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なんでも屋さんっす

「おやおやおやぁ! お初にお目にかかります、(ワタクシ)なんでも屋のアラストールと申しまぁす!! スティルエナ様におかれましてはご機嫌麗しく。随分とご無沙汰でございましたねぇ? 本日のご利用は如何ほどでございますか? それはそうと良い品が手に入ったのでございますよ! こちらの黒真珠のイヤリングはスティルエナ様の美しい髪と雄々しい角によく映えること間違いなし! 今だけ大特価とさせて頂きましてこちらのネックレスもセットでご提供いたします!」


お、おおっす……。


現れたのは赤と黒がクレイジーパターンになっているタキシードと、シルクハットを被った細身の男性っす。

口元は弧を描き三日月のようっす。あとモノクルをつけているのはわかるんすけど、表情っていうか顔がよくわからないっす……? 目の前にいるのに、特徴だらけなのに個人的な部分が全くわからないっす。

怒涛の勢いで喋り通されるこの御仁は一体……。


「え、えっとぉ〜ちょぉっと待って〜? なんでも屋さんは〜お話が早くて〜……うん〜それはまた今度で〜今は別のものが欲しいのよ〜」


「おやおやそれは失礼いたしました! お目当ての物がもうおありだったのですね! 一体どのようなものでしょうか? お申し付け頂ければ空に浮かぶ綺羅星から海に落ちた涙の一滴までなんでも(・・・・)ご用意いたしますよぉ!」


くねくねと動きながら捲し立てるなんでも屋さんに、あのお姉さんの笑顔が引きつってるっす!?

常にのほほんとした笑顔のお姉さんが、若干引いてるっす!?


『だぁぁかラ嫌だったんだ……。アラストールと出くわすと無駄に疲れルんだよ。あンな奴ノ力借りなくてもてメえがシェイクさレてりゃ良かったもノを』


輪っかさんも苦手なんすか?


『むしロあいつが得意なやついルのかってレベルだけどな? 悪人善人分け隔てなく、求めラれ対価を支払えば何でも用意すル。戦時に対立国ノどちラにもあいつが武器を卸してたなンてこともあリやがル』


なんと……色んな人に恨まれそうな販売方法っすね。


「ご安心ください! (ワタクシ)誰もが納得する結末をご用意した上で商売に励ませていただいておりますので! はい!」


なんでも屋さんも自分の思考を読めるんすね!? 喋らなくても伝わるのは便利っすけど、このままだと喋り方忘れそうっす……。

それはそうと、お姉さんは商品の希望出せたんすか?


「ああ〜あのね〜空を移動できる〜手段が欲しくて〜、できるだけ速く〜揺れないものがいいのよ〜」


「ほほう? 空を移動できるものでございますか……揺れが少なく移動速度も速いものとなりますと、少しお高くなりますがよろしいですか?」


「大丈夫よ〜蓄えはあるし〜足りなければ労働か納品で対応するわよ〜」


「なるほど、畏まりました。それでは商品のご案内でございます!」


そう言うとなんでも屋さんは、どこからともなく革製のカバンを取り出して開いたっす。

さっきまで何も持ってなかったのにどこから出したんすかね? 商品案内ということはカタログとか見せてくれて注文する形になるんすか?

それだとちょっと時間掛かりそうなイメージなんすけど……。


そんなことを思っていたら、なんでも屋さんはカバンに手を入れて一気に引っこ抜いたっす。


そして、どう考えても収まりっこないし、明らかにサイズオーバーしている小さめのお船(・・・・・・)を取り出したっす。

意味がわからないっす!?


「速度、揺れ、人数に金額。お望みの条件を加味致しましてこちらの商品が最適かと思います。風に乗り空をかける船、その名も風船にございます!」


風に流されそうなお名前っす!?

サイズは前世のクルージングボートくらいで大人が三〜四人乗ってワイワイできそうな感じっす。屋根もついてるし、見た目も頑丈そうっす。

背面に大きなプロペラと側面にヨットの帆みたいなのが付いてるのが、どことなくファンタジー感があるっすね。


「あらあら〜これでどの程度の速さが出るのかしら〜?」


「少なくとも、スティルエナ様が飛び跳ねて移動するよりは早いと断言できます」


「……そうなの〜ならそれを頂くわ〜おいくらかしら〜?」


「今回の商品はこちらの世界では初出のものにございます。付加価値とお得意様割引で差し引きしまして、魔力結晶を二百でお譲り致します!」


輪っかさん魔力結晶ってなんすか?


『読ンで字ノ如く魔力を結晶化したもノだ。てメえも開示で見たと思うが魔力ってのハ大体二桁台が多い。三桁以上ハ魔力特化の進化でもすルか、極限まで魂の昇格(レヴェルアップ)すルくラいしか方法がねえ。今回ノ二百ってのハ魔王かラすレば無理無茶の(たぐい)じゃねえが普通は払いきレるもンじゃねえな』


……輪っかさん自分開示で見れる情報、名前とレベルと種族に備考だけなんすけど……。


『ハぁ?! ちょっと待ててメえ!? なんでそんなピンポイントでハズレ情報だけ手に入れてんだよ?! 生命値も魔力値も攻撃力防御力頑強さ俊敏性に特性能力弱点!何も見えてなかったってのか!?』


面目ないっす……?


『ッチ! 簡易接続と同調率ノ低さが原因か? まあいい、そノうち見えルようになル。見えねえもンを見ろっつっても仕方ねえしな。それよリほラよく見とけ、魔力結晶を大力王が作り出す様子を』


言われて目を向けたらお姉さんの手が金色に輝いていたっす。

そこからモヤがどんどん出てきて、握り締めるように手を動かすとどんどんモヤが濃くなっていったっす。

そして最後には大きな金色の水晶みたいなものが出来上がったっす。

綺麗っすねぇ! 自分もいつかあんなもの出せるようになるんすかね?! 出せたら小さいお方にプレゼントしたいっすね!


『てメえハほンとそレばっかだな……』

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