日常~点取り返さん~
——全力疾走!!
仲間がボールを横の人に渡すを見るや、地を強く蹴って敵の中へと突き進む。後方が気になるけど信じなければ、絶対に悔いてしまう。両腕を鳥の翼みたいに気流で浮かせ、体を低く前屈みに足を早める。
「決めろおぉおぉぉ!!」
背中で圧迫を感じながら耳で叫びを聞くと、左足を軸に勢いを殺さず回転しては、右足の甲を先行させたボールに打ち付け《ブースト》する。絶妙な頃合に繊細な角度の調整により、GKの手が届かぬ所へ刺せたんだ。
「ナイスシュート」
「有り難うございます!」
自陣に戻るやリーダーに声を掛けられて、少しは取り返せたかなと嬉しがった。作戦とは違うも高度な繋ぎ技が出来たなんて、感動は大きなものだった。
——止めてみせる。
赤チームが蹴ってキャプテンへと、早い《パス》回しで渡していた。前衛が一斉に走り来ると、味方は直ぐ様マークして連携を断ちに掛かるんだ。
「中級球術《フィンガーシグナル》」
白熱した戦場を冷やすかのような声が聞こえて、仕舞ったと仲間が叫ぶも戻るには遅い。片手の指で合図など伝えていて、道を塞ごうも止めれない。
「だったら……」
僕は別の手を考えてDFと共にするべく、後ろに下がり伝えて時を待った。仲間が抜かれに抜かれて、侵入を許して赤チームを追い掛けてくる。
「下級球術《ボックス》」
作戦通りにボールがキャプテンへと、渡るまでに囲むことができた。前後左右の僕たち四人がそれぞれ足を出すけれど、体幹が強いのか体勢が崩れそうもなかった。隙を生まぬように気を締めながらと、疲れても攻めを緩めないんだ。粘りの果てに零れを取ってはリーダーへと、思いを託してゆく。
「こっちだ!」
「マークしろっ!」
「させるもんか!」
「フリーにするなよ!」
「突っ込め!」
「抜かせるものか!」
目前で黄色チームは《パス》を回していて、一刻も早くと焦っている。守りを固められるほどに苦しくなって、崩そうにも崩せないまま時が経つんだ。
「ボールをくれ!」
僕が手を挙げ叫ぶと送られてきて、受けるや空へと跳び上がる。赤色の人壁を下に見て、点を取るか吹っ飛ばすかの二つから直ぐに選んでみせる。
——中級球技《フォール》!!
空中で宙返り足を引っ掛けるようにと、角度を付けゴールへ落とせば全力に因り勢いを増していく。相手GKは今度こそ止めると、素早く動いていた。
「基本球技《ツーハンド》!!」
発動は間に合ったけれど、状況が悪すぎた。魔法の要素がある技は気力を用いていて、精神の弱さや恐怖が表れるほど全力を出せないものだ。身体を鍛えようが逃げ腰に成ればこそで、盛大に点を一つ取り戻す。
——終わった……。
審判役の女子マネージャーが笛を吹くや、誰もが立ってられんと座ってゆく。自分も地べたに土の冷たさを感じ、息を整えながら暗い空を仰ぐんだ。




