第六十九話
すみません、月曜日に更新できませんでした。
誤字報告ありがとうございます。なるべくないように努力します。これからもよろしくお願いします。
覚悟のことで考えすぎて寝つきが悪かったけどいつの間にか寝てた。不思議なものでいつもの時間になるとパチッと目が覚める。若い頃はいつまでも寝れたのに、年取るとだんだんと起きる時間が早くなる。今は若い体のはずなのになぜか目が覚めちゃうんだよなぁ。よし、朝の日課に行こう。
身支度を済ませ、一階に降りるとニーナが待っていた。いつも一緒に朝の日課をやってるんだ。
「おはようございます、リュウジさん。さ、行きましょうか。」
「おはよう、ニーナ。今日も張り切ってるね。」
これを始めた時は町の中を一周するのも大変だったけど、今は五周くらいは出来るようになった。ニーナのほうは最初は一周もできなかったけど、最近は僕についてこれるようになった。走り終わった後は、僕はラルバさんと稽古した時のことを思い出しながら素振りを三十分くらい続けてやってるし、ニーナは部屋に戻って魔力を巡らせる訓練をしているみたいだ。
二人で朝の訓練を終えて汗を拭いて着替えると朝食の時間になる。そのころにはタニアも起きていて朝食を食べる場所を取っといてくれるんだ。
「おはようお二人さん。」
「おはようタニア。今日もありがとね。」
「おはようございます。タニアさん。」
僕たちが席に着くとすぐに女将さんが朝食を持ってきてくれる。朝食は日替わりで、今日は丸くてちょっと硬いパン一個分のスライストーストとサラダとチーズに飲み物だ。
「今日、お昼から組合に行くでしょ?それまでどうする?」
「僕は、防具屋に行ってくるよ。確か今日出来上がる日だったと思うから。」
「私は…予定はないですね。何かあるんですか?タニアさん。」
「いや、あたしも予定がないから二人に聞いてみただけだよ?」
予定、何もないんだ…なんかあるかと思ったのに。
「じゃあさ、ニーナ。二人で出かけようか。」
「いいですよ。どこに行きますか?」
「ほら、あそこの通りに新しくできた雑貨屋に行ってみない?」
「あ、いいですね。私も行きたいなと思ってたんです。」
「よし、決まり。じゃあリュウジ、お昼に組合ね。」
「わかったよ。楽しんできてね。」
「はい、行ってきます。」
二人は部屋へ戻って着替えてから出かけるみたいだ。じゃあ、僕も防具屋へ行くか。
女将さんに出かけてくることを伝えて鍵を預けて出かける。
防具屋へ着いて扉を開けて店の中に入ろうとするといつもは人はあまりいないのに、今日は店の通路が通れないくらいだった。
「なんだこれ?」
「悪い、ちょっと通してくれ。」
僕が店に入った所で出ようとしている人がいた。場所を譲る。
「ああ、どうぞ。」
「ありがとな。なんでこんなに混んでるんだろうな。いつもはガラガラなのによ。」
「ほんとですね。」
その人も不思議そうに店を出て行った。いつも来ている人なんだろう。それからごめんなさい、通してくださいと言いながらカウンターまでやってきた。
「おお、君か、いらっしゃい。出来てるよ。」
「凄い人ですね。何かあったんですか?」
「ん?ああ、今度の強制依頼でこの町にある防具屋はどこもこんなもんみたいだぞ。誰が流したか知らんが、ゴブリンどもが攻めてくるから町人も防具を買っといた方が良いって噂が出回ったらしくてな。うちもこんな状況になっちまった。」
「そうなんですか。どおりで冒険者じゃない格好の人たちが多いと思いました。そんな噂があったんですね。」
「防具が売れるのは嬉しいが、必要な奴らに行き渡らなくなるかもって考えるとどうもなぁ。」
店主は、そう言いながら店の奥へ行き僕が修理に出した革鎧を持ってすぐに戻ってきた。
「結構くたびれてたな。完璧に直しといたぞ。どうだ?」
カウンターに置かれた革鎧を手に取ってよく見ると、ベルトの部分や裏地など細かい部分も綺麗になっていた。
「こんなところまで直してくれたんですね。ありがとうございます。」
「あったりまえだろ。修理に出したのに使っててベルトが切れたら、それが原因でそいつ死んじまうことだってあるだろ?」
確かに。この鎧と盾には何度も助けられたからなぁ。
「革も新しく重ねて張っといたから強度も上がってるはずだ。しっかり戦ってしっかり生き残ってちゃんと帰って来いよ。」
「ありがとうございます。頑張ってきます。」
お代を払い、人を搔き分けながら店を出る。それにしてもすごい人だな。次はどこに行こうかな。ダメもとで道具屋に行ってみるか。あ、その前に宿屋に帰って鎧を置いてこよう。
鎧を部屋に置いて道具屋に来たが、ここもすごい人で入ることもできず何も買えなかったよ。仕方がないからちょっと早いけど組合に行って昼でも食べて時間まで待ってようかな。
僕が組合の待合で座っていると、ニーナとタニアが入ってきた。ニーナが僕に気が付き小さく手を振ったのが見えたので僕も手を挙げて答えるとこっちにやってきた。
「早かったね、リュウジ。」
「ああ、防具屋も道具屋もすごい人でね。中途半端に時間が空いたからちょっと早かったけど昼ご飯を食べようと思ってここに来たんだ。」
「あ、ちょうど今昼になったね。」
外から鐘の音が聞こえてきた。説明会まであと一時間か。
「二人ともご飯は食べたの?」
「はい、食べてきましたよ。もうお腹いっぱいです。」
幸せそうに微笑むニーナを見てこっちも自然と笑顔になる。
「そうか。それはよかった。あと一時間あるけどここで待ってる?」
「そうしよう。今から出かけても中途半端になるしね。」
僕はベンチの端に座っていたから僕の隣にニーナが座ってその向こうにタニアが座る。もうすぐ説明会が始まるからか続々と冒険者の人たちが入ってくる。僕たちが座っていたのは四人掛けのベンチだったから一人分余ってるんだけど誰も座ろうとはしなかった。なんでだろ?
今日の午前中にあった話を報告しあっていると受付のほうから職員が出てきた。あ、ケイトさんもいる。職員の人たちは受付の前に台を置いてその横に並んでいた。
「皆様、今日は集まっていただいてありがとうございます。早速ですが今から明後日に始まるゴブリン集落の掃討作戦について説明します。組合長お願します。」
呼ばれた組合長のダレスさんが台の上に上がり話し始めた。
「二日後に行うこの作戦の概要は非常に単純だ。皆も知っている通りこの町唯一の銀級パーティである銀の風しろがねのかぜを主戦力とした真正面からの掃討戦だ。銀の風はゴブリンの集落にいると思われるホブゴブリンを相手にしてもらう。銀の風の周りを鉄級パーティが援護し、その撃ち漏らしを銅級パーティで処理する構図だ。銀の風はなるべく速やかにホブゴブリンを討伐することを目的にして、ジェネラルやソルジャーなどは鉄級が対応する。銅級は数が多いのでパーティごとに連携して対処してくれ。なお、領軍は今回は参加しないことになっている。というか参加できない。隣領との諍いが激化したためそちらに戦力を割かなければならないらしい。今回はこの町の組合だけでの対処となるが、私は全く心配していない。君たちだけで十分対応できるはずだ。」
細かいことは彼らに聞いておいてくれといいながら奥へ行ってしまうダレス組合長。ケイトさんやジェシーナさん、あまり話したことの無い男性の職員の人たちが台の前に並んでいる。
「これから級に分かれて細かなことをお伝えしますので鉄級の方たちはあちらに、銅級の方たちはこちらへ集まってください。」
皆が移動し始めるのを見ていると鉄級の冒険者は二十人いないくらいに見える。で、銅級はといえば四から五人で集まっているからパーティなんだろう、それが僕たちを含めて八つある。やっぱりこれくらいの数か…相当頑張らないと生き残れないかもしれないな。
「よう。リュウジじゃないか。」
「あ、ライルか。ちょうどいい。なぁ、この依頼中一緒に行動しないか?」
「お?お前らもそう思ってたのか。俺たちもその話をしようと思ってたんだ。よろしく頼むよ。」
これは幸いラッキーだ。一緒に行動するパーティを探さなくても良くなったぞ。
「それでは皆さん揃ったようなので説明を始めます。」
僕たちに説明してくれるのはケイトさんだ。
「先ほどの組合長からも話にありましたが、今回の作戦では銅級の皆さんには鉄級冒険者パーティが撃ち漏らしたゴブリンの対処をお願いします。こちらの想定ではそれほど撃ち漏らしは出ないとみていますが、基本的には普通のゴブリンを相手にすることになると思います。」
聞いているうちの一人が小さく手を挙げて質問する。
「一回の戦闘にはどれぐらいのゴブリンを相手にすればいいのか、そっちはどう考えている?」
「鉄級の皆さんの状況にもよりますが、多くても十匹程度だと考えています。ですが、戦況がどうなるかわからないので二から三パーティで纏まって行動してください。」
僕も疑問に思ったことを聞いてみよう。
「まとまって行動すると、撃ち漏らしに対応するにしてもどうしても隙間ができてしまいますが…そこはどう考えてますか?」
「ある程度は逃がしてしまっても問題ありません。対処するのは、この町のほうへ向かっていくゴブリンに対してだけでいいですから。」
それならあまり問題ないかな?逆にこっちの数が多すぎるくらいかもしれないな。
「しかし、ソルジャーなどの上級種と当たることも想定しておいてください。絶対に無いとは言い切れません。そのための連携のお願いです。」
「わかったぜ。決行は明後日だったな。何時にどこに行けばいいんだ?」
「はい、当日は朝一の鐘が鳴る頃に南門を出たところに集合です。遅れないようにしてください。他に質問がないようでしたらこれで解散になりますが、組合から少ないですが一人一本ポーションをお渡ししますので貰って帰ってください。」
「おお、そりゃ有り難い!買えなくてどうしようかと思ってたところなんだ。」
やっぱり他の人たちも買えなくて困ってたんだな。有り難く貰って帰ろう。
「僕達も貰って帰ろうか。明日は休息にしたから今日はもうちょっと走って来るよ。」
「あ、私も一緒に行きたいです。いいですか?」
「あたしは、ケイトさんからもうちょっと情報貰ってくるね。」
軽く走ってから剣と防具を点検しておこう。
「じゃあ、ニーナ一度宿に帰って走りに行こうか。」
「はい、わかりました。」
ここに来る前はランニングなんて全くやらなかったから、なんだか不思議な気分だ。今は体を動かさないとなんだか不安になってくることが多いんだ。その何か分からない不安をごまかすために思いついたことをやってるだけかもしれないけど、何もしないよりマシか。
その後、街中を三周くらい走って素振りと筋トレやってその日はお終いにした。あ、剣の話をするの忘れてた。夕飯の時にでも話しておこう。




