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百のスミレと千のユリ  作者: 水瀬 悠希
愛とジェラシーのハリケーン
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美少女男子爆誕!?

 気が付いたらすべてが終わっていたよ。

 2人のパイロットスーツ女は瞬殺。とにかく友里さんを怒らせるのは、すごく拙いって事はよぉく分かった。

 何がすごかったかというと、あの後強引に身体をもぎ離した相手への3連撃だ!


 それもウルトラ・タイガードロップ、フジヤマ・タイガーブリーカー、さらに決まり手がタイガーVって……

 よくもまああんなマニアックな技を知ってるもんだね。


「ふっ、悪は滅びたわ」「これで防護服を脱いでも大丈夫だとも」


 友里さんの戦いを見ている間に最初のパイロットスーツ女も、埴輪たちの手でぎちぎちに縛られていた。こいつらもマニアックま… いや、考えるのはよそう。

 でも埴輪って伸び縮みするんだなあ。どう見ても素焼きの人形にしか見えないんだけどねぇ。殴られてヒビが入ってるのもいたんだが… あ、あいつか。

 ちゃんとガムテープで補強済みだね、よしよし。


 埴輪たちがポコを囲んで和気あいあいとしている光景は、いいねぇ……


「ポコ君を頑丈に作った私たちに感謝したまえ。ああ、そうそう。VRゴーグルを外してはだめだよ。動けなくなるからね」


 芹沢博士がポコ君を作ったわけじゃないでしょ?

 でもたしかに頑丈だね。手荒な着陸のなかで、ごがんごがんと、あちこちにぶつかりまくったのにブレーカーが落ちただけなんて。


 そして僕のスキンスーツはVRゴーグルを通じてポコ君とリンクしている。

 博士はこれがないと、僕は自由に動けないと思っているけど……

 ご生憎様だね。ぼくの全身麻痺の原因は事故の後遺症なんかじゃない。

 美月──サーリアが冗談でかけた金縛りの術が効き過ぎていただけなんだから。


 うん。言わないよ? 美月──サーリアが術の制御に失敗したなんて。

 でも僕は聞いたよ… いや、本人は気が付かなったかも知れないあのひとことを。

 確かに言ったよね? かけた術の解きかたを忘れた… ってさ。

 あのニセ博士が来るちょっと前の話だったかな?


 そう。たしか美斗みとが性懲りもなく病室に忍び込んできた時の事だよ。

 マジで貞操の危機を感じたね。美月はテスト期間中で、爺ちゃん先生──院長先生の事だ──は、学会に出席するとかで留守。

 そんな時期に、そして看護婦さんの交代時間を狙っての事だったか。


 ギリギリのところで白馬の王女様(あまのさん)が間に合って、あいつを追い出したけど。

 もしもあの時、身体が動かせたなら──その後のあれこれは無かったと思うんだ。

 マジで干からびるかと思ったのは、イイ思い出 ……その話は、まあいいか。


 とにかく、パイロットスーツ女は2人とも取り押さえる事が──取り押さえたのは埴輪の群れと友里さんだけど…… 博士たち? 何もしてないよ。


「うむ、昔から君子危うきに近寄らずと言うだろう? もしもあの脳筋女に殴られでもして、わたしの虹色の脳細胞に……」

「はーいはい、虹色でも灰色でもいいからぁ、シートを広げるのを手伝ってねぇ」


 うん、あの狭い車のどこにしまってあったんだろうね。

 大きなビーチパラソルぽいものとか、レジャーシートとかアイスボックスとか。

 そして、着替えまで…… って、いつの間に?


「うふふふふ、ねえ、冬夜くん。こういうのは気にしたら負けなのよぉ」


 たしかにね。でもまあいいや。僕もスキンスーツの上に着る物もらったし。

 デザイン? 色? そんな事は、この際どうでもいいんだ。

 すけすけ下着っぽいのに比べたら、ミニスカだって…… 我慢できるよっ!


 僕は男の子だから、我慢できるんだ… ぐす……


「おにい、無理する事はないと思うケド?」「なんでだよぅ?」


 腕組みをした芹沢博士と友里さんが、ヤレヤレとばかりに首を振った。

 いま着ている服はさ、どう間違えても男子高校生が着る服じゃないよね?

 それを我慢しなくてもいいって、ドユコト?


「冬夜くんは男の子ではなくて、男の()なのだよ」

「とっても似合っているにゃ。誰が何と言おうと冬夜くんは美少女男子にゃ」


 にまにまにまにま……(×4)


「病院では、みんなで冬夜くんから男のニオイを徹底的に消したのにゃ。今の冬夜くんを見てオトコだと言われても、信じる人はいないにゃ」


 友里さん… ひょっとして散髪禁止とか全身脱毛とかは、そのために?

 毎週のようにクリームとかパックとか…… ま・さ・か?


「にゅふふふ~ 病院のみんなにも見せてあげたいにゃ」「えっ!?」


 やめてそれだけは。頼むからスマホ向けないで?


 いやだあああ!

まあ、こうなるよね。

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