この世界のNPCにも人生が、あるんだよ。
★初日夜/洞窟内
おおおおおきなため息が出た。
松明を作る手を止めて、チョットぼんやり……
リアルだと、炎を見るのは精神安定に良いそうだ。ゲームだと、かまどの炎の動きも、五秒ずつ繰り返して、十五秒に一度火花が散る。
だが『この炎』が『動きを繰り返している』ようには見えなかった。
さっき火花が出たが、そのあと、もう一分以上火花が出ていない。
◆地球サーバー仮説
このゲームに入る前、リアル地球に『ステイタスボード』が出現した。
つまりは、リアル地球の百億人規模の人類と、その何億倍にもなる動植物を制御するサーバーが出現したってことだ。
意味不明なので『地球サーバー』と勝手に呼ぶことにする。
俺も実は『地球サーバーのNPC』かもしれない。
俺が死ぬのを嫌がるように、『この世界』のNPCも、死ぬのは嫌かもしれない。
かまどの炎が、ちらちらと踊る。
嘲笑われているように見えるのは、俺の精神問題だろう。鼓舞されているように思うのも同じだ。
何を見て、どう思うかは俺次第。
そう、『地球サーバー』を動かしたやつにとって、地球人類である俺はNPCでしかない。
そして、地球人類が作ったマイピのNPCも、プレイヤーの俺達にとっては『ゲームが作ったアバター』でしかない。
それを『俺と同列』だと思って、殺すのを逡巡するのも、俺の勝手だ。
妹が読んでいた『悪役令嬢もの』で、よくあるくだりだよな。
「あなたにとっては、みんなモブだと思ってるんだろうけど、悪役令嬢にも、他の令嬢にも人生があるのよ」
そうやって悪役令嬢が、主人公の転生者を罵るシーンは覚えてる。
この世界のNPCにも人生が、あるんだよ。




