定律~穢れた人たち~
「殺してしまえ、子供もなぁ!!」
第一の村を鎮圧して、第二の村へ着いた時に、楽しんでいるかのような笑いを含んだ、男の声が耳に飛び込んだ。主はどこかと探せば、広場に居る。
「やめろぉ、なんでこんなことをっ……」
「支配者はただ一人だけ、刃向かう奴等は死ね!」
「わあぁあぁっ」
「あの世で悔やむんだな」
家族を守ろうと命ごいする父親に対して、虐げようとする者は斧を振り上げた。会話していた間に接近した僕は割り込み、右手に風の剣を持つや左手で支え受け止めた。耐久値がゼロになる前に押し返し、再び造る。
「餓鬼がっ、邪魔するな!」
「ここは、あんただけのものじゃない!」
「何だと、上から言うな!」
「わ!?」
悪人が怒りと共に放った気は妖しく、着ている服や頬などの肌を切り裂かれた。傷の痛みや血の流れるを感じながら、呟いた。
「闇に染まってしまったか……」
「違う、自分から力を手に入れた!」
「語るに落ちましたね」
「うるさい、うるさいっ!!」
妖気に負けまいと耐えながら、説得を試みた。悪人よりも先に済んでいようが知るかと返され、大声で仲間を呼んで取り囲んできた。
「やっちまえぇ!!」
「おぉおぉぉっ!!」
雄叫びを上げて四方から迫り来る者たちは、農具や銃を手に持って雪崩るようだった。妖異ならば気力で以て倒せるけれど、穢れた人に対しては振るえないんだ。命を奪ってしまうから。
「うわあぁっ!?」
突然に発生した風によって、正面の悪人たちが吹っ飛んだ。頭の上を越えて、後方の群れに落ちる。誰もが動きを止めて、起きたことを知ろうと目を向ける。
「迷っている場合か、殺さない程度に、自分の身を守れ!」
「風起……!」
「支配者が必要と言うのなら、お前の力を見せ付けて、お前が上に立て!」
「そん……」
僕は困りながら返そうとした時、右の脇腹に熱さと痛みを感じた。手を当てて見ると血に染まっていて、撃たれたか切られたか解らないんだ。
「界希っ!!」
血塗れの手から視線を外して、前を見れば人の動きもゆっくりに思えて、風起が悪人たちを押し退けながら絶望の目を向けている。螺旋を残しつつ迫る弾丸は数え切れず、周りで銀の煌めきを放っていた。
――――。
時間が止まったような感覚の中で、僕だけが動いている。空中で進まぬ弾丸を足場にして、囲いの外へ抜けたんだ。着地した瞬間に音が戻った。
「あ、あぁ……」
悪人たちは仲間の弾を受けて、絶命する者や流血する者など、血に転がり見るに耐えない。運良く回避できたとしても、火群たちが戦意を奪っていく。止血するや加わって、平伏させるほど制圧した。檻に閉じ込めた。




