰!?」
目を瞑りながら、アリアが尋ねる。
光は徐々に弱まる。
「ひょっとして、二日前にダンジョンに入った女性とは貴方のことでは?」
現れたのは、杖を持った長身の青年。
「宿屋のおじさんね。もう、お節介なんだから」
そう言って、アリアは肩を竦める。
「私は、魔法使いのクロードです。勇者さんと一緒に、アリアさんを探しに来ました」
「え、勇者って……」
アリアは、ゼファーの居る壁に視線を向けた。
「勇者さん、居るなら居るって言ってください」
クロードが、ゼファーを引っ張って連れて来る。
「怪我はありませんか?」
「だ、大丈夫です」
アリアの視線から逃げるように、クロードの後ろに隠れる。
(これが勇者……)
眉を寄せるアリアを見て
「すみません、勇者さんは人見知りで」
クロードが頭を下げる。
「人見知り……」
いろいろ考えていた自分が阿呆らしい、とアリアは言う。
「で、ゼファーって女の子なの?」
アリアの疑問に、クロードは笑いながら
「はははは、勇者さんは女顔ですが正真正銘の男ですよ」
「……そう」
なら、さっきの「彼女」は一体何者だったのだろうか。
「アリアさん、ここは協力して最深部へ行きましょう。勇者さんと私は、レアアイテム狙いではありませんので」
「そうね、協力してもらえると助かるわ。これでも、結構クタクタで……」
クロードの提案に、アリアは頷いた。




