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45歳元おっさんの異世界冒険記  作者: はちたろう
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第七十話

「えー!その剣にそんな機能があったの!」


 夕飯の時、今日ガイダークさんから聞いてきた剣の機能のことを話したらタニアもニーナも吃驚していた。そりゃそうだよね。属性を込めた魔石をセットすれば魔石に込められた属性剣になるなんてすごい機能があるなんて聞かされたら吃驚もするな。


「ただし使いすぎると剣が耐えられなくて駄目になるみたいなこと言ってたから、あまり多用は出来ないかな。」


 今、僕たちは宿の食堂で食べている。周りにはたくさんのお客さんがいてタニアが大きな声を出したもんだから、何かあったかとこっちを見てる。


「しー!大きな声出したら迷惑だよタニア。」


「あ、ごめんごめん。でもさ、そんな剣がこの町で売ってたなんて驚きだよ。」


「でも、今は魔石がないから使えないんだよね。使うとなってもこれから依頼でゴブリン倒しても稼ぎが減っちゃうしさ。今のところは良く切れる剣でいいと思うんだけど、どう思う?」


「それに魔力の込め方ってわかるの?リュウジ。」


 魔力の込め方?うーん、どうやるんだろ?


「うーん、魔石に魔力を流せばいいんじゃないの?」


「リュウジさん、それだとかなりたくさんの魔力が要りますよ?確か、道具屋さんに魔力を込める用の魔法陣があったと思います。それがあれば、リュウジさんの魔力量でも出来ると思います。」


 魔法陣!やっぱりあるんだ。でも今まで道具屋で見たことないなぁ。


「じゃあ、その魔法陣を買うまで使えないね。いくらするんだろ。」


「私が前に見た時は、金貨十二枚だったと思います。」


「金貨十二枚!?結構するんだね。」


「魔力を込めるのはたいていが錬金術師だからね。使う人が少ないから高いんだよ。」


「錬金術!錬金術もあるの!?うあ~使ってみたい!」


 錬金術といえば!チートの極みじゃないか!僕が読んできた小説の中では、何でも作れた錬金術。この世界でもそうなんだろうか。


「錬金術が使えれば、何でも好きなものが作れるじゃないか。使えるようになりたいなぁ。」


「錬金術なんてうさん臭くていいもんじゃないよ?それに大体のことは魔法使いでも出来るからね。リュウジの世界では錬金術師は凄いのか?」


「魔石に魔力を込めることなら、私でもできますが…大変だし道具を揃えようと思ったらお金もかかるのであまり…」


「そうなんだ。いや、僕の世界には錬金術はなかったよ。空想の世界の話でね…」


 そう上手いこといかないかぁ…まあ、今の僕には魔力が少ないから出来ても大したことはできないか。


「錬金術師なんて名乗ってるのはほとんどいないんじゃないかな。大体は魔道具技師の下請けだったと思うよ。」


「魔道具技師?魔道具を作る人たちのことだよね?」


「そうです。魔道具技師の大半の人は、引退した魔法使いの人ですよ。」


 魔法使いって凄いなぁ。魔力を使った職業の基本が魔法使いなんだろうか。


「錬金術師って名乗ってる人は、攻撃魔法が使えないくらいの魔力量しかなかった人が多いですね。」


「じゃあ、僕みたいな人たちってこと?」


「そうなりますね。しかもお金持ちの人ですね。」


 僕でもなれそうなんだ。まだ早い気もするが将来の選択肢の一つとして覚えておこう。


「まあ、錬金術師のことはよくわかった。で、話を戻すけど、この剣はちょっと特殊な剣だったんだよ。」


「属性の無い魔力を充填した魔石を付けるとどうなるんだ?」


「属性の無い魔力?無属性の魔力ってこと?」


「おそらくタニアさんが言いたいのは、普通に魔力だけを込めるってことですよね。なんていえばいいのか分かりませんが言いたいことは分かります。力だけを充填するってことですよね。」


「うん?電池ってことか?」


「デンチって何ですか?」


「ああ、動力源にするってことだよ。何某かの力を溜めておいて使いたいときに取り出すことができる媒体のことだよ。」


 そうか!魔石は電池なのか。そりゃそうだよな、じゃないと需要がないから買取なんてしてないだろう。


「そうです。だから組合で買い取ってくれるんですよ。でもある程度使うと割れて使えなくなってしまうんです。だからいつでも需要があるんですよ。」


「で、どうなるんだリュウジ?」


「分からん。聞いてないからな。でも何かしらの効果は出ると思うよ。切れ味がさらに良くなるとか。魔石がないから試しようもないけどね。」


「この依頼中に試すのは無理かぁ。余裕があったら魔石を確保しておこうか。」


「まあ、余裕があったらね。」


「あたしが隙を見て確保しておくよ。」


「ほどほどにしておいてよ。ニーナとタニアが危険になったら大変だからな。」


「一つ二つならそんなに手間じゃないからすぐ済むよ。何個くらいいるかな?」


「贅沢言えば全部の属性分欲しいけど、とりあえずは二、三個あればいいんじゃないかな。」


 使っていくと割れちゃうみたいだから幾つあってもいいんだけど、そうするともらえるお金が少なくなっちゃうんだよなぁ。


「今回はそれくらいにして、これから依頼を受けるごとに一個か二個ためておくようにすればいいんじゃないでしょうか。」


「それが妥当かな。まだ魔法陣も買ってないからね。タニアもそれでいい?」


「うん、いいよ。で、明日は休みだから、ニーナ、一緒に遊びに行こうよ。」


「いいですよ。どこに行きますか?」


 明日の予定を話し合う二人を眺めながら僕はどうしようかなと考える。うーん、朝の日課やって、町をぶらついてみるか。




 一日休養を取りいい感じにリフレッシュできた。なんだかんだと疲れが溜まっていたらしい。やっぱり時々は休養を取らないといけないな。今は昨日と同じように宿で夕食を食べているところ。


「明日は寝坊するなよ、リュウジ。」


「大丈夫だよ。明日も朝の日課はやるつもりだからね。日の出前には起きてるよ。」


「私も一緒に行きます。」


 剣も防具も整備はばっちり、あとは目一杯やるだけだな。


「明日は、暁の風だっけ?彼らと一緒にやるんだろ?リュウジ、色々気を付けろよ。」


「わかったよタニア。心配してくれてありがとな。気を付けるよ。」


「じゃあ、今日はもう休もうよ。明日に備えてね。」


 食べ終えたタニアは手をひらひら振りながらニーナを連れて部屋へ上がっていった。


「おやすみなさい、リュウジさん。明日は頑張りましょうね。」


「うん頑張ろうね、ニーナ。お休み。」


 女将さんにお礼を言って僕も部屋へ戻る。明日は頑張ろう。なるべく怪我をしないように、二人を守れるように、町を守れるように。

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