おまけ3.冬の銀世界(リーファ7才 冬)
「アリス、だいじょうぶ? 寒くない?」
『寒くないよ、リーファのおかげでね』
冬のある日、あたしは布団の中でリーファに抱きしめられていた。
というのも、冬の中でも一番の冷え込みだったらしく、あたしが心配でいつもより早くお風呂に入って、そのまま2人で早めに就寝することにしたのだ。
お布団の温さもだけど、リーファとくっついていることで、リーファのこども特有の体温の高さもあり、あたしは寒くない……というかむしろ温かいほどだった。
そのおかげで、いつもより早く眠気が来て、徐々に意識が薄れていくような感覚がする。
……そういえば夜更かしして寝落ちするときも、こんな感じだっ……た……。
「……アリス? 寝ちゃったのな。私も……」
**********
「ふわぁぁぁぁぁ……!!」
そして朝起きて、服を着替えてカーテンを開けると、リーファの瞳が輝きだした。
あたしもリーファに抱き抱えられて外を見てみると……。
『雪だ……!』
リーファが喜ぶのも頷ける。辺り一面が銀世界になっていたのだ。
そういえば冬になって雪が降るのは初めてだったかも。リーファの反応を見るに、あまり雪が降らない地域なのかな。
「ね、ね、早くお外で遊びたい!」
『確かに……』
と、そんなことをリーファが言っていると、リーファのお腹の虫が鳴る。
「あははっ、お腹すいちゃった! じゃあ、ごはん食べたら遊ぼっ!」
『そうだね、あたしもお腹ぺこぺこだよ』
あたしたちは顔を見合わせて笑いながら、朝食を食べに部屋を出たのだった。
**********
「パパ、ママ、すごいすごい! お外がまっしろ!」
朝食に集まった時もリーファのはしゃぎようは凄かった。
ここまでとなると、リーファにとっても初めての雪なのかな。
「ふふ、この地域で雪が降るのは数年振り……リーファが赤ちゃんだったころ以来だからね」
「そうね、だからリーファ、今日はお勉強は止めにして外で遊びましょう?」
「わーいっ!」
エファさんたち優しいな。リーファが遊びたくてうずうずしてるのが分かってるみたい。
実はあたしも大量に雪が降るような地域住まいじゃなかったので、内心ちょっとウキウキしているのは内緒だ。
「今日は冷え込むからね、暖かいスープを飲んでしっかり身体を温めよう」
「うんっ!」
「飲み物もわたしの魔法で温めておいたわ。遊んでる時にも持っていってあげるわね」
「はーいっ!」
2人とも凄く気が利くなあ……理想の親子像だ……。
ちなみにあたし用にも温かいものを色々と用意してくれている。
特に問題なく飲めるということは、あたしが転生したこの動物の身体……猫舌じゃないってことが分かった。
熱いものも好きだからありがたいけど、この動物いったい何ていう種族なんだろう……?
それはさておき。
朝食が終わるとリーファは厚着をして中庭へと駆け出していく。
あたしも続いて出ようとすると、エファさんに抱き抱えられて服を着せられる。
「すぐに用意できなくてごめんなさいね。アリスちゃん特注だから時間がかかっちゃって。でもちょうど完成してよかったわ」
えっ、あたしにも服を用意してくれてたんだ。エファさん、やっぱりいい人だな。お礼ができないのが心苦しいけど……。
「はい、それじゃあリーファをよろしくね」
『わかりました!』
エファさんがあたしを床に降ろしてくれると、あたしはリーファの元へと走って行った。
**********
「すごいすごいすごーい!」
リーファは中庭に出ると、雪を踏みしめて遊んでいる。
いつもとは違った地面の感触が面白いのだろう。確かにあたしも少しだけ積もった雪を踏んでサクサク言わせるのが好きだったなぁ。
よし、あたしもリーファと一緒に遊ぼう!
「ふわぁ……つめたーい……」
リーファは雪を手に取り、じっと見つめている。
どうしてこんなに冷たいのか、どうして今日はこんなに積もっているのか、おそらくそんなところを不思議がってるのかな。
あたしはリーファを見つつ、丸い雪の塊を作って転がす。
雪といえばやっぱりこれだよね。
「アリス、なにしてるのー?」
あっ食いついてきた。
あたしは雪玉を転がすのをリーファに見せる。
そして雪玉を2つ重ねて、胴体にちっちゃい木の枝を付ける。
「お人形さんみたい!」
よかった、ちゃんと人の形をしてるというのが伝わったみたい。
それが分かるとリーファは自分でも雪玉を作って、あたしの作った雪だるまの隣に2つの雪だるまを作ってみせた。
「あらあら、リーファは何を作ってるのかしら?」
「えっとねー、これがパパでこれがママ! 小さいのはアリスが作ってくれた私!」
ふふっ、やっぱりエファさんたちだったんだ。
リーファはエファさんたちのことが大好きだからなあ。
「それと……」
『?』
リーファが取り出したのは、一番小さい雪だるまよりも小さい雪の塊。
それをあたしが作った雪だるまにくっつける。
「これはアリス! いつも一緒にいてくれるから一緒なの!」
「まあまあ、雪の姿でも仲良しさんなのね」
不意に胸がキュンとなる。
リーファにこんなに好きになってもらえて嬉しいな……。
あたしは喜びを示すために、リーファに飛びついた。
「ふふっ、こっちでも仲良しさんね。少し妬けちゃうわ」
「えへへっ、私、アリス大好き!」
リーファもあたしを受け入れてくれて、ぎゅっとしてくれる。
あれ? そういえばリーファの手……ちょっと冷たくなってるかも。
『リーファ、ちょっとじっとしててね』
「アリス、どうしたの?」
あたしは自分の身体でリーファの手を包み込んだ。
ちょっと体勢が苦しいけど……リーファの冷えた手が温まるならね。
「あったかーい……」
『ほら、もう片方の手も』
あたしが尻尾で外に出ているもう片方の手も入れるように促す。
リーファも理解してくれたのか、両手をあたしの身体に預けてくれた。
「アリス、すっごく暖かいね」
『あたしには体毛があるぶん暖かいんだろうね。エファさんが着せてくれた服のおかげもあるんだろうけど……』
「ふふふ、とっても仲良しさんね」
その後、手が温もったリーファと再び遊び始めて、あたしたちは楽しい一日を過ごした。
**********
「あったかーい……」
『寒い日のお風呂って格別だなあ……』
雪で充分遊んだあとはメイドさんたちが用意してくれたお風呂に浸かる。
外が寒かっただけに、いつもよりも温かく感じる。
「アリス……」
『ひゃっ!?』
リーファはあたしを全身を使って抱きしめる。
「さっきはありがと! 今度は私があっためてあげるね!」
ちょうど体育座りしてる状態の胸と太腿に挟まれる感じで抱きしめられるあたし。
う、うう……あまりのリーファの積極さにちょっとドキドキしてきちゃった。
だって、ほんのり成長し始めた胸に顔が押し付けられてるんだもん。
で、でもリーファはお返しでしてくれてるんだし……変な事考えちゃダメだよあたし!
そんなこんながありつつ、寒い冬の日のゆっくりとした一日は過ぎていったのだった。




