Story40「お礼が言いたくて」
「優くん… 大好きっ! 」
「佳乃ちゃん… こんなところで言われたら恥ずかしいよ」
「良いじゃん、良いじゃん!
私の気持ちは誰にも止められないんだよ~ 」
佳乃ちゃんがあまりにも開放的に抱きついているため回りの人たちの目線が可笑しくなってきたのである。
「取り合えず、もう少ししたら次のバスが来るから、そろそろ帰ろうか」
「そうだね!抱きつくのはいつでも出来るもんね~ 抱かせてくれてありがとう! 」
「僕の方こそ、抱いてくれてありがとう! 」
それから僕たちは、次のバスに乗って遅くならないうちに、いちご荘に帰っていくのであった。
そして次の日から僕は、また女性服専門店で美憂姉と一緒に働いていくのだが、以前よりアイドルハイスクールの愛理ちゃんがSNSでこう紹介してくれた。
『この間、女性服専門店のおおやまに行って、靴下とかちょっと、どれにしようか迷っていて従業員の南川さんに聞いてみたら優しく接してくれてすごく良い対応してくれたよ! みんなも良かったら寄ってみてね! 』
紹介してくれたお陰で、来てくれるお客様が以前より大幅に増えるようになった。
「美憂姉、今日もすごいお客様だね」
「そうだね!やっぱりアイドルの力は、すごいなって思うよ」
「SNSで愛理ちゃんには、お礼を言ったんだけど、やっぱり直接言わなきゃって思ってるんだよね。
だけど、愛理ちゃんも忙しいと思うから、なかなか言い出せないんだけど、美憂姉、どうしたら良いかな? 」
僕がどうしたら良いのか悩んでいると、美憂姉がアドバイスをしてくれた。
「そのまま愛理に伝えたら良いと思うよ!
愛理は、人見知りな一面もあって普段は自分から連絡したりは、あまりしない性格だから連絡してあげたら喜ぶと思うよ」
「意外な一面があったんだね‥。分かった。そのまま愛理ちゃんに伝えてみるよ! 」
それから僕は、その日の夕方にアイドルハイスクールの公式サイトのスケジュールを確認してから僕は、愛理ちゃんに電話をかけてみることにした。
愛理ちゃん忙しいだろうから出てくれるかな…
そして少し待ってみると、電話に出てくれた。
「あっ、もしもし!優くんどうしたの? 」
「愛理ちゃん! 忙しいと思うのにいきなり電話してごめんね。 ちょっと話したいことがあったから… 」
「謝らなくていいよ! 明日からは、新曲の躍りの練習とかレコーディングとかで少し忙しくなるけど、今日は家でゆっくりしてるから大丈夫だよ! 優くんからの電話待ってたんだよ… 」
「愛理ちゃん、なかなか電話出来なくてごめんね!
忙しいだろうから電話して嫌われたらどうしようって思ってしまうと、電話出来なかったんだよ」
「そんなことで嫌いになったりなんてしないから大丈夫だよ!でも気遣ってくれてありがとう!優くんの優しさが電話口から伝わってくるよ」
「そんなこと無いと思うけど、そう言って貰えるとすごく嬉しいよ! 」




