第48話 帰ったら仕事が山積みでした
翌朝。
よろず屋オネェ。
◇ ◇ ◇
桃瀬は店の前を掃除していた。
「……今日は平和だな」
ぽつりと呟く。
◇ ◇ ◇
コンコン。
開店前にもかかわらず、扉が叩かれた。
◇ ◇ ◇
「営業時間前だ」
桃瀬が扉を開ける。
そこには見覚えのある顔が立っていた。
◇ ◇ ◇
「レイモンド?」
◇ ◇ ◇
レイモンドは紙袋を抱え、疲れ切った顔をしていた。
「……監査局です」
◇ ◇ ◇
「営業時間までまだあるぞ」
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「仕事じゃありません」
レイモンドは首を振る。
「差し入れです」
◇ ◇ ◇
桃瀬は少し驚いた。
「差し入れ?」
◇ ◇ ◇
「森でお世話になりましたから」
紙袋を差し出す。
「焼き菓子です」
◇ ◇ ◇
「……そうか」
桃瀬は静かに受け取った。
「ありがとな」
◇ ◇ ◇
その時。
九時を知らせる鐘が鳴る。
◇ ◇ ◇
桃瀬はポケットからピンクのシュシュを取り出した。
髪を結ぶ。
◇ ◇ ◇
「あらぁ♡ おはようございまぁす♡」
◇ ◇ ◇
「毎回見ても慣れません……」
レイモンドが苦笑する。
◇ ◇ ◇
「いらっしゃいませぇ♡」
レンちゃんが店を開ける。
すると。
待っていたお客が一斉に店へ入ってきた。
◇ ◇ ◇
「包丁の柄が外れた!」
「井戸の水が出なくなった!」
「荷車の車輪を直して!」
「畑の柵が壊れた!」
◇ ◇ ◇
レイモンドは店内を見回す。
「今日は普通の依頼ばかりですね」
◇ ◇ ◇
「あらぁ♡」
レンちゃんが笑う。
「よろず屋は本来こういうお店なのよぉ♡」
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「最近は巨大うさぎとか巨大イノシシとか森の主ばかりだったので、感覚がおかしくなってました」
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「それは否定できない」
ニアが頷く。
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ガイルは荷車を軽々と持ち上げる。
「これでいいか」
◇ ◇ ◇
「ありがとうございます!」
依頼人が頭を下げた。
◇ ◇ ◇
エリーは壊れた食器を丁寧に包み直している。
「こちらは修理が終わるまでお預かりしますね」
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ルミナは静かに帳簿を書いていた。
◇ ◇ ◇
「今日は本当に平和ですねぇ」
レイモンドが笑う。
◇ ◇ ◇
その瞬間。
バンッ!!
勢いよく店の扉が開いた。
◇ ◇ ◇
「レンちゃん!!」
一人の男性が息を切らして飛び込んでくる。
◇ ◇ ◇
「大変なんだ!」
◇ ◇ ◇
レイモンドは天井を見上げた。
「……やっぱり平和じゃ終わりませんよね」
◇ ◇ ◇
レンちゃんは笑顔で男性を見る。
「どうしたのぉ♡」
◇ ◇ ◇
「井戸から変な声が聞こえるんだ!」
◇ ◇ ◇
店内が静まり返る。
◇ ◇ ◇
「あらぁ♡」
レンちゃんはにっこり笑った。
「面白そうじゃない♡」
◇ ◇ ◇
「面白くありません!!」
レイモンドのツッコミが、店中に響いた。




