1 婚約破棄
これは、「翔という者」さまからのリクエストです。
お題は「婚約破棄観」
先日、某所で開催された「だーれだ企画」に参加したところ、精一杯擬態したつもりなのにあっさり多数の方に見破られてしまいました。
普段、一人称メインなのを三人称にしてみたり、地の文にセルフツッコミを入れてみたりと、かなり雰囲気を変えてみたのですが、文体や会話文の形式で見破られた方も多かったようです。
もう1つ、鷹羽的には意外だったのですが、“婚約破棄ものだから”という理由を挙げられた方もいらっしゃいまして。
そんなに婚約破棄もの多いかなぁとか思って数えてみたら、結構多くて自分で驚きました。
そもそも、なろうデビュー作である「転生令嬢は修道院に行きたい」が婚約破棄&悪役令嬢を扱っていました。
といっても、婚約破棄の欠片もなく、主人公は幼なじみの婚約者とラブラブしていますし、悪役令嬢と親友だし、悪役令嬢は婚約者の王子と無事結婚していますが。
元々、この「修道院」は、婚約破棄ものの裏を突いて、“主人公は自分が悪役令嬢だと思っていたが、実はヒロインだった(ただし最後まで気付かない)”というネタでした。
なんというか、鷹羽は、一般的な婚約破棄ものの
・政略結婚の意味を理解できない男
・謎の力で男を籠絡するヒロイン
・それを阻止しようとしない周囲
・正面からヒロインを排除しない悪役令嬢
というものが好きでないので、少し捻ったものばかり書いています。
「修道院」が主人公の勘違いで、真の悪役令嬢のあがきをテーマにしていて、次の「婚約破棄など片腹痛いですわ」では、“悪役令嬢が本当に意地悪やいじめをしていたら”というのをテーマにしてみました。
この「片腹痛い」では、
考えが足りないなりにまっすぐな王子
王子に一途で周りの見えないヒロイン
脳筋で王子に同調しているため止めない側近
王子を見限り追い落としを図る悪役令嬢
の4人を描きました。
狙いどおりに書けたのですが、これの弱点は、王子の取り巻きを1人しか出せなかったことですね。
真っ当(に見える程度)な理由で、浮気王子を止めない人物を何人も用意するのは難しいのです。そんなバカばっかり側近候補にするわけないじゃん。
次に書いたのが、「ざまぁなんてなかった ~あるいは、あるざまぁのかたち~」で、こちらは婚約破棄しません。
無自覚に魅了の力を振るうヒロインと、それを利用しようとする第三勢力、冷静に状況を分析して対処する悪役令嬢を描きました。
王子も、割と冷静で、一応魅了にかかっていますが、婚約破棄はしません。
タイトルどおりというか、ヒロインの魅了に気付いた悪役令嬢がヒロインの力を利用されないよう、家に圧力を掛けてヒロインを修道院送りにする、ヒロインは修道院でも魅了の力でそれなりに幸せに暮らす、という展開になっています。
その次が、「婚約破棄の上、国外追放ですか? その言葉を待っていました!」です。
これは、最近流行のネタに“地位のある令嬢と一方的に婚約破棄するだけでも頭悪いのに、貴族を国外追放とか、何考えてんの!?”と思っていたことから書いたものです。
バカ王子への盛大なしっぺ返しってどんなのがあるかなぁと思った結果、政略というより国防上の理由からの婚約ということで、“勇者の血で魔王の魂を封じておくための婚約”ということになりました。
まぁ、こんな感じで、鷹羽はリアル寄りな婚約破棄ものを書いています。
今回、「だーれだ企画」に出した作品「婚約破棄された公爵令嬢は、隣国の王太子に嫁ぎます。他に選択肢はありません。」は、魔王の時の没ネタが元になっています。
よくある“婚約破棄された令嬢が国外追放され、隣国の王族に嫁いで幸せになる”というのをリアル寄りにしてみました。
絵面が地味なので、当時没にしたのですが、それを復活させたんですね。
この作品では、擬態の一環として、王子を何も考えていないバカとして描いています。
本来だと、こんなバカは許せないので書かないのですが、擬態のためやむなく、です。なのにバレてるんだから、目も当てられない。
この作品では、“国の全てを知っている王妃候補がそう簡単に国外に出られるの?”というのをメインにしてみました。
仮にも王妃教育を受けた令嬢が、そう簡単に国外に出してもらえるのか、その後生かしておかれるのか、というのが疑問だったんですね。王族に嫁ぐとかならともかく。
なんだかんだ理由を付けて飼い殺しにされるか、どこかで事実上監視されるか、口封じされるか、だと思うんですよ。
そんなわけで、偶然その場にいた隣国の王太子に攫ってもらいました。
こうすれば、脱出できるかなぁ、と。
で、助けるからにはそれなりの打算があるはずで。
城の隅々まで知っているので、情報源として、その後の新政権への人質兼の王妃となるのかなぁ、なんて思うわけです。実質的に属国にするために、婚姻外交もやりやすいかなぁ、とか。
などと、甘さの欠片もない略奪愛になってしまいました。
むぅん。
これじゃ、正体バレて当然じゃん。鷹羽節丸出しじゃん。
隠す気あったの!? ってあの時の自分を問い詰めたい。
あの時は隠してるつもりだったんだよぉ。