↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ケラレ あるいは、きみの残像  作者: 真野蒼子
第一章 椎名香穂子~重なった少女~
1/19

送辞

 コピペしたような安っぽいブレザー制服を着て、椎名香穂子は写真を引き裂いた。

 高校一年生になった一歩目で、黒ずんだ白い壁を蹴り飛ばす。


「校舎まで馬鹿丸出し」


 あちこちの壁に写真が貼り付けられていた。写っている物はさまざまだ。卒業式のパネルを挟む生徒たち、体操服姿でバレーボールを持つ生徒。牧場で動物を抱きかかえたり、寺社仏閣の前でピースサインをしている写真もある。


(なんで写真なんて貼ってんだろ。入学式なんて、今日一日で終わるのに——……あれ?)


 一枚の写真に手を伸ばした。他の写真はどれも生徒が写っている。けれど、何枚か妙な写真があった。


(生徒のシルエットに夕日が重なってる。こっちは脚が海だ)


 景色が半透明になり、いくつも重なっている。重なりすぎて、人々がなにをしているのか分からなくなっていた。

 写真を裏返すと、隅に『Photography Club / Mochiduki』と綴られている。景色の重なっている写真には、どれもMochidukiと書いてあった。


(……この中に埋もれられたら、私の存在も曖昧になるのかしら)


 チープで汚い学校の中で、なにを映したのか分からない写真だけが輝いていた。香穂子はピンクトーンの写真を鞄に潜ませ、埃っぽい体育館に足を踏み入れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。