ワールド生成前提再定義ログ
★ 世界生成前提の再定義
『地球五分前仮説』という世界観がある。
地球は5分前に生まれていて、全人類は過去を植え付けられている――そういうSF観だ。
『マイピ』は、結局これだ。
というより、「プレイヤーがワールドを作成したから発生した世界」なんだ。
だから俺は、「ログインして30秒後にモンスターが出る」と思っていた。
あの霧の中で焦ったのも、その前提があったからだ。
でも――
そもそも、「すでにこの世界が存在していた」としたら?
あのとき、周囲にゾンビがいなかったのは偶然。
ただそれだけで、「常時モンスターが存在していた」としたら?
★ マルチ後発参加モデル
簡単に言えば、こうだ。
「マルチのワールドに、3年後に入った新規プレイヤー」。
3年分、他の全員が発展している世界に、あとから序盤状態で投入される。
そんな環境で、生き残り合戦に勝てるわけがない。
★ 初動安全神話の崩壊
俺は最初、「30秒後にしかモンスターは湧かない」と思って行動していた。
だが、あの時、あそこは竹藪だった。
単に、湧き条件を満たしていなかっただけでは?
竹は上に葉を茂らせて木陰を作らない。見た目場は影をつくるが、モンスターポップ条件を果たさないんだ。
もし森にスポーンしていたら。
隣にいたのはパンダ(非敵モブ)ではなく、ゾンビだった可能性もある。
★ スポーンタイミング再検証
あの時、パンダを見たのはログインから何秒後だ?
パンダは有用動物ではない。
有用動物の羊や牛は、スーパーハードでは当日わかない。つまり、パンダはいつでもそこにいるモブなのだ。制約がない。
だが、「プレイヤーがいない場所では湧かない」モブだ。
つまり、プレイヤーが一定時間その場にいなければ出現しない。
パンダも同じだ。
★ 行動ログからの時間逆算
あの時、何秒経っていた?
わからない。
テンパっていた。
霧を晴らすために螺旋状に歩いた。
半径20ブロック、つまり400ブロックを可視化した。
霧の更新は半径2。
だから約200ブロック移動した計算になる。
移動速度を1秒4ブロックと仮定すれば、約50秒。
――いや、違う。
一度、半径10ブロックで停止している。
そして――
パンダを見つけたのは、二歩目だ。
★ 記憶の不確実性
ログインしても、動く前にインベントリを開いていた。
実験アイテムを取り出していた。
その後、混乱していた。
だが、最初の一歩で、すでにパンダはいたはずだ。
30秒、経っていたのか?
もう、検証できない。
記憶も曖昧だ。そんなもの、覚えていたとしても忘れるだけの時間がたった。
死に物狂いで走り回っていたのだから。
★ 大規模存在の前提統合
だが、億単位のゾンビが発生する条件が「プレイヤーが居たから」だったなら。
大量のプレイヤーがここにいる。
そいつらは、今もどこかで活動している。
プレイヤーを検知し、探索している可能性がある。
可能性ではない、死にものぐるいで俺を探している。
見つかれば、戦闘は不可避。
★ 湧出条件の再仮定
ここで、さっきの仮説に戻る。
地球で、人間に関係なくアリが巣を作るように。
この世界でも、プレイヤーに関係なくゾンビが徘徊しているとしたら?
「プレイヤー周囲でしか湧かない」という前提では、
億単位のゾンビは説明できない。
だが――
非依存湧出モデルなら、説明がつく。
逆言うと、この世界は――
「プレイヤー中心のゲーム」ではない。




