第一話 カミノコ
どーも遠回り計算機です。初投稿になりますので、まあ賛否両論あるのはわかっていますが、なるべくいろんなアドバイスもらえると助かります。
(※R-15は念のためです。展開がグロくなるとまずいので。そしてなりかねないので。)
1
???「すいませーん、今時間ある方いますー?」
なんて、言ってみても誰も来ない。大通りに面した少し暗い路地裏に、ソレはいた。紺色のマントに薄い黄色のワンピース、一応クラス2、3番目の可愛さと思われるぐらいには見た目も良く、街中を出歩けばそれなりに人目を引く見た目なのだが、
???「そもそも見えなきゃ意味ないかー…」
ソレは、誰にも見えず、何にも聞こえない。どころか、誰もさわれないし、匂いや気配もまったくない。むしろそれをできる方がおかしいのである。一応物理的には人前にも出られるが、諸事情で、それも難しいところである。
???「どうしたもんかなぁ…」
少し下を向き悩みこむ。すると、
???「あの…どうかしましたか…?」
???「ひょわあぁっ!?」
急に話しかけられるものだから驚いた。年齢は高校1年生ぐらいだろうか。背丈は自分と同じ160cm真ん中、黒髪で碧眼の少年だった。
???「うぇ、私服?君たぶん高校生だよね。学校は?」
少年「あ…えっと、色々あって…行けてないです…」
あちゃ~、と思った。そりゃそーだよ。平日朝10時に私服で出かける高校生なんて不登校でしょ。年頃だしそりゃ色々あるでしょうに。
???「ああっと、ごめんね、悪いこと聞いたね。気になっちゃってつい…」
自業自得なのでまず謝る。だが、
少年「いいんです。どうせ僕のせいなので。」
心遣いは伝わらなかったようだ。なので、
???「あー、お詫びといっちゃ何だけどさ、最近、悩みとかない?学校以外でもなんでもさ。」
少年 (悩み…学校、家庭事情?えーっと…)
少年が考えること一つ一つを見逃さずに探す。そして…
???「よぉし、じゃあ公園に行こう!!」
少年「えっ?」
???「大丈夫、悪いようには、しないからね!」
そうして、少年とソレの関係は始まったのだった。
2
少年…天掴陽陰は、典型的陰キャである。家庭環境にも恵まれず、自殺未遂までいった事もあったが、それでも中2まではそれなりに普通の暮らしをしていた。
___中3の春に、彼の母が殺人の容疑でで現行犯逮捕されるまでは。
殺人犯の子供という立場は学校においてはいじめの標的であり、クラスのぼっち少年は一瞬で誹謗中傷の対象にすり替わった。高校生になってもなかなかその立場は変われず、高校は入学後すぐ不登校に。父親との関係も更に悪化し、現在は母方の祖母の家で生活、学校も転校した。だが、中3の1年で刻まれた恐怖は、簡単に拭い去れるものではなかった。
そんな少年は今、ある公園に来ていた。そこは、
陽陰「僕の家の前の、公園…?」
???「大正解!ここから夜中に、誰もいないのに音がするんでしょ?」
誰にも言っていないのに、自分の悩みを暴かれていた。
陽陰「なんで…?」
???「その音のせいで毎晩寝れないんでしょ。分かってるって。私夜までここにいるよ。音がしたら家からすぐ伝えてねーっ。」
そう言って、自販機の方へ走っていく。
アレは、何なのだろうか。高校生くらいの白髪の少女、金色の目など、見た目の点も気になるが、最も気になるのは、彼女が、物理的に人間を避けて行動していた点だ。通りかかる人とは、常に1~2m間隔をキープしていた。自分とはある程度会話できるように近くにいたが、人だけでなく、猫や犬にも同じ間隔を置くのは不思議だ。歩いている途中、
少女『犬とか猫とかさぁ、動物って結構好きなんだよねーっ』
と言っていた割の距離感。そういえばそもそも道も、人通りの少ない裏路地を抜けていた。最短ルートは別にあるのに、何故だろうか…
電車などの乗り物もすべて避けていた少女は、公園の自販機のコーヒーを、美味しそうに飲んでいた。
陽陰「…僕もコーヒー飲もうかな。」
こうして、彼らの不思議な午後は過ぎていく…
3
夜10時。天掴陽陰は不登校とはいえ高校生。ある程度の勉強はする必要があった。転校先の高校は、精神的事情による不登校に理解があったので、オンラインでの授業の出席と、提出物、それから別室での定期テストさえ怠らなければ、単位を得ることができた。
しかし、彼には今、どうしても勉強に集中できない理由があった。それが、今家の前の公園で滑り台で遊んでいる少女である。買い出しで遠くのスーパーに行く途中、路地裏で出会って悩みを聞いてくるやいなや、急に不可解なルートで自宅前の公園に逆戻り。更には公園の謎を解決してやろうと言ってくるときた。もう怪しすぎるのだが、彼女の不思議な行動の理由なども知りたいので、窓際からずっと外を眺めていた。
そういえば、ずっと滑り台かジャングルジムで遊んでおり、ブランコや砂場には絶対に近寄らない。というか、謎の音を調査するんじゃなかったのか!?何をしているのだろうか。本当に。
祖母「陽陰、早く寝なさい。もう11時よ。」
陽陰「あー、分かってるって。」
祖母の声が扉の前から聞こえる。彼女を見ていたらもう1時間経過していた。課題を片付け終わっていないが、もう夜遅いので、明日の朝やることにして仕方なくベッドに入る。が、
陽陰「眠れない…」
陽陰は基本的にベッドに入ると10分なく眠れるのだが、15分経とうが眠れなかった。気づくと、時刻は深夜0時を回っており…
いつも通りの謎の音が鳴り響いていた。
陽陰 (嘘だろ、いつから!?なんだこれ、変な感じが…)
『音がしたら家からすぐ伝えてねーっ。』
彼女の言葉を思い出す。陽陰は起き上がって彼女に伝えようとするが、
陽陰(声が…というか、動けない…!?)
何故か声が出ない。それどころか、体が動かない。必死に動こうとするが、意識があるだけで、結局体は全く動かない。
長い沈黙ののち、窓が開く音がした。窓際から、冷たい風を感じる。何かの足音が近づいてきて、次の瞬間、
___彼の目の前に、大きな鼓を持った怪物が現れた。
4
怪物は陽陰を大きな目でしばらく見つめていた。
陽陰 (な、なんだこいつ!?こいつが音の正体!?)
数刻の間見つめた後、怪物は陽陰に手を伸ばす。
陽陰 (クソッ、誰か、誰か…!?)
声にならない叫びを心のなかで繰り返す。鋭い爪を突き立てた怪物はそのまま陽陰の首に手を伸ばし…
少女「そうはさせないよ、物の怪さんっ!」
扉の方から飛び込んできた少女が飛び膝蹴りを一撃。怪物を窓の外まで蹴り飛ばした。
少女「大丈夫?だからすぐ伝えてって言ったじゃん。」
少女が話しかけてきた。いつの間にか体が機能を取り戻していた。
陽陰「あれは…?」
少女「あれは『物の怪』。人の負の感情に憑いて人を殺す怪物だよ。…滑り込みセーフで助かったぁ。」
とんでもないことを笑って言っている少女の変化に陽陰は驚く。
陽陰「えっ、なんか目が光って…!?あなたは一体…!?」
少女「そういえば説明してなかったね。ごめんね。ホントはヒトに見せちゃ駄目なんだけど、誰にも話さないって約束できるなら…」
少女は振り向いて陽陰に問いかける。
陽陰「言わないし、言う人もいないです。」
陽陰も答える。すると、彼女の体が青白く輝いて…
少女「それじゃあ、今だけでも目に焼き付けて!!」
ソレは、正体を現した。
5
白い肌に金色に輝く目、そして何より、右腕が異形に変形していた。その少女は禍々しいとも、あるいは神々しいとも形容できる、ヒトとはかけ離れた姿になっていた。
少女「手短に済ませよう、物の怪さん。」
窓から外に飛び降りて、少女は怪物に言う。しかし、怪物に言葉が通じるはずもなく、怪物は少女に飛びかかって、その喉を切り裂き…
少女「気安く触ると、祟られるよっ!」
気づいた頃には、猿のような怪物は、彼女の右腕に貫かれ、絶命した後、異形の手から現れた獣のような口で噛み砕かれていた。
少女「ヒトのご飯は美味しいけれど、体が受け付けてくれないんだよねぇ。」
怪物を咀嚼し、飲み込みながら少女が言う。陽陰は外に出て彼女のもとに行く。ついた頃には、彼女は元の姿に戻っていた。
陽陰「えっと、あ…ありがとうございます。助けてくれて。」
少女「いいよ?自分は物の怪しか食べられないし。コーヒーは飲めるけど。」
何気ない顔で答えるが、陽陰はそこに少しだけ悲しさを感じていた。
陽陰「そうだ、最後に一つ聞いてもいいですか?」
少女「何?」
陽陰はこれまでの疑問を彼女にぶつける。
陽陰「あなたは、一体何者ですか?」
その答えは、ただ一言、世界を変えうる存在の名前。
少女「___私、神の子なんだ。」
これは、神に呪われた少年と神に捧げられた少女の、妖しく奇怪な物語___
改稿版1
次回更新:2026年8月26日(水)




