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一歩前へ。

 シュヴから服をもらい、モンドと名前をあらためたのち、いつまでも森の中にいるわけにはいけないので、どこかにまちがないかと、モンドはシュヴと森の中を歩き回っている。


「なぁ、一体いつになったら森から出られるんだ? 」


 モンドが疲れた顔をしてシュヴにそんな事を聞いてみると。


「ああ~、このぶんだと、まぁ一から二週間てっとこかな~」


 シュヴが何でもないことのように返す。


「二週間!? 」


 しかし、モンドはその言葉に驚愕きょうがくし、目を皿のようにする。


「だいじょーぶ、だいじょーぶ、二週間なんてあっというまだぜ」


 などと、シュヴは言ってはいるが、モンドにとって二週間も歩き回るのは苦行くぎょう以外の何者なにものでもないのである。


「今のお前なら、二週間ぐらい軽く歩ける体力があるはずだぜ」


 シュヴはモンドの方を見ながらそう言った。


「いやいや! たとえ永遠に歩き続ける体力があっても、二週間も森の中を彷徨さまよっていられるかよ! 」


 声をらげながらモンドがそう言うと。


「彷徨ってねーよ! 街のある場所に向かって歩いてるわい! 」


 モンドと同じようにシュヴは声を荒げる。


「えー、本当に街の場所分かってるの? 」


 モンドはシュヴに疑うような目を向けると


「あたりめーだろ! 神の使いなんだしそれぐらいわかるわい! 」


 大きな声でシュヴは言った。


「まぁ、そうかもな……」


 モンドは自分に不思議体験をさせたシュヴならそれぐらいわかるかもな、と思いしぶしぶ納得なっとくはした。


 そんなやりとりが終わってからしばらく立つと


「ん? なんか音が聞こえねーか? 」


 シュヴがそんなことを唐突とうとつに言い出す。


「え? 音? 」

 

 何も聞こえていないモンドは、疑うようにそう返す。


「いや、アッチの方でなんか聞こえるんだって」


 とシュヴは言い出し行き先とは少しずれた方向へ走っていった。


「お、おい! どこ行くんだよ! 」


 モンドはそう言って、シュヴを止めようとする。


「いや、もしかしたらなんか乗り物の音のような気がするんだ! 」


 走りながらそう、シュヴが言ったのを聞き


「マジで!? 」

 

 モンドは歩かなくてよくなるかもしれない、という希望を胸にシュヴの後をった。









しばらく走ると、ふたりが目にしたのは野盗やとうらしき集団におそわれている家のように大きな車だった。


「よし! モンド! せっかくだから、あいつらをぶっとばしてあれに乗せてもらおうぜ! 」


 シュヴがまるで当たり前のように言い出した。


「え、無理」

 

 モンドは即行そっこうで否定した。


「はぁ? いや、無理じゃねーから」


 シュヴはこれまた当たり前のようにそんなことを言いだした。


「いやいや! 無理でしょ! 武器を持った男が大勢おおぜいいるんだぜ!? 」


 モンドはあわてふためくように否定ひていする。


「いや、あんな雑魚どれだけいたって、今のお前なら圧勝できるし、てゆーかあいつら、もうこっちに気づいてるぞ」


 シュヴがそう言った直後に


  おの青龍刀せいりゅうとうといった武器を持ったヒゲヅラのいかにも野盗やとうです、という風貌ふうぼうの集団が近づいてきた。


「あ゛あ゛! 誰が雑魚だって~!! 」


 そしてそのうちの一人がそう言ってこちらをおどしかけてきた。


「やべーよぉ」


 モンドがそう泣き言を言うと


「だいじょうぶだ、今のお前は最強だ」


 シュヴが、自信たっぷりとそう言う。


「くっそ~!! こうなりゃヤケだ~!! 」


 モンドはそう言って覚悟を決め、一歩前へみ出した。


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