百花繚乱(ひゃっかりょうらん)十
沖縄の地面に広げていた肉片が後退させた張本人である朝香の進撃は続いていた。
「我らのリーダーの指示により、これ以上先へと進ませる訳にはいかない」
金髪のその男は両手の拳銃を朝香に向けていた。
「今の時代そんなおもちゃでは戦闘になるのかしら?」
「それはどうだろ?」
男は拳銃を適当に朝香に向けずに放つ。
その行動に朝香の理解は追いつけない。その理解不能に見せるこの行動に男は絶対的な自身を持っていた。
その弾丸はあらぬ方向へ飛んでいくが、気づけばそれは朝香の心臓に当たる直前まで接近していた。
(⋯⋯?何故、弾丸⋯⋯避けられないわね)
弾丸が朝香の心臓を貫く刹那、朝香が取る行動は決まっていた。いや、それは常にオートで発動するものだ。それは自身の能力による百花繚乱を用いたものだ。弾丸が朝香の心臓に向け、肌に接触するよりも早くオートで百花繚乱が発動する。弾丸が朝香の肌を貫通するよりも速く、朝香の皮膚から薔薇が咲き誇る。
「私の能力は百花繚乱私自身、私が触れているものから花を咲かせる事が出来る能力よ。そして、私の身体に害をもたらす場合、攻撃を受ける場合オートで能力が発動する様になってるの。そのおもちゃでこの心臓を貫きたいのであれば、通常の弾丸では無理よ」
「⋯⋯咲いている花が通常では無い様だ。分が悪い、ここは引くよ」
男はその場で足踏みをすると、それを悟ったのか肉片が男を包み込む。包まれた男は地面に覆われた肉片に吸い込まれると姿を消す。
「逃げたか」
追うつもり無く、朝香は呟く。目の前に現れた敵を倒す事しか考えていない朝香にとって逃げる者を追うことは無い。朝香は足を進ませようとしたその時、地面を覆う肉片が隆起する。
「相性に合わせて、別の人間を送り込むってことかしら?」
朝香のその予想は的中していた。
そして、朝香にとって最も会いたくない相手でもある。肉片から現れたのはかつての師だった。
「大きくなったな。朝香」
「浅右衛門生きていたんですね⋯⋯もう一度、貴方の首を斬る時が来るとは」
「そう。私の首を切ったことにより、貴方は首切り朝香と呼ばれる様になった。罪人を罰する者はどの様な立場であろうと、どの様な思考でも、英雄と見なされる。残念だ防衛局が悪と定めただけで、私を切り⋯⋯貴方は首切り朝香と言う英雄になった。本当に残念だ⋯⋯私の最高傑作よ」




