精霊使い(エレメンタルマスター)
突然の生徒会室への来客者は大会のエントリーを申し出た。その名は、葉宮風香。転校生だ。
・・・精霊。
草木、動物、人、無生物などひとつひとつに宿っている、超自然生物のことを言う。
そして、それを操れるのはこの世界に1人しかいない。
・・実力テスト当日 戦闘用スタジアム6にて
テストの内容はこうだった。
生徒会長、副生徒会長を除く生徒会から無作為に選ばれた5人と同時に戦い、大会出場に値すると俺が判断した時点で勝ち。体力や魔力の底が見えてきたら負け。
ちなみに使える能力ならなんでも使ってOKだが、道具の持ち込みはなし。
また、フィールドは、30×30mの人工芝だ。
そして、今回のテストを受けるのは、葉宮風香。この前転校してきた精霊使いだ。
『それでは始めたいと思います。制限時間はありません。両チーム、スタンバイ』
普通は始まった直後は近寄らず様子を見るため、ここで何か特別な動きをすることはない。例により、生徒会チームもそうだった。
が、違ったのは風香だ。両手を開き、腕を広げている。
『随分変わった姿勢で始めるんだな』
『うん?ああ、これですか。いいんです。この方が‘‘速い”ですから』
『開始!』
直後、風香の言った、‘‘速い”の意味を理解した。
『カミヤ、モラ、ダージリ、チャンネルオン』
『・・・なるほど。確かに』
風香の手が光を帯びている。おそらく風香はこの空間に精霊を呼んでいるのだろう。精霊は普通、植物や動物に宿るものだが、人にも精霊たちは宿っている。精霊使いに何体の精霊が宿っているのかなんて分からないが。風香は今、それらを呼んだのだろう。しかし、速い。今の言葉を2秒で言い終わった。
ふと、生徒会チームの1人が、
『精霊か。初めてみた。どんなものか』
と言った。
精霊はそれぞれ透き通ったような赤、緑、黄色をしていて、大きめの体格は、縄文時代の土偶を思わせる。あれ、土偶って弥生時代だっけ。歴史は苦手だ。まあ、俺の成績の話はいい。土偶といっても格好まで土偶ではなく、3体とも巫女装束のようなものを羽織っている。・・・というか性別はあるのだろうか。
ちなみに生徒会チームは全員魔法使いだ。俺は横から観戦してるし、瞳は俺の隣で審判をしている。
『ではいくぞ!』
先に仕掛けたのは生徒会チームだ。
『ふん!』
生徒会チームがレベル2の物理魔法を放った。・・レベル3までは、全ての魔法は集中を集めるだけで使う事が出来る。まずは小手調べとして放ったのだろう。そして、
ドォォォン!という音と同時に風香の前で魔法は弾けた。
風香に魔法が当たったのではない。風香から5メートル程離れた位置で精霊の1人、いや1体が防御魔法を使ったのだ。防御魔法は手に集めた魔力を放つ物理魔法と似て異なり、魔力を空間に顕現し、不可視の壁を作り出す。
『防御魔法ねえ。精霊の魔力ってどのくらい・・・というか、限界はあるのかしら』
『あるんじゃないか?精霊だって生物なんだし』
瞳と俺が話し合っている間に風香は動いた。
・・・精霊使いの利点の1つは、様々な魔法を使い分けれる事だ。・・・精霊も生物ゆえに時と場合も関わってくるが。
『カミヤ、あそこの女子。モラ、あっちの男子、ダージリ、こっちの女子。じゃ、よろしく』
風香は3人の生徒会チームを指差すと、精霊達に指示を出した。あれ、あと2人はどうするんだろうと思ったが、そんな必要は無かった。・・風香が動いた。
『炎火魔法、ラリア!』
『魔法だとっ!』
(そうか。精霊使いだからといって魔法を使えない訳ではない。となるとまずいな)
生徒会チームの2人は下がった。が、遅い。
いや、正確には風香が早い。レベル5までの魔法は名前を詠唱するだけで使用できる。ラリアはレベル4だ。だから、例え下がったとしても逃げる事など出来ないのだ。・・人工芝に燃え移った火からなど。
『『『・・・・っっ!』』』
カミヤ、モラ、ダージリと呼ばれていた精霊達は、生徒会チームの物理魔法を全て避けながら、赤いカミヤは炎火魔法。緑のモラは深緑魔法。黄色いダージリは物理魔法を生徒会チームに放っている。
・・・・・・生徒会チームだって弱い訳ではない。この魔法学校でも上位に入る実力だ。だからこそ、見ていればわかる。風香の力自体が強いというか、風香の戦い方が上手い。
・・つまるところ、戦い方も含めて強さなら、風香は間違いなく強いと言っていい。だから、俺は、瞳に目で合図を送った。
『・・・そこまで!会長が審査した結果、葉宮風香は、大会出場の権利を得ました!』
・・・普段はここで拍手が送られるが、今日は観客がいないので、拍手したのは俺だけだ。
『えっ、もういいんですか?』
風香が素っ頓狂な声を出している。まあ、3分程で認められたら驚くよな。だが、それほどの実力だったということだ。
『おめでとう。・・ございます。風香。・・様』生徒会室では普通で良いと言われたが、いざ強さを目にすると敬語を使ってしまう。・・しまいます。
『だから普通でいいってば。ありがとう。海ちゃ・・会長』
(海ちゃって何だろう?まあいいか)
『そうですか。では遠慮なくそうさせて頂きます。・・・させてもらうね』
・・そんなこんなでぎこちない会話をしていると、
『失礼します。お取込み中申し訳ないのですが、わたくしもテストして頂けないでしょうか。同じく大会に出たいのですが』
・・そこに現れたのは、風香と同じ転校生の
西條穂花だった・・・。
お、お久しぶりです。やっとの事で更新です。これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします!




