百花繚乱(ひゃっかりょうらん)九
廉とデュラークが沖縄に転移すると、そこに待ちかねていた黒白院の姿があった。
「待っていたよ」
黒白院のその言葉に廉は防衛局前で出会った姉妹の話をしようとしたその時、廉よりも早くデュラークは告げる。
「その両手はどうしたんですか?」
廉と違い目で情報を得ないデュラークは魔力感知で周囲の情報を収集する為、いつもと異なる黒白院の身体の損失に気がついた。
「それについても話がある。何よりも、異常な聖剣について」
黒白院は廉とデュラークの二人が沖縄に来るまでに何が起きたのか全てを語った。沖縄の地面のほぼ全てに異常な聖剣による肉片が埋め尽くさている事に、そしてその肉片と手が接触した事によって自身の両手が同一化され、朝香に頼み切断させた事を全て伝えた。
「⋯⋯あれ?」
廉は話の矛盾点に気がつく。現在、廉の足元には肉片に埋め尽くされてない通常の地面がそこにはある。
「山田が単身で異常な聖剣の元に向かい、その影響で異常な聖剣を沖縄全土に広げる事が出来なくなったんだろ。これは山田が異常な聖剣を追い詰めている事による影響だろうね」
「一人?だったら、早く合流しないと」
足早にその場から動こうとした廉の肩にデュラークは手を置く。
「待って下さい。後二人来てませんよ」
デュラークのその言葉を聞き、廉は思い出す。
「そうだ二人チーム[アブノーマル]に入れたんだ」
「それはどう言うことだい?」
廉はここに来るまでの事柄を全て黒白院へ伝えた。
「先に行くと良い。私がここで待っていれば済む話だ。それぐらいの役にはたとう。山田は沖縄の中心部へと進んでいた。異常な聖剣は沖縄の中心部で肉片を広げる事で満遍なく地面を肉片で覆い尽くした。つまり、理論上本体は沖縄の中心部に居る可能が高い。行ってくれるか?」
廉はデュラークは迷う事無く承諾し、沖縄の中心部へと足を進める。二人が進んで直ぐの事だった。
「これが肉片の塊か」
廉は目の前に広がる全てが肉片が、蠢く無法地帯になっている事を把握する。
「話だと、地面が肉片に覆われているって話だったよな?」
廉は話の食い違いをデュラークへと確認する。
「ええ、恐らく、沖縄全土に広げていた肉片を後退させた事によって、範囲よりも中心部により密着的になったんでしょう」
肉片は地面だけでなく、建物や植物に至る全てを覆っており、元々そこには何があったのか認識出来ない程に覆われていた。




