3 虫
これは、た~にゃん様からのリクエストです。
お題はまんま「虫」です。
今回は、出張版「梓小話」でお届けします。
※ お食事前後は読まれない方が無難です。
天さんは、大の虫嫌い。
特にイモムシの類は見るのも嫌らしい。
翼も虫嫌いなので、いきおい、虫が出るとあたしが対応する羽目になる。
言っとくけど、あたしも虫は苦手だからね!
どういうわけか、あたしが倉庫の隅に置いておいてるガラス瓶の中では、よくゲジゲジが息絶えてる。
この瓶は、ジャムの広口瓶で、万年筆のペン先を洗う時に使っている。普段は倉庫の床の上に放置してるんだけど、どういうわけか時々ゲジゲジが入り込むのだ。
毎回洗って乾かしてから置いてるから、餌の類はないんだけどなぁ。
天さんは、この瓶をゲジゲジホイホイ扱いしているので、いつも同じ場所に置くように言ってくる。
ゲジの処理も、その後の瓶洗いもあたしの仕事だ。仕方ないけど、なんか釈然としない。
天さんってば、あたしがカエルを見て凍り付くと馬鹿にするくせに。
庭のオリーブの葉についた毛虫を捕るのもあたしの役目。
ご丁寧に、天さんは毛虫を見付けるとあたしを呼ぶのだ。
あたしは割り箸で毛虫をつまんで駆除する──さすがに触りたくはない。もごもご蠢く感触は気色悪いけど我慢。天さんは、その感触も嫌なんだそうだ。わがまま。
で、今年の春、ちょっとショックなことがあった。
オリーブの鉢植えが育ちすぎて根腐れを起こしそうだったので、鉢替えしたんだけど、古い鉢の土から、出るわ出るわ、イモムシが。
調べてみると、コガネムシの幼虫らしい。
植物の大敵だとか。
庭にぶちまけた土の中から箸で拾い上げた幼虫の数、50匹以上!
しばらくイモムシは見たくない。